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投資信託は平均利回りが高ければ良い訳じゃない?計算方法や注意点も解説
投資信託は平均利回りが高ければ良い訳じゃない?計算方法や注意点も解説
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投資信託の平均利回りとその計算方法をご紹介!高いリターンを購入する際の注意点もあわせて解説

低コスト低リスクで初心者でも手をつけやすい投資信託ですが、どの投資信託を購入すればよいかわからないという方も多いのではないでしょうか。

あなたの目的・目標に最適な投資信託を選ぶためにも「平均利回り」は大切な判断基準になります。

本記事では、その平均利回りの計算方法や平均利回りが高い投資信託ランキングをご紹介します。

更に平均利回りが高い投資信託の注意点も解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。

投資信託の平均利回り(リターン)とは

投資信託の平均利回り(リターン)とは

投資信託の平均利回り(リターン)とは、投資した元本(お金)に対して1年間で得られる収益を表した数値のことをさします。

この平均利回りは、%(パーセント)で表示されています。

当たり前ですが、どのくらの利益が得られる数値なので、運用したい投資信託を選ぶのに欠かせない数字になってきます。

ただし投資信託は、現金化するタイミングによって利回りが大きく変化してしまうという注意点もあります。

どのくらいの利回りが平均的?

投資信託を購入するにあたって、どのくらいの平均利回りが良いかは人によって異なるため一概に何%が良いとは言い切れません。

しかし、日本の過去30年間のインフレが平均約2%前後で進んでいることを考えると、最低でも3%の平均利回りは欲しいところです。

以下、いくつかのカテゴリーごとに過去3年の平均利回りをまとめましいた。

カテゴリー 平均利回り(年率)
国内大型グロース 8.98%
国内大型バリュー 2.95%
国内債券 中長期 0.53%
国内REIT 8.83%
国際株式 グローバル除く日本 10.55%
国際債券 グローバル除く日本 3.48%
国際REIT 7.13%

上記グラフを見てもわかるように、株式投資の平均利回りは5%~10%程度といわれています。

業績の良い企業は利回り10%以上のものもありますが、場合によっては価値がゼロになる可能性もあるため「ハイリスクハイリターン」を忘れないようにしましょう。

利回りと利率の違い

投資信託には平均利回り(リターン)に似た言葉の「利率」がありますが、これらの違いはご存知でしょうか。

利率とは、預金や債券で用いられる用語で、預入金額や額面金額に対して支払われる利子が何パーセントかを表します。

簡単にまとめると

  • 利回りは、投資で得られる収益率
  • 利率は、預金や債券で得られる利息の収益率

という違いがあります。

更に利率は投資期間が終わるまで変わりませんが、利回りは時価で計算するため毎日変化するという違いも存在します。

知っておきたい専門用語

平均利回り以外にも、購入する投資信託を選択する際に役立つ専門用語があります。

以下では、その中でもよく使われる「パフォーマンス」と「騰落率」について、わかりやすく解説します。

パフォーマンス

パフォーマンスは、投資信託や株式投資などの運用成績を評価する指標です。

一般的には、ある期間内での投資のリターン(収益)を示します。

そして、基準とする指標「ベンチマーク」と比較して、利回りが良かったか悪かったかを表します。

もし投資信託Aが1年間で10%の収益を上げた場合、そのパフォーマンスはプラス10%と表現されます。

パフォーマンスは、投資がどれだけ収益を上げたか、または損失を被ったかを示すため、投資信託の選択や運用戦略の評価に役立ちます。

特に「アクティブファンド」では、このパフォーマンスの良し悪しが運用結果に深く関わるので、大切な判断基準です。

騰落率(とうらくりつ)

