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国の教育ローンの審査は厳しい?融資条件や結果がでるまでの時間を解説
国の教育ローンの審査は厳しい?融資条件や結果がでるまでの時間を解説
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国の教育ローンの概要や申し込み条件、審査の流れについて詳しく解説

進学に伴う経済的な負担を軽減するために、国の教育ローンの利用を考えている家庭は多いです。

しかし、国の教育ローンに興味はあるものの、審査のハードルが高く感じられ、手を出しにくいと感じている方もいるかもしれません。

この記事では、国の教育ローンの概要や申し込み条件、審査の流れについて詳しく解説します。

また、審査に通らなかった際の対策や、国の教育ローン以外の選択肢についても紹介するので、ぜひ参考にしてください。

国の教育ローンとは使途を教育関係経費に限定したローン

国の教育ローンとは使途を教育関係経費に限定したローン

国が支援する教育ローンは「教育一般貸付」とも呼ばれ、日本政策金融公庫により低所得家庭向けに提供されています。

教育ローン制度は、学費の支払いに必要な資金を、金融機関から借り入れることができます。

融資額の上限

国の教育ローンでは、各学生や生徒に対して最高350万円までの融資が可能です。

例えば、入学時に150万円を借りた場合、次回からの申込み可能額は残りの200万円となります。

しかし、特定の条件下では、この上限額はさらに拡大されます。

自宅から離れた場所での通学や5年以上の修業年限を要する昼間の大学や大学院、そして海外留学の費用に対しては、最大450万円まで借り入れることが可能です。

金利

国の教育ローンは、保証料を除く固定金利制を採用しており、2024年2月現在、年率2.25%と設定されています。

しかし、以下のような家庭状況に該当する場合には、金利が年率1.85%にまで下がります。

  • 母子家庭
  • 父子家庭
  • 交通事故で親を亡くした家庭
  • 収入が特に低い家庭(年収200万円未満、または子どもが3人以上いて年収500万円未満の家庭)

国の教育ローンの固定金利は、融資を受けた時点での金利が返済期間終了まで変わりません。

しかし、金利情勢によっては申込時には異なる金利が適用される可能性があるため、実際の申込み時には最新の金利情報を確認しましょう。

返済方法

国の教育ローンの返済期間は最長18年で、返済は「元利均等返済」方式を採用しています。これは、借入金の元金と利息を毎月同額で支払う方法です。

さらに、年に2回のボーナス時期には、借り入れた総額の半分までの任意の増額返済が許されます。

これにより、個々の返済能力に応じた柔軟な返済計画が可能です。

学生がまだ学校に通っている間は、元金の支払いを一時停止し、利息のみを支払う「元金据え置き」も選択できます。

「元金据え置き」は、返済負担を軽減し、学業に集中したい学生にとって有利な選択肢となるでしょう。

国の教育ローンの審査は厳しい?

国の教育ローンの審査は厳しい?

