ライフイベントに備えた資産運用を始めるときに考えておきたい2つの大切なこと

将来を考えて資産を増やすことは絶対に必要?
今から始めるのであれば何からやるべき?
など、資産運用を考える際にはさまざまな疑問が生じることでしょう。

そこで今回の記事は、「ライフイベントとその際に必要となる資金を考えるべき」という専門家からの意見をもとに、資産運用初心者にとって必要なことをまとめてみました。

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中川 裕司 (なかがわ ひろし)

岐阜協立大学 経営学部 学部長・教授

中川 裕司 (なかがわ ひろし)

岐阜協立大学経営学部学部長・教授、博士(経営学)。経営財務論、データ分析、医療情報統計学、統計モデリング研究などの講義を担当する。

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近い将来のライフイベントにはいくらかかるか?

結婚、子どもの誕生や進学、マイホーム購入、定年退職など、私たちの人生にはさまざまな「ライフイベント」があります。そして、それぞれのライフイベントにおいて行き当たるのが「必要資金」の問題。

いざライフイベントを目前にしたときに資金がない、求めるものを手に入れるための予算が不足している、といった事態はできれば避けたいものです。その備えとして今から始められるのが、貯蓄や投資といった資産の運用です。

毎月の収入の一部を原資として運用し、資金を蓄えていくことで自分が望む形のライフイベントを迎えられるはず。その考えのもと、資産運用に関するアドバイスを以下に述べていきます。

まず必要となるのは、それぞれのライフイベントではどれぐらいの費用がかかるのかを知ること。漠然と「資産を増やす」「運用して利益を上げる」と考えるだけでは、必要のない投資を繰り返したり、場合によっては資産を減らしてしまったり、という結果につながる可能性もあります。

まずは、各機関から発表されているデータをもとに、これからライフイベントを迎える自分自身に必要な資金の規模をイメージしておきましょう。

人生における大きなライフイベントの1つが「結婚」です。『ゼクシィ結婚トレンド調査2020』によると、結婚前の準備や結婚式の手配、新婚旅行などの費用総額の全国平均は469万2000円。

もちろん、この金額からご祝儀や新郎新婦それぞれの親からの支援などを差し引いたものが自己負担資金額となりますが、結婚式を上げるとなると、夫婦で200万円は用意する必要があると言えるでしょう。仮に、現在26歳の人が30歳で結婚するとすれば、約4年間で負担額の半分である100万円を用意する必要がある、ということになります。

また、子どもの誕生というライフイベントで必要となる出産費用に関しては、公益社団法人国民健康保険中央会の2017年調査結果では平均50万5759円(正常分娩の場合)。

こちらも「出産育児一時金」で後に支給される42万円との差額が自己負担金となりますが、出産前の検診費や出産後の必要資金も視野に入れた1つの目安となるはずです。結婚からの2年後の32歳で第一子誕生というモデルケースであれば、上記の結婚費用と同様、年間約25万円の資産増を目指す必要があるというわけです。

これらの数字はあくまでも大雑把な算出額ですが、それぞれのライフイベント費用の目安として、事前に知っておくべき情報だと言えるでしょう。

考えるべきことその1は「マイホームを買うか、買わないか」

結婚、出産の後も、子どもの進学など大きなライフイベントが人生には待ち受けているでしょう。その中でも資産形成にあたり分岐点となるのは「マイホームの購入」です。

結婚や出産と違い、ローンによる購入であれば頭金などの資金の準備に加え、購入後も続く支払いを見据えた長期的な資産運用プランが必要となるのが、この「マイホーム購入」の特徴と言えるかもしれません。

このライフイベントに備える心構えをアドバイスしてもらうため、専門家である岐阜協立大学 経営学部長・中川裕司教授に話を聞きました。

「人生における資産運用を考えた場合、その一番大きなポイントとなるのはマイホームを買うか買わないか、という判断だと思います。最近、『今後約20年で住宅ローン返済世帯が抱える負債が貯蓄を上回る負債超過の額が4割増え、老後の生活を圧迫する恐れもありそうだ』とする報道もありました。...※

