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投資信託のトータルリターンって何?利回りとの違いや注意点を解説
投資信託のトータルリターンって何?利回りとの違いや注意点を解説
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投資信託のトータルリターンを正しく理解して自分に適した銘柄選びを!

「老後2000万円問題」や新NISAのスタートにより、資産運用について耳にする機会は以前よりも増えているのではないでしょうか。

その中でも少額から始められ、投資の専門家に運用をお任せできる投資信託は投資初心者の間でも人気の金融商品となっています。

投資信託で色々調べていると「トータルリターン」という用語にたどり着いた方も多いかと思います。

本記事では、投資信託商品を購入する上で知っておきたいトータルリターンについてを解説していきます。

投資信託のトータルリターンとは資産の増減と分配金を含む全期間の収益

投資信託のトータルリターンとは資産の増減と分配金を含む全期間の収益

投資信託のトータルリターンとは、投資信託の購入時から前営業日までの累積分配金を含む損益の合計金額を指します。

トータルリターンを見ることで得られるメリット

投資信託でトータルリターンを見る代表的なメリットに以下の3点が挙げられます。

1.全体的な収益の把握

トータルリターンは、投資信託の過去のパフォーマンスを全体的に把握するための指標です。

過去の収益をトータルリターンとして見ることで、その投資信託商品がどれだけの収益を上げたかを把握することができ、将来の収益性を予測する上で役立ちます。

2.リスクとリターンのバランスの把握

トータルリターンを見ることで、投資信託のリスクとリターンのバランスを理解できます。

過去のリターン状況を全体的に見通すことで、その投資信託商品がどれだけのリスクを背負い、どれだけのリターンを得てきたかを把握することが可能です。

3.長期的な視点を持てる

トータルリターンを見ることで、投資信託の長期的なパフォーマンスを評価することにも繋がります。

長期的なトータルリターンを見ることで、情勢の移り変わりや一時的な市場の変動を把握できるためです。

該当する投資信託商品が持続的な収益を上げられるかどうかを判断する指標の一つとして大きく役立ちます。

計算方法について

トータルリターンの計算方法は、「評価金額」+「累計売付金額」+「累計分配金額」−「手数料」より算出されます。

評価金額とは、保有しているファンドの保有口数と、全営業日までの基準価額により算出した金額です。

累計売付金額とは、これまで売却された売付金額の累積額です。

解約手数料や信託財産留保額、源泉徴収税額等の費用が控除された後受け取る金額になります。

手数料は主に運用会社に支払う手数料のことです。「信託報酬」とも呼ばれたりします。

信託報酬は一般的に年0.5~2%程度の手数料がかかります。

また、ノーロードと言って購入した金融商品によっては、手数料を取らない場合もあるので、自分が保有する投資信託の特徴も確認しておきましょう。

トータルリターン通知制度とは?

トータルリターン通知制度とは、保有している投資信託商品の損益を年1回以上投資家に通知しなければならない制度のことです。

通知方法については各証券会社ごとに異なりますが、基本的に書面またはFAX、電子メール、インターネット等の電子交付によって通知がなされます。

どこからトータルリターンを確認できるのか分からない方はご自身が保有している商品の運用会社に問い合わせてください。

平均利回りとの違いは何?考え方のポイントを具体的に解説

平均利回りとの違いは何?考え方のポイントを具体的に解説

トータルリターンと平均利回りはどのような違いがあるでしょうか。

このトータルリターンや平均利回りは投資信託商品を選ぶ上でも重要な判断材料となりますので違いについても理解しておきましょう。

平均利回りはパーセント表示

平均利回りは出資した元本が1年間でどれだけの損益を出したかを示すものです。

これらはパーセンテージで表記されますので、例えば100万円の投資信託商品を保有しており年間の評価損益が5万円のプラスであった場合、平均利回りは5パーセントとなります。

トータルリターンは金額表示

トータルリターンは冒頭でも説明したとおり、投資信託の購入時から前営業日までの累積分配金を含む損益の合計金額を示すものです。

トータルリターンはパーセンテージて表記されることもありますが、原則として金額表示がされます。

投資信託は利回りではなくトータルリターンで判断すべき

投資信託商品を購入する際は、検討している投資商品の運用開始時から今日までのトータルリターンを判断材料の目安とすることがおすすめです。

トータルリターンは分配金を再投資することが想定されており、実際に得た収益の合計を把握することができます。

一方、投資信託の平均利回りは運用会社に支払う手数料や税金などのコストを省いて計算されるので、実質利回りを把握することができません。

そのため平均利回りと比較すると、具体的なコストまで加味されている点においてより現実的な指標とも言えるので、トータルリターンで判断する方が良いと言えます。

トータルリターンは高い方が良い?投資信託で抑えておきたい注意点を解説

トータルリターンは高い方が良い?投資信託で抑えておきたい注意点を解説

一般的に、トータルリターンが高いほど収益性があると言えるので良いと言えるでしょう。

ただし、トータルリターンが高い商品にはリスクを伴う可能性があることを忘れてはいけません。

本章では投資信託を始める上で知っておくべきであるトータルリターンを上手に活用する方法を解説します。

「期間」をしっかりと見るべき!

