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【2020年民法改正】遅延損害金の計算方法とは?普通の利息との違いも紹介
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遅延損害金の利率は通常の利息よりも高いので、支払い遅れが発生すると返済の負担が大きくなってしまう

クレジットカードやカードローンを利用し、返済が返済期日に遅れてしまうと、遅延損害金(遅延利息)が発生します。

遅延損害金が発生すると、期日を守った場合よりも負担が増えますが、その恐ろしさを正確に理解するには遅延損害金の計算方法を知っておくのがおすすめです。

そこでこの記事では、遅延損害金の計算方法をお伝えします。また、遅延損害金が発生することのリスクなどについての説明するので、ぜひ最後までご覧ください。

遅延損害金(遅延利息)とは

遅延損害金(遅延利息)とは

遅延損害金(遅延利息)とは、正式な返済期限までに支払いが行われなかったときに、発生する延滞料金です。

より簡単に表現するのであれば、遅延損害金は期日までに返済を行わなかった際のペナルティのようなものです。

クレジットカードやカードローンは、特定の日に口座引き落としなどで返済をしますが、その期日に返済できなかった場合に遅延損害金が発生します。

普通の利息との違い

普通の利息は、お金を貸し付けることで貸金業者が得る利益を指します。利率はお金を借り入れる際に決まり、事前の取り決めに従って設定されます。

それに対して遅延損害金は、お金を借りる際に決めた返済期日を破り、支払いを滞納してしまった際の罰金のようなものです。

利息は貸金業者の売り上げや利益として機能していますが、遅延損害金はルールを破った場合のペナルティの意味を持ちます。

利息と遅延損害金は別々に設けられており、同時に発生することはありません。

また、通常、遅延損害金は通常の利息よりも高く利率が設定されるのが一般的です。

2020年4月1日施行の改正民法により法定利率が引き下げに

遅延損害金の利率には、「法定利率」と「約定利率」の2種類があります。それぞれの意味は以下のとおりです。

  • 約定利率:当事者間で契約した利率。契約において定められている場合、こちらが優先して適用される。
  • 法定利率:民法などの法令に定められた利率。契約において利率が明示されていない場合に適用される。

2020年4月1日施行の改正民法によって、遅延損害金の法定利率は5%から3%に引き下げられました。

そのため、債権者と債務者の間で遅延損害金の利率を決定していない場合、法定利率は3%となります。

ただし、実際には銀行や消費者金融では、延滞した場合の遅延損害金の約定利率は契約に基づいて決まるため、法定利率が適用されることはほぼありません。

計算方法を解説

計算方法を解説

遅延損害金は計算式が決まっており、計算方法を知っていると簡単に金額を求められます。

ここでは遅延損害金の計算方法を具体例を挙げながら解説します。

遅延損害金の計算方法と具体例

遅延損害金の算出には、次の計算方法を使用します。

借入額×年率×滞納日数÷365日=遅延損害金

例えば以下の状態で、遅延損害金がいくらになるかを求めてみましょう。

  • 延滞している金額:30万円
  • 遅延損害金の利率:20%
  • 延滞日数:30日

このとき、遅延損害金は以下のとおりです。

30万円×20%×30日÷360=約4,931円

このように計算方法を理解していると、簡単な計算で遅延損害金を求められます。

分割払いのときの遅延損害金の計算方法

分割払いで返済する場合は、滞納の期間が長くなるほど遅延損害金額が大きくなっていきます。

たとえば、毎月の返済額が5万円で、60日間の延滞が発生した場合、遅延損害金の計算方法は以下のとおりです。

1か月目 5万円×20%÷365×30日=約822円
2か月目 10万円×20%÷365×30日=約1,643円
3か月目 15万円×20%÷365×30日=約2,465円
4か月目 20万円×20%÷365×10日=1,095円
合計 6,025円

