自動車保険の保険料はどう決まる?保険会社の選び方と知っておきたい基礎知識

ドライバーにとって、万が一の時に頼りになるのが自動車保険(任意保険)ですね。一方で保険料が気になる人も多いはず。

なるべく安く抑えたい一方で、補償の内容も充実させたい…この記事では、自動車保険料の基本的な知識はもちろん、保険料を安く抑えるコツや保険会社の選び方について詳しく解説しています。

保険料を大きく左右する「等級」ってなに?

自動車保険の等級制度

  • 無事故を継続することで1年ごとに等級が高くなり、保険料がだんだん安くなる仕組み

自動車安全運転センターによると、一度事故を起こしたドライバーは再度事故を起こしやすい、というデータが出ています。事故を起こす可能性が高い人と事故を長年起こしていない人の保険料が同じなのは平等ではありません。自動車保険の等級とは契約者間の不公平をなくすためのものといえるでしょう。

自動車保険の等級制度には「ノンフリート契約」と「フリート契約」の2タイプがあります。

ノンフリート契約

  • 自動車の総台数が9台以下の時に適用される契約

フリート契約

  • 所有する自動車の総台数が10台以上の時に適用される契約

両者は割引などのルールが異なるので、本記事では「ノンフリート契約」についてのみ解説します。

等級は1〜20の20段階があり、割引率が変わる

自動車保険の等級は1〜20までの20段階に分かれています。20等級がもっとも保険料が安く、1等級の保険料がもっとも高いです。新規で自動車保険に加入した場合、6等級からスタートします。

保険会社によって割引率は若干異なりますが、20等級ともなると6割程度の割引を受けられます。

逆に最低ランクの1等級になると保険料を約6割増しで支払わなくてはなりません。しかも会社によっては契約の更新を拒否されるケースもあり得ます。

また同じ等級であっても、7等級以上では1年間の事故の有無によって割引率は変わってきます。仮に20等級なら、本来であれば約6割の割引を受けられますが、事故有の場合は4割ほどの割引に下がってしまいます。

あくまで目安ですが、事故有の場合は無事故に比べて20%ほど割引率に差が出ると覚えておきましょう。

等級はどうやって上がっていくの?

等級を上げるには無事故を継続することが条件になります。無事故で1年経過するごとに等級が1ランクずつアップしていくという仕組みです。

覚えておきたいポイントとしては、もし事故を起こしても自動車保険を使用しなければ等級が下がらないという点。たとえばちょっとした擦りキズ程度であれば、保険を使用せずに修理した方が有利という考え方もできるでしょう。

自分ではなかなか判断がつかないようであれば、保険会社の担当者と相談してください。一度上げた等級は車を買い替えても条件次第で引き継げますし、保険会社を変更しても等級の引き継ぎは可能です。

同居の家族間で等級を引き継げますので、状況に合わせて検討してみましょう。ランクアップした等級が無駄になるケースは少ない、ということを覚えておいてください。

事故によっては等級が一気に下がる!

事故を起こさなければ等級は上がりますが、逆に事故を起こせば等級が下がります。状況によっては一度の事故で数ランク落ちるケースもあります。たとえば自動車同士で激突事故を起こしたり、電柱にぶつかるような危険走行をするといった危険運転は、翌年度の契約時に3等級もダウンします。

大きな事故を何度も起こすとあっという間に等級は下がってしまうでしょう。

一方で台風などの自然災害で車が破損したり、車上荒らしに窓ガラスを割られたり、車体への落書きなどの車両損害に関しても、保険を使用すれば等級が1つ下がります。

さらに保険を使用すれば事故有等級が適用されることになります。適用期間は3等級ダウンの事故は1件につき3年間、1等級ダウンの事故は1件につき1年間です。事故を複数回起こしてしまうと最長6年間適用されてしまうこともあります。

ちなみに事故を起こしてもノーカウントになるケースもあります。条件は、人身傷害補償保険や搭乗者傷害保険のみを請求する時や弁護士費用特約、ファミリーバイク特約などの請求が当てはまります。

