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投資信託の税金徴収タイミングはいつ?課税の方法について徹底解説!
投資信託の税金徴収タイミングはいつ?課税の方法について徹底解説!
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投資信託の税金は利益の種類によってタイミングが違う!知っておきたい税金のあれこれ

昔は資産運用というとお金持ちの人が行うもので一般人には無縁のものでしたが、令和の今日では多くの金融商品が普及し初心者にも気軽に始められるようになりました。

中でも「投資のプロ」に運用をお任せできる投資信託を始めている方も多いのではないでしょうか。

始めたばかりの方は税金がを支払うタイミングや税率等について詳しく知らない方もいるかと思います。

本記事では投資信託を始めたての方、またはこれから始めたいと思っている方に向けて知っておきたい税金のあれこれについて解説していきます。

課税のタイミングはいつ?3パターンに分けて解説

課税のタイミングはいつ?3パターンに分けて解説

投資信託において税金が徴収されるタイミングは、配当金や分配金が口座に振り込まれる時と、保有している商品を売却または解約(償還)し、利益が発生した時です。

それぞれのタイミングについて詳しく解説していきます。

分配金を得たとき

投資信託における分配金とは、運用によって得られた利益を決算ごとなど事前に定められたタイミングで投資家に分配されるお金のことです。

税金がかかるタイミングは「分配金が入金されたとき」になります。

また注意が必要な点として、配当金には「普通分配金」と「元本払戻金」の2種類があることが挙げられます。

普通分配金

普通分配金は、元本を上回った分の運用益が投資家に支払われます。

普通分配金は投資家の利益になるので、課税対象となります。

元本払戻金(特別分配金)

元本払戻金は、元本の一部を投資家に「戻す」仕組みです。

運用資金は元本から払い戻されてしまいますので、払い戻された元本払戻金の額だけ基準価額は下がります。

すなわち元本払戻金は元本の一部を投資家に払い戻すという考え方なので、非課税扱いとなります。

投資信託商品の中では分配金を受け取る商品と受け取らない商品がありますが、双方にメリット・デメリットがあるので資産運用の目的によって選択することをおすすめします。

投資信託を売却したとき

投資信託を売却する際、売却時の評価額が購入時の価格を上回った場合、その差額が利益となります。

この利益(売却益)が課税の対象となりますが、この税金は投資信託を売却したタイミングで課税がなされることになります。

損失が発生し、売却益が発生しない場合については税金を徴収されることはありません。

償還されるとき

投資信託には商品によって運用期間があらかじめ定められているものがあります。

満期を迎えたタイミングで解約となり、投資家に運用資金とその利益が返還されます。

この満期を迎えた商品から投資家にお金が戻ることを「償還」と言います。

償還においての税金は、投資信託を売却した時と同じ考え方です。

つまり償還時の評価額が購入時の価格を上回った利益にかかります。

税金がかかるタイミングはこの償還がされたときになります。

投資信託にかかる税金とその計算方法について

投資信託にかかる税金とその計算方法について

ここまでは投資信託に税金が発生するタイミングとその種類について解説しました。

税金が徴収される内訳についてもしっかりと理解しておけばご自身で納税される際に慌てる必要はありません。

ここでは徴収される税金の種類とその計算方法について解説していきます。

投資信託の利益にかかる税率は20.315%

先ほどの章で説明したとおり、投資信託においては得た利益に対して課税がなされます。

税金の内訳としては、所得税が15%、住民税が5%、復興特別所得税が0.315%の計20.315%となります。

※復興特別所得税が徴収されるのは2037年までになります。

具体的な計算例

それでは下記のケースの具体的な計算方法について解説します。

  • 基準価格が100,000円の投資信託商品を売却
  • 50,000円の売却益
  • 解約手数料は基準価格の0.3%

得た売却益の50,000円から解約手数料を差し引いた金額が課税対象となります。

50,000円-(100,000円×0.3%)=49,700円

今回のケースでは49,700円が課税対象です。

この49,700円に20.315%の税金が発生しますので、課税金額は

49,700円×20.315%=10,097円

となります。

投資信託の税金は確定申告をしないといけない?

投資信託の税金は確定申告をしないといけない?