分割払いの延滞では、2か月目、3か月目と時間が経過するにつれて、遅延損害金の対象金額が蓄積され大きくなります。

さらに、半年や1年もしくはそれ以上の期間放置した場合、さらに遅延損害金が膨れ上がってしまいます。

このように、時間の経過とともに、追加で支払うべき遅延損害金の額が増えていくのが、遅延損害金の恐ろしい点といえます。

遅延損害金が発生するとリスクが大きい

遅延損害金が発生するとリスクが大きい

期日までに支払いをせず、遅延損害金が発生してしまうことには、大きなリスクが存在します。

ここでは、考えられる3つのリスクを紹介していきます。

クレジットカードが使えなくなる恐れがある

支払いが遅れ、遅延損害金が発生する状況が続くと、クレジットカードの利用を制限され決済や借り入れができなくなります。

利用制限後も滞納を続けると、最終的にはクレジットカード会社から契約を解約され、カードが完全に使えない状況になってしまうでしょう。

こうなると、ネットショッピングやサブスクサービスの支払いなど、必要な場面でカードを利用できず生活しにくくなってしまいます。

また、この状況になったころには、信用情報機関に事故履歴が登録されているはずです。

その結果、クレジットカードの新規申し込みも審査が厳しくなり、新しいカードを取得することが難しくなります。

新たにローンを組めなくなる

遅延損害金が発生している状況が続くと、新たにローンを組むのも難しくなります。

滞納が続くと信用情報機関に事故履歴が登録されるため、ローンの審査通過が難しくなるからです。

カードローンや住宅ローン、自動車ローンなど様々なローンが存在しますが、どのローンの場合でも必ず信用情報機関の情報を確認されるため、事故履歴がある時点で審査が通りにくくなります。

一旦事故履歴が登録されると、事故履歴は5年間は消えないので、支払いを完了し延滞を解消しても、しばらくの間は新しいローン契約が難しくなります。

裁判を起こされ財産を差し押さえられる

支払いを滞納し続けると、電話や郵送物での支払い督促が行われます。

その時点で支配をすれば督促は止まりますが、放置し続けると裁判を起こされる恐れがあります。

裁判が始まったあと、裁判所から送付される郵送物に対応しないと、裁判に負けてしまい債権者が財産を差し押さえる権利が生じます。

差し押さえできる財産には、銀行口座内の預金や、会社から支払われる給与などが挙げられます。

銀行口座からの差し押さえが行われると、滞納している分が一気に回収され、ある日突然口座残高がゼロになる可能性があります。

給与については原則1/4しか差し押さえできない決まりがありますが、それでも給料が大幅に減るので、生活に支障が出る可能性が高いでしょう。

差し押さえされた事実は会社に知られてしまうので、周囲からの信頼を失う恐れもあります。

このように、長期間の滞納は裁判や差し押さえにつながる可能性があるため、支払いが難しい場合は早急に債権者に連絡し、支払い方法について相談することが重要です。

発生させない、増やさないための対処法

発生させない、増やさないための対処法

遅延損害金を発生させない、増やさないためには、どのような対処方法が考えられるでしょうか?