自動車保険を安くするなら走行距離もポイントになる

自動車保険にかかる料金をリーズナブルにしたいなら、走行距離に応じて保険料を支払うタイプの保険への加入も有効な方法です。

自動車の走行距離が短い人ほど事故に遭うリスクは低いので、保険料が高額になってしまう保険契約を結ぶ必要はありません。一方で車をよく利用し、走行距離が長いのであれば手厚い保険が望ましいです。

走行距離から保険料を導き出すシステムは、契約者の生活に合った保険を選ぶために合理的な方法であるといえるでしょう。

保険の内容によっては、走り過ぎた場合であっても走行距離の差額保険料を支払うことで補償が適用され、支払った保険料に対し走行距離が少なくても翌月に繰り越して使える場合もあります。

自動車保険の年齢制限はなぜあるの?

自動車の保険料は年齢によって差があり、若い人ほど保険料は高めに設定されています。運転歴の短さから、事故を起こすリスクが大きいと考えられているためです。実際、統計的にみた場合でも一番事故率が高いのは若年者というデータが出ているようです。

年齢が上がってくるほど保険料は安くなりますが、70歳以上の高齢者になると、事故率の高さから保険料が上がります。

「年齢制限なし」というものもありますが、これは保険料がもっとも高いのでよく検討する必要があるでしょう。

年齢条件の線引きは保険会社によってさまざまですが、基本的に以下の3区分に分かれています。

  • 全年齢
  • 21歳以上補償
  • 26歳以上補償

「26歳以上補償」については会社ごとに違いがあります。30歳以上、40歳以上と10歳単位で区切っている会社もあれば、30歳以上、35歳以上と5歳単位で区切っている会社も存在します。

自分にとってお得な自動車保険はどのような形式なのか、よく考えて保険会社を選ぶようにしてください。

年齢条件の適用にも範囲がある

自動車保険の年齢条件には適用範囲があります。「記名被保険者」「記名被保険者の配偶者」「同居している家族」などが一般的です。一緒に暮らしていない家族や、友人、知人に関しては年齢条件が関係ない、ということも覚えておきましょう。

年齢条件を決める際には同居している家族を基準に考え、家族の中で一番若い人に年齢条件を設定することになります。一点注意したいのが、そのもっとも若い人があまり運転しないようであれば再考の余地があるでしょう。ほとんど運転しない人のために毎月1.5~2倍の保険料を支払うのは非効率的だからです。

そういう人が運転する時は、1日500円程度で加入できる自動車保険を活用する方がお得かもしれません。

年齢条件は見直しが重要

21歳、26歳など補償が切り替わる年齢を迎えたら「今のプランは適切か?」ということを見直す習慣をつけるようにしましょう。年齢が高いプランほど保険料は安くなるので節約につながります。

自動車保険の条件は、契約中であればいつでも変更可能です。次の更新日まで待つ必要はありませんので、保険料をできるだけ早く下げるようにしましょう。

また子供が別居する場合には、年齢条件を親の年齢まで引き上げるのを忘れないでください。年齢だけでなく「運転者の範囲」も併せてチェックしましょう。

子供も運転ができるように、運転者の範囲を「家族限定」にしている場合は変更を検討してください。「本人限定」もしくは「本人・配偶者限定」に変更すれば、保険料が大幅に安くなるでしょう。ただし年齢条件をこれらの条件に変更した状態で子供が車に乗って事故を起こすと、保険金の対象にならない点に注意が必要です。

自動車保険の証券について知っておきたいこと

自動車保険に加入すると、保険契約に関する情報などが記載された「証券」が発行されます。

証券に記載されている内容は以下の通りです。

  • 契約者と契約に含まれる車両
  • 補償の対象となる車の情報(車の車種や仕様などの情報)
  • 保険に加入した契約者の氏名など
  • 保険契約に関する内容
  • 基本条件
  • 特約に関する内容

重要なのが「保険契約に関する内容」で、特に「保険に加入している期間」に注目してください。保険に加入した日付と、保険の契約が解除される日付が記載されています。

証券をペーパーレスにすれば保険契約料が安くなる?

