奨学金は利用すべき?教育ローンとの違いや借り入れ時の注意点を解説

離婚による母子家庭の貧困が話題となっている現代。

リストラや倒産、病気や低所得を理由に進学したくても、経済状況や家庭事情が悪化して叶わない子どもが多くいます。

お金のせいで子どもに夢を諦めてほしくない。そんなときに利用できる「奨学金」や「教育ローン」の違いや、借入時に気を付けるべきポイントをまとめました。

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どう違う? 奨学金と教育ローン

高校、大学と子どもが大きくなるにつれ、多くの教育資金が必要になります。

令和2年10月30日に、日本政策金融公庫が発表した教育費実態調査では、高校から大学を卒業するまでに、子ども一人につき965.1 万円かかるという結果がでています。

自宅外通学者への仕送りは年平均90.3 万円にものぼり、世帯収入が伸び悩む一方で家計を圧迫する原因にもなっています。

教育資金は、早めに準備しておくことに越したことはありません。しかし、コツコツ準備していても子どもの進路がどうなるかは予想しにくいもの。

想定していた以上のお金が必要になった場合はどのように工面すればいいのでしょうか。

参考:日本政策金融公庫

奨学金制度や教育ローンという仕組み

大学進学などに必要な額が、予想していた教育資金を上回った場合は「奨学金制度」や「教育ローン」を利用するという方法があります。

奨学金や教育ローンとはどんなものなのか、どれほどの人が利用しているのでしょうか。

奨学金 教育ローン
借主 学生本人 保護者
申込期間 申込期間あり いつでも
利子 在学中は無利子、あるいは超低利子 借りた翌日から、奨学金より高いケースが多い
お金の受け取り方 毎月分割で入金 一括で入金
返済開始 卒業後から 借りた翌月から

奨学金

奨学金とは、学生に貸与または給付される学資金のことをいいます。学生が学業やスポーツに取り組める環境を整えるため、経済的に助ける役割をしています。学力基準や世帯収入などの条件があり、審査に通った学生は奨学金を受け取ることができます。

  • メリット:低利子または無利子、返済不要の給付型もある

貸与型奨学金と給付型奨学金

奨学金には貸与型と給付型の2つがあります。貸与型の奨学金は将来返済する必要がある奨学金です。対して給付型の奨学金は返さなくてよい奨学金のことを指します。

教育ローン

教育ローンとは、教育に関する資金を支払うためのローンのこと。保護者が借りる教育資金なので返済義務は保護者にあり、契約条件によりますが翌月から返済が始まるものが多いようです。

申し込む金融機関によって条件が違います。

  • メリット:入学前に借り入れることができる、借り入れた金額が一括で振り込まれる

どのくらいの人が利用しているの?

日本学生支援機構の「平成30年度学生生活調査」によると、大学の学部生の47.5%が何らかの奨学金を利用しているという結果が出ています。

教育ローンの中で最も利用者が多い「国の教育ローン」においては、年間奨学金と教育ローンを併用している学生も少なくありません。

奨学金や教育ローンを借りていない世帯が、必ずしも教育費を家計のみでまかなえているわけではなく、学生自身のアルバイトや家計の節約などで毎月の学費などを捻出している状況です。

参考:日本学生支援機構

大学独自の奨学金も注目。いろいろな奨学金制度

奨学金は大きく分けて国が行う「日本学生支援機構の奨学金」と民間の団体が行う「民間の奨学金」、「大学独自の奨学金」の3種類があります。

ここではそれぞれの特色を見ていきましょう。

日本学生支援機構の奨学金

第一種奨学金

優れた成績の学生に対して無利子で貸与される奨学金のことをいいます。貸与金額は、学校の種類、自宅通学か自宅外通学かなどで異なります。

貸与金額:例)国立大学で自宅通学の場合 月額30,000円または45,000円

第二種奨学金

一般の学生を対象として有利子で貸与される奨学金のことをいいます。第二種奨学金の利子は、在学中は無利子、卒業後の利子は上限3%となっています。

貸与金額:大学の場合 月額20,000円~120,000円(10,000円刻み)