実際のところ、国の教育ローンの審査過程は厳しくはありません。

国の教育ローン制度は、特に低所得家庭の教育支出を助けるために設計されており、その審査基準もこの目的を反映しています。

その結果、民間の金融機関が提供する教育ローンよりも、受け入れ条件は柔軟に設定されています。

教育ローンの審査基準

ここからは、国の教育ローンの審査基準を3つ紹介します。

  • 安定した収入
  • 問題のない信用情報
  • 入金額の状態

これらの基準は、申請者がローンを利用する資格があるかどうかを判断するためのもので、教育ローンの審査における重要なポイントです。

安定した収入

ローンの申請において、申請者が安定した収入を得ているかどうかは審査における重要な判断基準です。

この基準は、国の教育ローンに限らず、さまざまなローンの審査で共通しています。

パートやアルバイト等の非正規雇用でも、収入が安定していれば教育ローンの対象になります。

正社員の場合、勤務年数が長く、収入が安定しているほど、審査に有利に働くことが一般的です。

しかし、国の教育ローンでは、家庭の状況に応じて設定される「世帯年収の上限額」という特有の条件があります。

この上限を超える世帯年収の場合は、国の教育ローンの利用が制限され、民間金融機関の教育ローンへの申請を検討する必要があります。

問題のない信用情報

国の教育ローンでは、過去に金融関連のトラブルを経験していると、審査をクリアするのが難しくなる可能性があります。

具体的には、ローンの返済遅延や債務整理などです。

これらの信用情報は、いわゆる「ブラックリスト」に記載される要因となります。

申請者のクレジットカード使用やローンの利用履歴は、個人信用情報機関によって一定期間保管され、この情報は教育ローンの審査時にもチェックされます。

したがって、信用情報に問題がないことが、教育ローンの審査をスムーズに進めるための重要なポイントです。

入金額の状態

たとえ家庭の収入が充分にある場合でも、すでに多額の借入れがある状況は、返済の見込みに疑問を抱かせる要因となります。

特に、複数の金融機関からの借入れがある場合、返済能力に対する懸念から審査をクリアするのが困難になる可能性があります。

国の教育ローンにおいては、貸し付けの総量規制の適用外です。

総量規制とは、年収の3分の1を超える借入れがある場合、新規の貸付を制限するものです。

金融機関は、申請者の年収と既存の借入金額のバランスを評価し、返済能力を判断します。

そのため、他の金融機関からの多額の借入れがある場合は、その影響に考慮しましょう。

申し込みの条件

国の教育ローンには、以下の5つの申し込み条件があります。

  • 世帯年収が790万円以下
  • 子供が2人以内は所得制限を緩和
  • 指定の学校の子供をもつ保護者が対象
  • 海外留学の場合は修業年限が3ヶ月でも対象
  • 母子家庭や自営業でも優遇

どのような人が利用できる制度なのかを確認してみましょう。

世帯年収が790万円以下

国の教育ローンの申込条件の1つは、家庭の年収が790万円以下である点です。

この上限は、主に低所得家庭を支援する目的で設けられていますが、扶養する子どもが一人の場合に限定されます。

子どもの数が増えるにつれ、以下のように年収の上限が上がります。

子供の人数 世帯年収(所得)の上限額
1人 790万円(590万円)
2人 890万円(680万円)
3人 990万円(770万円)
4人 1,090万円(870万円)
5人 1,190万円(970万円)

世帯年収は、家族全員の収入の合計で算出され、これには働いている家族構成員全員の収入が含まれます。

ただし、年金や生活保護などの公的支援金は、この計算には含まれません。

もし前年の収入がこの上限を超えていたとしても、経済状況の変化により今年の収入が減少する見込みがあれば、融資の対象になる可能性があります。

子供が2人以内は所得制限を緩和

子供が2人以内の家庭で特定の状況に当てはまる場合、国の教育ローンの所得制限が緩和されることがあります。緩和の対象となる条件は、以下です。

  • 世帯主や配偶者が離れて暮らしていること
  • 子供が自宅外で学ぶ必要がある場合
  • 資金の目的が海外留学であること
  • 勤続年数が3年に満たないこと
  • 現在の住居に住み始めてから1年未満であること
  • 家族に介護が必要な人がいること
  • 疫病や自然災害などで経済的に困窮していること

これらの条件のいずれかに該当する場合、世帯年収の上限が990万円まで引き上げられる可能性があります。

さらに、例外的な事情がある場合には、所得制限の更なる柔軟な適用が期待できます。

指定の学校の子供をもつ保護者が対象

国の教育ローンの利用資格は、特定の教育機関に通うか、または通う予定の中学校卒業レベル以上の教育を受ける子どもの保護者に限定されます。

教育ローンが利用できる指定学校には、以下のような学校教育法に則って運営される様々なタイプの教育施設が含まれます。

  • 高校
  • 高専
  • 大学
  • 大学院
  • 短大
  • 専門学校
  • 特別支援学校
  • 海外の教育機関
  • 語学学校

ただし、公務員を目指す教育機関に通う学生は、学費免除や学生手当などの支援が提供されるため、国の教育ローンの対象外です。

正規の学籍を持たない研究生や、給与を受け取りながら学ぶ学生も同様に対象外となります。

海外留学の場合は修業年限が3ヶ月でも対象

外国の教育機関に留学する際の修業年限が3ヶ月以上であれば、融資の対象となります。

この措置は、特に語学習得を目的とした短期留学プログラムに参加する学生を支援するために設計されています。

語学学校への留学生が通常、3から4ヶ月のプログラムに参加することが多いため、この期間が融資の最低基準です。

しかし、海外での学習に際しては、学生本人ではなく、保護者や6親等以内の親族が融資の申込みを行う必要があります。

母子家庭や自営業でも優遇

国の教育ローン制度では、母子家庭やひとり親家庭、自営業者の申請者に対して優遇措置が設けられています。

また、教育費用だけでなく生活費の支援が必要なひとり親家庭には、他の公的融資制度の活用も推奨されています。

例えば、母子・父子寡婦福祉資金貸付などは、生活費や住宅資金にも使えるため、より広範な支援を受けることができます。

しかし、公的支援のみで生活している家庭は、融資の対象外となることもあるため、事前に確認してみましょう。

審査に必要な書類

教育ローンの申込みには、いくつかの重要書類の提出が求められます。主な必要書類は以下の通りです。

  • 借入申込書(オンライン申込みの場合は不要)
  • 住民票の写し、あるいは住民票に記載された事項の証明書(家族全員の情報と続柄が必要)
  • 本人確認書類(運転免許証やパスポートなど)
  • 直近の源泉徴収票や確定申告書の控え
  • 預金通帳や領収書など、過去6ヶ月分以上の支払い記録が分かる資料