騰落率は、特定の期間内で投資信託や資産の価格がどれだけ変動したかを示す指標です。

基本的には1万口当たりの値段で表され、プラスの騰落率は価格が上昇し、マイナスの騰落率は価格が下落したことを示します。

例えば、基準価格1万円の投資信託Bが1週間で-10%の騰落率を記録した場合、その期間において資産価格が9,000円に下落したことを示すということです。

騰落率は市場の動向や特定の資産の波乱を把握するのに役立ちます。

トータルリターン

トータルリターンは、投資から得られる利益の総計を示します。

主にキャピタルゲイン(資本利益)とインカム(収益)の2つの要素で構成されています。

トータルリターンは、これらの要素を合計したもので、投資全体から得られる総合的な利益を示します。

利回りとの違いは、割合(%)で示されるか、金額(円)で示されるかです。

価格変動だけでなく、定期的な収益もトータルリターンの一部として考慮され、総合的な投資戦略を策定する際に役立ちます。

計算方法を実例と一緒に解説

計算方法を実例と一緒に解説

これまで投資信託の平均利回りに関する基礎知識を解説してきましたが、ここでは実際にその平均利回りを計算する方法をご紹介します。

投資信託の平均利回りを正確に計算しようとすると、収益の他に販売手数料や信託報酬、信託財産留保額、税金なども含めて考える必要があります。

しかし、初心者がそこまで細かく計算するのは容易ではないため、以下は手数料や税金を除いて計算する方法を伝授します。

平均利回りの計算式は以下の通りです。

利回り(%)= (譲渡損益+分配金) ÷ 運用年数 ÷ 投資金額 × 100

例えば、元本200万円を投資して、3年後に10万円の分配金を受け取り、220万円で売却した場合、【(譲渡損益20万円+分配金10万円)÷運用年数3年÷投資金額200万円×100】で、利回りは5%となります。

また、手数料や税金を除いて計算する場合は、「(譲渡損益+分配金)」の部分に以下の収益合計を当てはめることで計算できます。

収益合計=(分配金+売却損益+基準価額の増減金額)−(手数料+税金)

実際には計算しなくても、ウェブサイトに投資信託ごとの利回りが記載されている場合もあるため、確認してみてください。

実践例

一応自分で計算をできるようになりたいという方のため、実際の平均利回り計算をしてみましょう。

もし、投資信託Aに300万円投資をし、5年後に15万円の分配金を受け取り、330万円で売却したとします。

ここでは運用手数料や税金は考慮しません。

この場合の計算式は以下の通りになります。

収益合計= 150,000円 + 300,000円 = 450,000円

平均利回り(%)= 450,000円 / 5年 / 3,000,000円 × 100 = 3%

上記より、投資信託Aの平均利回りは3%ということになります。

【2024年】平均利回りが高い投資信託ランキング

【2024年】平均利回りが高い投資信託ランキング

以下、現時点(2024年1月)で平均利回りが高い投資信託ランキングをまとめました。

順位 ファンド名 平均利回り(1年) 純資産額(百万円) 会社名
1 iFreeレバレッジ FANG+ 217.63% 10,918 大和
2 NASDAQ100 3倍ブル 185.62% 20,506 大和
3 SBI 日本株4.3ブル 160.24% 25,379 SBIアセット
4 楽天 日本株4.3倍ブル 159.94% 40,087 楽天
5 NASDAQ100トリプル(マルチアイ搭載) 119.85% 5,701 大和
6 iFreeNEXT FANG+インデックス 110.14% 60,018 大和
7 FANG+インデックス・オープン 110.11% 18,476 大和
8 auAM レバレッジ NASDAQ100 107.86% 20,821 au
9 iFreeレバレッジ NASDAQ100 107.22% 250,829 大和
10 iFreeETF NASDAQ100レバレッジ 106.78% 6,616 大和