※私立の医・歯学、薬・獣医学の場合には、12万円にそれぞれ4万円、2万円が増額されます。

入学時特別増額貸与奨学金

入学初年度に一度だけ借りることができる奨学金。第一種または第二種の奨学金を申込んだ学生であり、本人の収入と配偶者の収入の合計が120万円以下、または国の教育ローンが利用できなかった人が対象となります。

入学時特別増額貸与奨学金は、入学前ではなく入学後に貸与されます。貸与金額:10万円・20万円・30万円・40万円・50万円

海外留学支援制度

海外の大学や大学院で勉強をすることを目的とした奨学金制度。国内の大学等に在学中に、海外の大学などとの協定に基づいて派遣される学生に対し奨学金が支給されます。

成績優秀者や経済的に留学が困難な学生など在籍校による審査があり、金額は留学する地域によって変わります。

奨学金月額:指定都市10万円・甲地区8万円・乙地区7万円・丙地区6万円

民間の奨学金

民間の団体からも奨学金を貸与または給付しているところが数多くあります。

理系大学に進学する女性を対象にしたものや、地域の大学等へ進むことを条件に貸与するもの、朝夕の新聞配達をすることで奨学金と給与が与えられるものなど、団体によりさまざまな特色のものが用意されています。

いずれも申し込みの期限がありますので、早めに問い合わせてみましょう。

大学独自の奨学金

主に私立大学が運営する奨学金制度で、貸与型と給付型の両方があります。学業成績優秀者やスポーツ成績優秀者、家計が急変し経済的に困難な学生に向けたものなど、学校によってさまざまな条件が設けられています。

在学中の学生だけではなく、入学試験前に申し込む場合もあるので、受験先が決まり次第調べてみましょう。

参考:独立行政リンク法人 日本学生支援機構HP「入学時特別増額」「海外留学の奨学金

金額や使途が多様な教育ローン

教育ローンは大きく分けて、国から融資を受けるものと民間の金融機関から融資を受けるものの2種類あります。

①国からの融資

公的な教育ローンには、日本政策金融公庫の「国の教育ローン」があります。教育ローンを考えるときには、まず民間より低利な国の教育ローンの条件に当てはまるか確認してみましょう。

<国の教育ローン(教育一般貸付)>

  • 融資限度額は学生一人あたり350万円まで(海外留学資金は450万円まで)
  • 固定金利(令和3年6月24日現在は、年1.66%)
  • 返済期間は原則として15年以内
  • 母子家庭・父子家庭・交通遺児家庭で、世帯年収が200万円以内であれば返済期間が18年以内に延長
  • 世帯年収制限あり
  • 申し込み後20日程度で借り入れが可能

国の教育ローンは、受験前でも申し込みができ、日本学生支援機構の奨学金とも併用可能です。他の教育ローンと比較して優れている点は、金利が安く固定であるということ。
資金の使徒(使い道)は入学金、授業料、施設設備費以外にも受験費用、住居費、教材費通学交通費など多岐に渡ります。

また、今後1年間に必要となる費用が対象です。

②民間の金融機関からの融資

金融機関との取引内容によって融資条件が異なります。固定金利や変動金利、金利優遇のキャンペーンなど、さまざまなタイプがあるのが特徴です。

  • 変動金利、固定金利の両方がある(年3~5%)
  • 申し込み後3~14日ほどで借り入れ可能
  • 住宅ローンなど取引内容やキャンペーンによって金利優遇を受けられることがある
  • 融資可能額は金融機関の審査、世帯年収などにより変わる(300万円まで、500万円までなど)

有担保(不動産担保)の教育ローン

医学部や歯学部など学費が高額になる場合や低金利で借り入れを希望する場合は、通常の教育ローンの借入金額では足りないことがあります。その際に土地や建物などの不動産を担保とした教育ローンが用意されています。

融資可能額は3,000万までなど、金融機関によってさまざまです。

返済は長期に及ぶことも。利用するときは慎重に

奨学金を利用するということは自身の借金を背負うことです。借りる際には将来長期に渡って返還するということを考えておきましょう。

返済計画

借りた金額をどのように返還するか、返済計画を立てることが大切です日本学生支援機構で借りた奨学金は、日本学生支援機構のHPで貸与額や返還額などのシミュレーションをすることができます。