証券を発行するためには紙資源を使います。しかしインターネットが普及した現代では、契約の内容を必ずしも紙にする必要性はありません。ネットを利用すればいつでもどこでも契約内容を確認できるからです。

万が一事故が発生した際にも、証券番号を把握しておけば契約の内容はすぐに照会できます。

しかも証券の発行をカットすることで保険契約料が安くなる「ペーパーレス割引制度」もありますから、紙の証券にこだわりがなければ活用すべきでしょう。

しかしペーパーレス割引には「なんらかの障害によってWebの機能が使用できなくなってしまった際に、契約内容を確認できない」というリスクがあります。

契約内容をインターネットで照会することが面倒だと感じる方には不向きといえます。

自動車保険の証券をなくしてしまったら?

自動車保険の証券を紛失してしまったら、まずは保険会社に連絡をする必要があります。代理店で保険契約をした場合は、直接店舗に足を運ぶのもよいでしょう。

証券を再発行するためには、必要書類を提出する必要があります。保険会社の指示に基づいた再発行手続きを行うと、1〜2週間後に新たな証券が発行されます。

そのタイミングでペーパーレスに切り替えるのも一つの手でしょう。一度証券を発行している場合でも、ペーパーレスに切り替えれば割引が適用されます。紛失の心配がなく安心できるでしょう。

自動車保険の一括払い!メリットとデメリットとは?

自動車保険の支払い方法は以下の種類があります。

  • 月払い
  • 一括払い

ここでは一括払いについてみていきましょう。

一括払いのメリットとしては、保険料の支払い額が安くなるという点です。月払いに比べて約5%安くなります。

契約内容によっては1年間で数千円の差が出る可能性もあるため、まとまったお金が用意できるなら一括払いを選択したいところです。

さらに支払い方法の選択肢が豊富という利点もあります。月払いでは、ほとんどがクレジットカードと口座振替のどちらかを選んで支払うことになりますが、一括払いならコンビニや郵便局などの方法も利用できるので好みに合わせて選択可能です。

また一括払いは1年分の保険料を一回で支払うことになりますから、保険料の払い忘れがなくなります。月払いで払い忘れの状態が続くと契約を解除される可能性がありますが、一括払いにすればそんなリスクを回避できます。

一方デメリットとしては、一度に多額のお金を支払わなくてはならないという点です。年間の自動車保険料は数万円単位の出費となるため、人によっては厳しいといえるでしょう。

楽に見える月払い…メリットとデメリットは?

続いては月払いに注目してみましょう。

月払いにするメリットは一回の支払いが少額になるという点です。毎月数千円の出費に抑えられるので財布の負担が軽く済みます。

ただし一括払いと比べて月払いは約5%の保険料を余分に支払うことになります。最終的には支出が増加することを忘れてはいけません。

さらに一括払いのメリットとは逆に保険料の支払いを忘れる恐れもあります。支払い忘れによって契約が解除されてしまうと、事故を起こしても保険が使用できなくなり、補償を受けられなくなってしまいます。

保険料の支払い忘れをなくすには、銀行口座に残高があるかどうかを常に確認する必要があります。支払い日の前に必ず口座を確認して、足りない分を口座に入れるようにしましょう。

そのほか、月払いの場合はクレジットカードもしくは口座振替以外の支払い方法は利用できないので注意が必要です。

月払いのデメリットはほかにもあります。自動車保険の月払いは1ヶ月に1回、年間で12回支払うというように思われがちです。

しかし保険会社によっては年間で10回、11回のように支払い回数が違うところがあります。このような保険会社の場合、月によっては2~3ヵ月分の支払いを請求されるため注意が必要です。契約内容を確認して、払い忘れのないようにしましょう。

自動車保険の支払いは一括払いが基本となる

一括払いと月額払いについて説明しましたが、実は自動車保険料の支払いは一括払いが基本となります。

そのため保険料の徴収を一括払いのみに限定している会社が多いです。もし月払いで自動車保険に加入したいのであれば、月払いが可能な保険会社を探す必要があります。

いろいろあるからこそ!自動車保険を比較してみよう

自動車保険を長い間見直していないという人は、次の更新時に各社の自動車保険を比較することをおすすめします。

自動車保険は会社によってさまざまな特徴があり、他社との差別化を図るために便利なサービスを打ち出しているのです。サービス面はもちろん、保険料の安い自動車保険を新たに発見できるかもしれません。