1つ目の注意点は「期間」です。

トータルリターンの見方は証券会社によって異なりますが、ある日を起点として区切られた期間で表示されています(半年、1年、3年区切りなど)。

投資市場は常に変動しており、短期的な期間では市場の波乱によってトータルリターンが大きく変動してしまうことがあります。

直近半年の運用期間が大きくプラス収支だったとしても、3年間のトータルリターンと比較するとマイナスとなってしまうことも少なくありません。

一方で、特定の時期のトータルリターンが低い場合でも、その後の株式市場の回復によって長期的なトータルリターンは改善されることがあります。

したがって可能な限り長い期間でトータルリターンを評価することで、一時的な市場の変動が影響を及ぼす可能性を軽減することができます。

「標準偏差」も要チェック!

2つ目の注意点は「標準偏差」です。

標準偏差の計算式は以下の手順で表すことができます。

  1. 算出したい年数の設定
  2. リターンの平均値(騰落率)を計算
  3. 各期間のリターンから平均値を引き、その結果を二乗
  4. これらの二乗した値の平均を計算
  5. その平均値の平方根を出す。

標準偏差は、投資信託のリターンが平均値からどれだけばらつくかを表します。

標準偏差が数字が大きければ大きいほどリターンのばらつきが大きくなり、該当する投資信託商品のリスクが高いことを示します。

投資目標と照らし合わせた商品選びを

投資信託の商品を選ぶ際はトータルリターンだけでなく、リスクや投資目標とのバランスを考慮する必要があります。

積極的に高いリターンを狙っていく場合は、トータルリターンがより高い投資信託商品を購入することも一つの手と言えるでしょう。

しかし、資産運用の目的が「長期的な資産の形成」である場合、トータルリターンだけでなく信託報酬をはじめとする手数料の利率等も加味し、総合的に判断することが重要です。

記事のまとめ

記事のまとめ

投資信託におけるトータルリターンは特定の投資信託商品のパフォーマンスを全体的に把握するための重要な指標となることが理解できたでしょうか。

ただし、トータルリターンもあくまで投資信託商品を評価する指標の一つに過ぎません。

投資信託商品を購入する際に最も大事な点は、資産運用を行う目的を明確にすることにあります。

目的が変わってくると、資産運用商品を選ぶ判断基準は大きく異なるためです。

老後の生活資金等を目的として長期的に資産運用を行いたい方は、積立投資やインデックスファンド等がおすすめです。

短期投資でリスクも厭わずに高いリターンを目的とする方は株式ファンドや値動きの大きいリートファンドを選ぶのも良いでしょう。

投資信託の購入をお考えならR&C株式会社にご相談ください

また、投資信託商品を購入したいけど自分で判断するのが難しい方はファイナンシャルプランナーに相談することもおすすめです。

ファイナンシャルプランナーとは、相談者の将来のライフプランニングに寄り添った資金計画やアドバイスを行う専門家のことです。

投資信託に関するアドバイスはもちろんのこと、それに付随する確定申告についてやNISA、iDeCoなどその他の金融資産についてなど総合的な観点からアドバイスをもらえます。

中には、資産運用に関する勉強会をされている方もいるみたいです。

無料で相談できるファイナンシャルプランナーもいますので、困ったらお金のプロに頼ってみるのも良いかもしれませんね。

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ABOUT ME
小林裕
小林裕
一般社団法人証券相続普及協会 代表理事
大学卒業後、東証一部上場の証券会社に入社。 個人向けの資産運用コンサルティングを中心に活動。 新人賞、社長優秀賞などを数多く受賞。 シニア層のお客様が多い中で資産運用だけでは本当の解決ができないと感じ、退職。 2020年、一般社団法人証券相続普及協会を設立。代表理事に就任。 終活カウンセラー1級や上級相続診断士の資格も取得し、お客様の大切な資産を「ふやす、まもる、つなぐ」をモットーに活動している。
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