参考:ウエルスアドバイザー [ ファンドランキング‐リターン‐] ‐投資信託ランキング

平均利回りが高い投資信託ランキング1位は「iFreeレバレッジ FANG+」という、平均利回り217.65%の投資信託で、利回りが2倍以上と驚異の数字です。

このファンドは主にパフォーマンス連動債券や米国の金融商品取引所上場株式、店頭登録株式、米国の株価指数先物取引などを主要投資対象としています。

最低申込金額は100円〜と、初心者でも始めやすい投資信託です。

平均利回りが高い投資信託の注意点

平均利回りが高い投資信託の注意点

利回りが高い投資信託の購入をする場合、注意した方が良い点を4つ解説します。

高い平均利回りがずっと続くと考えない

投資において高い平均利回りは魅力的ですが、過去の実績が将来も続くとは限りません。

市場は変動するものであり、過去の好調なパフォーマンスが将来も続くことは保証されていないのです。

そのため、過度な期待をかけず、リスクをよく理解した上で投資判断を行う必要があります。

長期的にインデックスファンドの利回りを上回るアクティブファンドを見分けるのは、容易ではありません。

インデックスファンドを主に運用するなど、安定的な資産配分と長期的な視点が、高い平均利回りへのバランスを取る鍵となります。

何に対してリスクを取っているのかをよく考える

高い平均利回りを追求する際、どのようなリスクを受け入れているのかを明確に理解することが重要です。

異なる資産クラスやセクターには異なるリスクが存在し、投資信託の運用方針やポートフォリオが異なるリスクプロファイルを持ちます。

例えば、投資信託でとるリスクは以下のようなものがあります。

  • アクティブファンド = 特定の国やセクター
  • インデックスファンド = 株式市場全体に対してのリスク

上記2つを比較すると、テーマを絞っているアクティブファンドの方が市場全体のインデックスファンドよりもリスクが大きいといえます。

自身のリスク許容度や目標に合わせて、選択するファンドのリスクを十分に評価しましょう。

純資産残高に注意

投資信託の純資産残高は、そのファンドの健全性を示す重要な要素です。

平均利回りが高い投資信託でも、純資産残高が低いファンドは、リスクを適切に管理できない可能性が高く、運用の安定性に課題が生じる可能性があります。

なぜなら、そもそも投資信託は投資家から集めたお金で運用をするので、少ない資産では効率よく運用することが難しくなってくるからです。

投資信託の安定性を確保するためには、純資産残高を確認し、十分な資金を有しているファンドを選ぶことが重要です。

トータルリターンには手数料が含まれていない

平均利回りの高い投資信託で注意して欲しいのが、トータルリターンを評価する際、手数料を忘れずに考慮することです。

手数料は投資収益から差し引かれ、実際のリターンに影響を与えます。

高い平均利回りを提供する一方で高い手数料を取るファンドは、最終的なリターンが低くなる可能性があります。

したがって、なるべく手数料を最小限に抑えたファンドを選択し、実際のリターンを正確に評価しましょう。

記事まとめ

記事まとめ

本記事では、投資信託平均利回りの計算方法や高い平均利回りの投資信託ランキングについて解説してきました。

ただし、平均利回りが高いという理由だけでその投資信託をおすすめすることはできません。

また、同じ投資信託の中でもインデックスファンドと比較して、アクティブファンドの方がリスクが高くなっています。

平均利回りが高い投資信託の注意点についても解説したので、そこも参考にしながらあなたに最適な投資信託を選択することをおすすめします。

監修者プロフィール
小林裕
小林裕
一般社団法人証券相続普及協会 代表理事
大学卒業後、東証一部上場の証券会社に入社。 個人向けの資産運用コンサルティングを中心に活動。 新人賞、社長優秀賞などを数多く受賞。 シニア層のお客様が多い中で資産運用だけでは本当の解決ができないと感じ、退職。 2020年、一般社団法人証券相続普及協会を設立。代表理事に就任。 終活カウンセラー1級や上級相続診断士の資格も取得し、お客様の大切な資産を「ふやす、まもる、つなぐ」をモットーに活動している。
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