また日本政策金融公庫のHPでは、国の教育ローンの毎月の返済額や返済総額の試算ができるようになっています。

例)日本学生支援機構の第二種奨学金

貸与金額:毎月5万円を48カ月、入学時特別増額30万円(総額2,700,000円)
貸与利率:基本月額分3.0%、入学特別増額分3.2%(返済総額3,401,367円)
返還:月々18,896円、返還回数180回(卒業後15年間)

その他の奨学金や教育ローンでは、申し込み時にパンフレットをよく読み、返済について調べておくようにしておきましょう。学費はいつまでにいくら必要か、いくら借りれば足りるのかなど、借りる前にしっかりと把握しておくことが大切です。

参考:日本学生支援機構HP「返済金貸与返還シミュレーション
日本政策金融公庫HP「教育ローン用返済シミュレーション

延滞問題

大学等の授業料が上がる一方で、世帯年収は年々減り続けている昨今。奨学金制度を利用する学生の中には、奨学金を滞納し、自己破産にまで追い込まれるケースも少なくないといわれています。

奨学金の返還は学校を卒業してから始まります。返還が滞ってしまう理由には、以下の理由があるといわれています。

  • 卒業後、非正規雇用などで満足のいく収入を確保できない
  • 返済のことを考えずに借り過ぎてしまった
  • 卒業後、資格を取る勉強をしているため収入が少ない

など本人の理由の他、家族のリストラや定年、退職、倒産などで家計が苦しく家族に生活を支えてもらえないなど、さまざまな背景が原因となっています。

奨学金を滞納すると、延滞する日数により延滞金がかかる場合があります滞納がつづくと家に督促状が届くようになり、個人信用情報機関に一定期間登録され、将来クレジットカードやローンを申し込んだときに支障が生じることもあります。

では家庭や本人の事情により返還ができない事態になってしまった場合には、どのようにすればよいのでしょうか。そのような学生のために、日本学生支援機構にはそれぞれの事情に見合った返還制度が用意されています。

所得連動返還型無利子奨学金制度

平成24年に新設。第一種奨学金の採用者で世帯年収300万円以下の学生は、卒業後、本人が年収300万円を得られるようになるまで、返還期限を猶予される制度。

減額返還制度

災害や疾病、失業などのやむを得ない事情で奨学金の返済ができなくなった学生が、最長15年間、月々の返還額を半分に減額できる制度。この制度が適用される期間は12カ月です。

返還期限猶予制度

災害、傷病、経済困難などのやむを得ない理由があり返還が困難になった学生に、返還期限を猶予する制度。適用期間が終わると返還が再び始まり返還終了も猶予されていた分延期されます。

返還免除制度

本人死亡の場合や、精神や身体などの障害により返還できなくなったときは、返還額の全部または一部の返還が免除される制度。

減額返還制度、返還期限猶予、海外留学奨学金の申請書などは日本学生支援機構のHPから取得できます。承認されない場合には、通常通りの返還を継続しなければなりません。

参考:文部科学省HP「奨学金事業の充実
日本学生支援機構HP「減額返還」「返還期限猶予」「返還免除

まとめ

大学から合格通知をもらって喜ぶのも束の間、入学の意思を示すためには入学金を振り込まなければなりません。

合格後、入学金を振り込む時期や期間は大学によって違いますが、合格発表後10~14日の間に振り込み期間を設けているところが多いようです。

私立大学の場合、入学料の平均はおよそ26万円。施設設備費や前期分の授業料をまとめて支払うことが多いので、それも合わせるとおよそ100万円の準備が必要になります。

滑り止めの学校に入学金を納めるという事態もよくあること。受験日や合格発表日、入学金振込期限のスケジュールをよく考えて準備しておきましょう。

入学金の納付時期前後は金融機関も込み合います。慌てないよう早めの検討をおすすめします。

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・このご案内には保険商品内容のすべてが記載されているわけではありませんので、あくまで参考情報としてご利用ください。また、必ず各引受保険会社の「契約概要」やパンフレット等で保険商品全般についてご確認ください。

・お引受内容により保険料が異なる場合がありますので、実際に適用される保険料については代理店または引受保険会社にお問い合わせください。

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