これらの文書に加えて、日本政策金融公庫が審査の過程で追加情報の提出を求める場合もあります。

結果がでるまでにかかる時間

教育ローンの申請後、審査を経て融資の可否が決定されます。

具体的には、国の教育ローンでは申込みから審査、契約の締結や融資金の入金までの一連の手続きがあります。

通常、申込みから審査の結果が通知されるまでには約10日程度です。

その後融資金が口座に振り込まれるまでにさらに約10日が必要です。

特に、申込み件数が多くなる10月から3月の期間は、時間がかかりやすいため、計画的に申請しましょう。

教育ローンの審査に落ちた場合の対処法

教育ローンの審査に落ちた場合の対処法

教育ローンの審査を通過できなかった場合でも、子どもの教育資金を確保するための対処法があります。

ここでは、教育ローン審査に落ちた場合に、検討すべき4つの対処法を紹介します。

  • 民間の教育ローンに申し込む
  • 奨学金制度に頼る
  • 従業員貸付金制度に頼る
  • 教育支援金に頼る

審査に落ちたとしても、進学を諦める必要はありません。

民間の教育ローンに申し込む

国の教育ローンの審査に合格できなかった場合、民間金融機関からの教育ローンを検討することがおすすめです。

国の制度と比較して、民間の教育ローンは審査基準が異なり、場合によってはより柔軟な審査が期待できることもあります。

ただし、一般に国の教育ローンは審査が比較的緩やかであると言われているので、民間の教育ローンへの申込み前に、審査落ちの原因を明確にすることが重要です。

特に信用情報に問題がある場合は、民間のローンでも同様の理由で審査に通らない可能性が高いため、信用情報の改善や他の資金調達方法に頼りましょう。

奨学金制度に頼る

もし国の教育ローンの審査に落ちた場合は、奨学金制度の活用も選択肢の1つです。

この制度は、教育ローンとは異なり、学生本人が申請します。

奨学金と教育ローンは基本的な性質が異なるため、活用する際には以下の点に注意が必要です。

  • 奨学金は学生本人が借りるもので、保護者の収入に依存しない
  • 月々の定額振込みのため、一度に大きな金額を借りれない

奨学金を活用する際は、月々の振込みを計画的に管理し、入学金などの一時的な大きな支出に備える必要があります。

一部の奨学金では、『入学時特別増額』の制度を設けていることもあるので、入学時の資金調達に役立てることができます。

従業員貸付金制度に頼る

国の教育ローンの審査を通過できなかった場合におすすめの制度は、勤務先の従業員貸付金制度です。

従業員貸付金制度は、企業が従業員向けに提供する福利厚生の一部で、特に大企業を中心に導入されています。

もし自身が勤める会社がこのような制度を設けているなら、それを利用することも可能です。

従業員貸付金制度のメリットには、審査過程で個人の信用情報が問われないこと、また、企業によっては市場の平均よりも低い金利で借入れが可能なことが挙げられます。

ただし、この制度を利用することで社内に借入れの事実が知られる可能性があるため、その点は留意が必要です。

教育支援金に頼る

国の教育ローンの審査に落ちてしまった家庭で、収入が低い場合には、社会福祉協議会が提供する「生活福祉資金貸付制度」内の教育支援金を利用できるかもしれません。

この制度は、特に低所得者家庭を対象としており、民間金融機関のローンが利用できない人たちに対しても、教育資金を低金利で借り入れることが可能です。

利用を希望する場合は、居住地の社会福祉協議会へ相談しましょう。

審査の流れを紹介

審査の流れを紹介

国の教育ローンでは、申し込みを行った後、金融機関や保証会社による詳細な審査が行われます。この審査を無事にクリアすると、次にローン契約の手続きに進みます。

審査には「仮審査」と「本審査」の2種類があるので、それぞれの違いを確認してみましょう。

仮審査

仮審査の段階では、身分証明書の提出が不要な場合も多く、手軽に申し込むことが可能です。また、この段階であれば申込みのキャンセルも自由に行えます。

仮審査は、金融機関の定める基準に基づき迅速に行われ、審査結果はその日のうちや翌営業日に通知されることもありますが、場合によっては1週間ほど要することもあります。

結果の通知方法は金融機関によって異なりますが、基本的に電話や申し込むときに指定したメールアドレスを通じて行われます。

本審査

仮審査を無事にクリアした後、本審査へと進みます。

この本審査では、金融機関が設けるより詳細な審査基準に基づき、申込者の返済能力や信用情報などが厳しくチェックされます。

国の教育ローンを利用する際には、特定の金融機関での口座開設が必要条件となっているケースもあります。

そのため、本審査の手続きに入る前には、必要に応じて口座を開設しておきましょう。

本審査を通過することができれば、いよいよ融資の契約締結へと進むことになります。

記事まとめ

記事まとめ

国の教育ローンの審査過程では、申込者の個人情報や財務状態、信用情報が細かく確認されます。

審査期間には約10日ほどかかります。

特に受験シーズンなどの繁忙期は申込み件数が増加し、通常時よりも審査結果を待つ時間が長くなる傾向にあるため、早めに申請しましょう。

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