日帰り入院と通院の違いとは?対象となる手術や注意点まとめ
手術と聞くと、最低でも数日程度の入院が必要になるというイメージがありますが、近年は医療技術の向上等により、日帰りでの治療が可能なケースも増えてきています。
なお日帰りで手術を受ける場合は、それが「日帰り入院」と「通院」のどちらに該当するかによって保険の給付額が変わってくる点に注意が必要です。
この記事では、日帰り入院とはどのような場合を指すのか、また通院とはどのような違いがあるのかという点を解説していきます。
給付金の請求方法も紹介しているので、日帰り手術・入院を予定している方はぜひ当記事の内容を参考にしてみてください。
日帰り入院とは?通院との違い
まずは、日帰り入院とはどのような場合を指すのか、また通院とはどのような違いがあるのかといった点について詳しく見ていきましょう。
日帰り入院とは
日帰り入院とは、入院日と退院日が同日となるケースで、入院基本料等の支払いが必要な場合を指します。
日帰り入院の具体的な定義・条件は以下の通りです。
- 入院日と退院日が同じ日付であること(午前0時を跨がない)
- 領収書の「入院費等」の欄に診療報酬の点数が記載されていること
病院では午前0時を跨がずに帰宅すれば日帰りと判断されます。そのため、例えば朝の10時に病院を訪れて手術を受け、その日の23時に退院したという場合は日帰り入院となります。
一方、23時に病院へ運び込まれて翌朝5時に帰宅したという場合は、日を跨いでいるため24時間以内であっても2日間の入院とカウントされる仕組みです。
また領収書を確認することでも日帰り入院と通院のどちらであるかを判断できます。入院の場合は入院基本料の支払いが必要となるため、領収書の「入院費等」の欄に診療報酬の点数が記載されます。点数が記載されていれば入院、点数欄が空欄のままであれば通院と判断しましょう。
この2点をあわせて考えることで、2日入院・日帰り入院・通院の区別が可能となります。
日帰り入院と通院のどちらに該当するか判断できない場合
領収書があれば日帰り入院と通院の区別が可能ですが、中には自己判断だけでは不安という方もいるでしょう。
より確実に判断するなら、病院の関係者に尋ねてみる方法がおすすめです。入院・通院を判断するのは医師であるため、診察の段階で自身の担当医に確認しておくと安心できるでしょう。
もし担当医の判断と領収書の内容が異なっている場合は、受付のスタッフに問い合わせる等して、不安が残らないようにしておきましょう。
また入院給付金の請求書類を取り寄せる際に、保険会社の担当者に最終確認をすることも大切です。日帰り入院の事実や領収書の記載内容等を伝えた上で、入院給付金を請求できるかどうかを確認しましょう。
日帰り入院に該当するケースとは
続いて、日帰り入院に該当しやすい治療・手術とはどのようなものか、また通院扱いになりやすい治療・手術とはどのようなものかを解説していきます。
日帰り入院になる可能性が高い治療・手術例とは
日帰り入院の場合、外来で診療・検査をしたうえで手術日を決定し、手術当日に入院して当日中に退院するというのが基本の流れです。
日帰り入院の対象になりやすい手術例としては、以下のようなものが挙げられます。
- 鼠径ヘルニア手術
- 痔核根治術
- 下肢静脈瘤手術
- 胆石等に対する腹腔鏡手術
- 内視鏡的大腸ポリープ切除術
- 食道静脈瘤の内視鏡手術
- 体外衝撃波腎尿管結石破砕術
- 上肢骨折手術
- 声帯ポリープ切除術
- 内視鏡下副鼻腔手術
- 眼科手術 等
これらの治療・手術は日帰り入院として扱われる可能性が高いでしょう。ただし、治療後の経過によっては2日以上の入院となる場合もあります。
最終的な判断を行うのは医師であるため、必ずしも上記の治療が日帰り入院になるとは限らない点を理解しておきましょう。
通院扱いになる可能性が高い治療・手術例とは
日帰り入院と混同されやすい事例が、外来のベッドで治療を受けて休養するケースです。
例えば“熱中症で病院に運ばれ、外来用のベッドで点滴を受けた後、当日中に帰宅した”というケースでは、外来での治療・休養のみという判断になるため、入院とはならず通院扱いになります。
このように、入院設備のある・ないに関わらず、外来のベッドで点滴や透析等の治療を受けたり、休養をしたりしただけであれば、医療保険における「入院」には該当しない点に注意しましょう。