さらには、『老後2000万円の貯蓄問題』も話題になりましたし、住宅ローンが生活に大きな負担を強いる可能性があるというのが現状だと思っています。資産運用を考える上では、60歳でリタイアするときの資産額も視野に入れ、マイホームを買うのか、ずっと借家で過ごすのかという選択をする必要があるのではなでしょうか」
(中川教授)

*2021/07/05 日経新聞記事

中川教授によれば、近年激甚化している自然災害という要素も、その判断の際には必要となるはずだということです。

災害によって家を失いながらも、住宅ローンだけは払い続けなければならないという状況は、資産運用以前に生活できるかどうかを左右する大問題になります。

もちろん、地震や自然災害に対する保険も存在しますが、残債のすべてが保証される可能性は極めて低いのが現在の見通しです。そのリスクを踏まえた上で、購入するかしないかの判断をするべきだというのが中川教授の意見なのです。

「もちろん、マイホームを購入するというのも1つの選択肢ですし、賃貸料を払い続けるよりもメリットがあるという側面もあると思います。その上でアドバイスをするならば、まずは購入するかしないかを考える、そして購入するのであればどこにするかを考えるべき、ということでしょう。

たとえば、直下型の地震発生の可能性が大きい地域は避けるなど、リスクを最小限にできる地域を選んで購入を計画し、そのために必要となる金額を設定する。そしてその資産運用を可能にする投資商品を考える、というのが最良の方法なのではないでしょうか」
(中川教授)

考えるべきことその2は「ライフイベントに必要なリターンを得る」

中川教授には、資産運用を始める上で必要なことに加え、どんな投資商品を選ぶとよいか、という視点でのアドバイスもしてもらいました。

「一般的な話ですが、少額で始められる上に非課税枠もある『NISA』『つみたてNISA』や、個人で運用できる年金制度である『iDeCo』といったものが挙げられると思います。

また、コロナ禍におけるオフィスビルの不動産価値下落で指数が落ちていた『J-REIT』に関しても、現在は持ち直しの兆しが見えていると思っています。こうした投資商品を詳しく調べ、資産運用方法として最良のものを選択するべきだと思います」
(中川教授)

また中川教授は、“これからの産業”に注目して銘柄を選ぶ株式投資にも可能性がある、という持論も語ってくれました。

そのキーワードとして挙げていたのが、AIやドローン活用による流通、カーボンニュートラル、宇宙開発といったもの。こうした社会的に“伸びている”領域の情報をもとに銘柄を選択し、現段階から少額でも投資しておくのが1つの方法であるというのが中川教授のアドバイスです。

加えて、常にアンテナを広げながら情報を収集しておく必要があるとも語ってくれました。

「当然のことなのですが、やはり日頃のニュースを注意深く見て、これから上がりそうな産業や企業をチェックしておくということは、資産形成をする上で最低限必要なことだと思います。

以前であればヘッジファンドが空売りで大きな利益を上げるのは普通のことでしたが、最近では下落している銘柄を一般投資家がSNS上で連携して買い支えた、という事例もありました。

とにかくアンテナを張っておかないと危険ですし、大きな利益を得たいと考えれば国内だけではなく海外の銘柄にも目を向ける必要があると思います」
(中川教授)

大きな資金が必要となるマイホーム購入に向けて、短期的に利益を出す。あるいは老後に備えた資産形成のために、長期的に安定した商品を選ぶ。

必要なのは、ライフイベントに合わせた目標金額を明確に設定し、その達成のために無理のない資産運用を行うことが大切だということでしょう。

「リスクを抑えるのであれば少額で始められる投資商品を、ある程度のリスクを取るのであれば海外株式への直接的投資や投資信託を、という具合に考えるべきだと思いますね。

現状、税金的にかなり優遇されている商品も出ていますし、伸びる可能性が大きい産業もあります。いずれにせよ、老後のためにやるのであれば、今のうちに少額から始めて、無理せず長期で考えて収益を得るべきだというのが、私の考えですね」
(中川教授)

まとめ

自分の人生におけるライフイベント、そしてそこで必要となる資金を見据えながら、無理なく続けられる資産運用を実行する。

豊かな人生を送るためには、その人生において必要となる資金しっかりと考え、リスクとリターンを認識しながら、無理なく行動をするべきだということでしょう。自分自身の未来の姿をイメージしながら、今から始められる資産運用にチャレンジしてみましょう。

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