ここでは、4つの対処方法をお伝えしていきます。

毎月の支払日に遅れないようにする

遅延損害金は、あらかじめ設定された支払期日を過ぎてしまった場合に発生します。

そのため、毎月の支払日に遅れないようにするのが、当然ではありますが一番の対策になります。

もし所持金に余裕がある場合は、引き落とし口座に資金を移動するのを忘れないよう用意し、事前に設定された期日に引き落としできるように準備しておくことが大切です。

可能であればすぐに入金する

すでに遅延損害金が発生している状況であれば、可能であればすぐに入金しましょう。

遅延損害金は経過する日数に応じて増加するため、放置すると負担が大きくなってしまいます。

さらに、滞納期間が長引くほど貸し手の信頼度が低下し、対応が厳しくなる可能性があります。

早めに対応しないと状況が悪化するので、手元にお金がある場合はできるだけ早く入金するのが望ましいでしょう。

借入先に返済について相談する

資金不足で返済が難しい場合は、できるだけ早く借入先に返済について相談しましょう。

可能であれば、遅延損害金が発生する前に、次回の引き落としに必要なお金を用意できない旨を連絡すべきです。

具体的には、以下の内容を伝えるとよいでしょう。

  • 返済が難しい理由
  • いつまでに支払える見込みか
  • 今後の返済計画

滞納する前に誠実に状況を説明すれば、返済期日を伸ばしてもらえるなど、何らかの配慮をしてもらえるかもしれません。

また、すでに遅延損害金が発生している状態の場合も、放置せずにできるだけ早く連絡すべきです。

対応した状態で放置すると、期間が長くなればなるほど印象が悪くなり、借入先の対応が厳しくなる恐れがあるからです。

すでに延滞してしまっている状況でも、早めに連絡し、謝罪するとともにいつまでに支払えるのかを伝えておくとよいでしょう。

弁護士・司法書士に相談し債務整理する

遅延損害金を全額支払うための資金が手元になく、どうしても返済が難しい場合は、弁護士や司法書士に相談し、債務整理することを視野に入れましょう。

債務整理をすると、借金を減らしたり支払いに猶予を持たせたりでき、無理なく返済できるように計画を練り直すことができます。

債務整理には任意整理・個人再生・自己破産の3種類があり、それぞれの内容は以下の通りです。

  • 任意整理:貸主と交渉し利息や遅延損害金を免除する手続き
  • 個人再生:借金を80%~90%減額する手続き
  • 自己破産:借金の支払いを免除する手続き

弁護士や司法書士に相談すると、これらの手続きによって、滞納分の借入の減額や免除を行える可能性があります。

どうしても返済が難しい場合は、弁護士や司法書士に相談してみましょう。

遅延損害金の計算方法についてよくある質問

遅延損害金の計算方法についてよくある質問

ここでは遅延損害金の計算方法などについて、よくある質問を紹介します。

クレジットカードの遅延損害金はいつから発生する?

クレジットカードの支払い日に口座からの引き落としができなかった場合、翌日から遅延損害金が発生します。

例えば2/10が支払い日で支払いをしなかった場合、2/11から遅延損害金が発生し始めます。

その後支払い完了するまで、日数分の遅延損害金が発生します。

少し遅れただけでも遅延損害金の支払い義務はある?

1日支払いが遅れただけでも、遅延損害金の支払い義務はあります。

カードローンやクレジットカードの場合、規約に遅延損害金についての記載があり、合意したうえで契約しているため、支払いが遅れた場合は支払い義務が発生します。

また、契約内容に遅延損害金に関する記載がなかったとしても、遅延損害金については民法で定められているので、支払い義務が発生します。

つまり、規約への記載の有無に関係なく、遅延損害金の支払い義務はあるということです。

借金の遅延損害金は最大何%まで設定できる?

遅延損害金は、民法に基づく「利息制限法」によって、最大で利息の上限金額の1.46倍に制限されています。

また、同法では、お金を貸した際の利息にも、元金に応じた制限が定められています。

具体的には以下の通りです。

元本額 上限利率 遅延損害金
10万円未満 年20% 年29.2%
10万円以上100万円未満 年18% 年26.28%
100万円以上 年15% 年21.9%

このように、お金を借り支払い期日に遅れてしまった場合、最大で30%近い利息を支払わなければならない可能性があります。

参照:第一条・第四条 利息制限法 | e-gov

記事まとめ

記事まとめ

遅延損害金は返済期日に遅れてしまうと、次の日から発生します。

計算方法は以下の通りです。

借入額×年率×滞納日数÷365日=遅延損害金

貸金業者は支払い期日を守らなかった場合、この計算方法に基づき、未払いの残高に対して遅延損害金が課されます。

滞納日数が多いほど、遅延損害金の金額は増えていきます。

そのため、損失を抑えるためには滞納しないのが一番なのはもちろんのこと、滞納してしまった場合はできるだけ早く支払うのが重要です。

また、長期滞納すると遅延損害金が高額になるだけでなく、最悪の場合裁判に発展し、預金や給与を差し押さえられる可能性もあります。

可能であれば滞納を避け、滞納してしまった場合はできるだけ早く返済し、滞納を解消するようにしましょう。

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