給付金を受け取るには?請求時の注意点
ここからは、日帰り入院で給付金を受け取るためのポイント・注意点について詳しく見ていきましょう。
給付金の請求前に確認すべきポイントとは
日帰り入院の給付金を請求する際は「手術をしているか否か」が重要なポイントとなります。手術をしている場合は入院給付金の他に手術給付金も受け取ることができるためです。
なお請求の際は医師の診断書が必要になるため、こちらも忘れずに準備しておきましょう。
また手術を伴わない入院の場合、診断書の発行費用が給付額を上回る可能性がある点に注意が必要です。診断書の作成には5,000円前後の費用がかかるため、日帰り入院の給付金が5,000円未満の場合は損をすることになります。
給付金請求の際には病院と保険会社の両方に確認を行い、認識に間違いがないようにしておきましょう。
保険によっては日帰り入院が対象外の場合も
保険商品の中には、日帰り入院をしただけでは給付金が発生せず、5日以上入院して初めて入院給付金の請求を行える商品もあります。
近年は入院日数が短期化していることもあり、日帰り入院でも入院給付金を受け取れる商品が増えています。しかし10年程前は現在とは異なり、給付金の適用条件が“5日以上の入院”となっている商品も珍しくありませんでした。
そのため、契約内容を何年も更新していないという場合は、契約の見直しや保険会社の切り替え等を検討してみると良いでしょう。
給付金の請求期限に注意
日帰り入院による給付金の請求は、ほとんどの保険商品で期限が定められています。請求期限は保険会社や商品によって異なるものの、3年以内に設定されているケースが多いでしょう。
一定の要件を満たすことで期限後の申請が認められるケースもあるものの、基本的には入院給付金の対象になることが分かった時点で必要書類を取得し、早めに手続きすることが大切です。
給付金の請求方法・手順をチェック
最後に、日帰り入院による入院給付金の請求方法・手順を確認していきましょう。
給付金を請求する場合の流れとは
日帰り入院・手術の給付金を請求する際は、インターネットや電話・郵送で手続きを行うのが一般的です。
手続きの際に必要となる証明書類には以下のようなものがあります。
- 保険証券
- 診療明細書
- 入院証明書
- 保険会社所定の診断書や給付金請求書
インターネットの場合、必要事項を入力して証明書類の画像をアップロードすれば手続きが完了するため、なるべく手間を省きたいという方におすすめです。
また電話・郵送で手続きする場合は、問い合わせ後に手続き用の書類が送付されるので、届いた書類に必要事項を記入し、証明書類を同封して郵送しましょう。なお保険会社によっては、Webサイトから直接手続き用の書類をダウンロードできる場合もあります。
保険商品を選ぶときのポイントとは
日帰り入院で支給される給付額は、保険会社や商品によって異なります。
従来は1日あたり5000円~1万円程度の金額が設定されており、入院日数に応じて入院給付金が支払われる商品が一般的でした。しかしこの場合、日帰り入院で受け取れる入院給付金が少額になるため、診断書の作成費用で相殺されてしまうというデメリットがあったのです。
一方、入院給付金が一時金として支払われるタイプの保険であれば、従来の商品とは異なり日帰り入院でもまとまった金額の給付金を受け取ることが可能となります。
今後新たに医療保険を契約する場合は、入院一時金を受け取ることのできる商品を選ぶと良いでしょう。
記事まとめ
- 日帰り入院とは、入院日と退院日が同日となるケースで、入院基本料等の支払いが必要な場合を指す
- 外来のベッドで治療を受けて休養した場合は日帰り入院とは判断されない場合が多い
- 古い保険の場合、日帰り入院が入院給付金の対象外となっている可能性があるため、一時金を受け取れるタイプの保険商品への切り替えがおすすめ
医療の進化によって入院が短期化するとともに、日帰り手術・入院も一般化してきています。しかし治療内容によっては、日帰り入院と通院のどちらに該当するのかが判断しづらいケースもあります。
日帰り手術を受ける際は、日帰り入院に該当するかどうかを医療機関に確認し、適切に給付金の請求を行えるようにしておきましょう。