車に乗る頻度や走行距離が変わったなど、契約内容に大きな変化があったときも、保険会社を比較検討する良い機会です。

自動車保険を見直すときのヒント

自動車保険を見直すときの比較で大きなポイントになるのが「価格と補償のバランス」です。

自動車保険は便利な特約が増えており「あれもこれも」とつけたくなる気持ちはわかりますが、結果として保険料が大きく上がってしまうのでは見直しの意味がありません。

はじめに必要な補償は何かを決めましょう。人身や対物、そして対人補償は最低でもつけておきたい補償です。車両保険は新車かどうかなど車の程度に応じて決めましょう。

また年間にどれくらいの走行距離を乗るのか、誰が乗るのかでも保険の価格は違います。走行距離が少ない人やゴールド免許の場合は割引対象にしている自動車保険が多く、それだけ安い価格での利用が可能です。

安くなった分をほかの特約にあてるといった方法も有効ですね。

気をつけたいのは、保険料の安さを優先して必要な補償や特約まで削らないことです。インターネットで契約できる自動車保険の多くは、ネット上であらかじめプランに応じた見積もりが出せるようになっています。全体を確認しながら、いろいろなパターンを出したうえで検討してください。

自動車保険比較!事故対応で保険を選ぶ際のポイントは?

自動車保険の補償内容は各社大きな差はありませんが、事故対応のサービスや品質は大きな違いがあるようです。

たとえば事故連絡の24時間対応や、事故車両のレッカー移動といったロードサービスが一般的になってきている一方で、医師への相談や地震による事故へも対応している自動車保険がみられます。

また保険未加入の車との事故を補償する保険などもあり、時代のニーズに合ったサービスがそれぞれの自動車保険に用意されています。

自分がどの部分に重点を置きたいかを考え、自動車保険を比較しましょう。

自動車保険比較!ダイレクト型VS代理店型

自動車保険にはダイレクト型と代理店型があります。

ダイレクト型とは

  • 自動車保険会社と直接契約するもので、主にインターネットで手続きをし、契約書などの書類は郵送されてくるのが一般的

代理店型とは

  • 自動車保険会社との間に代理店が入るもので、契約はその代理店に出向くなどして対面で契約するのが一般的
ダイレクト型でインターネット契約を選ぶ場合にはネット割引が設定されているところが多く、安い価格で契約できるというメリットがあります。 事故などが発生した場合の対応にも違いがみられます。ダイレクト型は直接自動車保険会社にメールまたは電話で連絡しますが、代理店型は代理店の担当者を通して自動車保険会社とやりとりするという流れになります。

まとめ

自動車保険の保険料は等級や年齢によって大きく変わってきます。特に等級は重要な要素で、事故を起こさなければ等級が上がり、事故を起こせば等級が下がります。

一方で保険料を少しでも安くしたいのであれば、証券をペーパーレスにする、月払いを一括払いに変更するといった方法もよいでしょう。

そして何よりも、保険会社それぞれから見積もりを取り、リーズナブルな保険を選ぶというのも有効です。

その際は価格の安さだけに注目してはいけません。補償の内容が十分でなければ、万が一の時に後悔するはずです。

価格と補償内容のバランスをしっかり見極めて、自分にとってベストな保険を選びましょう。

・当サイトは、各保険の概要についてご紹介したものです。取扱商品、各保険の名称や補償(保障)内容等は引受保険会社によって異なりますので、ご契約にあたっては、必ず各引受保険会社の「重要事項説明書」をよくご確認ください。ご不明な点等がある場合には、代理店までお問い合わせください。

・このご案内には保険商品内容のすべてが記載されているわけではありませんので、あくまで参考情報としてご利用ください。また、必ず各引受保険会社の「契約概要」やパンフレット等で保険商品全般についてご確認ください。

・お引受内容により保険料が異なる場合がありますので、実際に適用される保険料については代理店または引受保険会社にお問い合わせください。

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