投資信託で利益が発生したら原則として確定申告を行う必要があります。

投資信託で得た利益は、申告分離税と言って他の所得と切り離して税額を計算する仕組みが取られているためです。

しかし一定の条件を満たした場合、確定申告が不要となるケースもありますので口座区分ごとに解説していきます。

一般口座の場合

一般口座とは証券会社で取引を始める際に、開設する口座の1つで、運用益や配当金が生じた際に、税金の計算や納税手続きを全て投資家自身が行う必要がある口座のことです。

一般口座の場合、年間取引報告書というものを自分で作成しなければなりません。

したがって一般口座で保有している投資信託商品から利益が生じた際、原則として確定申告は必要となります。

特定口座(源泉徴収なし)の場合

特定口座とは、投資信託や株式の運用益に発生する税金を簡易的な納税申告手続きで済ませることができる制度のことを指します。

特定口座には「源泉徴収なし」と「源泉徴収あり」の2種類があり、どちらを選択するかで対応の仕方が異なってきます。

源泉徴収なしの特定口座は「簡易申告口座」とも呼ばれ、特定口座内で投資信託や株式の運用益や損失が発生しても源泉徴収されないため、投資家自身で確定進行を行う必要があります。

一般口座との違いは投資家自身が取引について一から計算する必要はない点です。

「特定口座年間取引報告書」を証券会社が発行してくれるのでより簡単に確定申告ができます。

特定口座(源泉徴収あり)の場合

特定口座(源泉徴収あり)では、特定口座内で投資信託や株式の運用益に対して源泉徴収することを選択が可能となります。

また、特定口座内の投資信託に運用損失がある場合は、分配金等の配当利益の総額から運用損失分を控除した金額をベースに源泉徴収税額の計算がなされます。

利益が20万円以下であれば確定申告は不要

投資家の年収が2,000万円以下の給与所得者(サラリーマン)かつ、給与以外の所得が年間20万円以下の場合は、申告不要制度が適用されますので確定申告をする必要はありません。

しかし、投資信託での利益が20万円以下であっても、副業等で得た収入を合算して20万円を超えてしまう場合は確定申告が必要となりますので注意が必要です。

【節税対策に◎】おすすめの投資信託の始め方

【節税対策に◎】おすすめの投資信託の始め方

投資信託で得た利益は全て課税の対象となりますが、少しでも発生した利益を手元に残すことができたら嬉しいですよね。

実はNISA制度を活用することで大きな節税を見込むことができます。

この章ではNISA口座を活用するメリットや始め方について詳しく解説します。

NISA口座を活用すれば非課税に

NISA(Nippon Individual Savings Account)とは、少額投資非課税制度といい、個人投資家のための税制優遇制度のことを指します。

NISAのメリットはいくつかありますが、最大のメリットは一般NISA口座で購入した投資信託を含む金融商品の配当金や譲渡益等が、通常の株式投資等とは異なり非課税になる点にあります。

通常の株式投資や投資信託では利益に対して約20%の課税金額が徴収されますが、NISAを活用した場合だと、非課税の対象となるため、大きな節税に繋がります。

更に、2024年1月より家計の安定的な資産形成をさらに推し進めていくことを目的に新NISAとしての制度がスタートしました。

新NISAでは、年間で積立投資枠は120万円、成長投資枠では240万円を上限として投資に回せる上、非課税保有期間は無期限となっています。

NISAの始め方

NISAの制度を活用して投資信託を始める場合、まずは銀行や証券会社、投信会社等にNISA口座を開設する必要があります。

NISA口座は一人一つまでしか保有できない上に、金融機関によって購入可能な商品は変わってきますので注意が必要です。

現在はネット証券や証券会社、銀行など様々な金融機関で口座を開設するできますが、金融機関によって特徴も大きく異なります。

ネット証券で口座開設

ネット証券でNISA口座を開設するメリットはなんと言っても購入できる投資信託の商品数が多いことです。

最もNISA口座の開設数が多いSBI証券では2024年4月現在、1,188本もの商品から購入できます。

また、実店舗を持たないことから運営コストを抑えられるため、手数料も非常に安く設定されていることが多いです。

中には手数料が無料となっている証券会社もあります。

更に、楽天証券やauカブコム証券などでは保有数に応じてポイントが付与される点もネット証券のメリットであるとも言えます。

「経済圏」で生活している方はうまく活用したいですね。

証券会社で口座開設

対面式の証券会社でNISA口座を開設するメリットは、窓口で相談ができる点になります。

初心者の場合だと、何から手をつけて良いか分からない場合も多いかと思いますので、情報収集のきっかけが掴める可能性があります。

また、ネット証券とは違って「営業マン」が担当につくことが多いため、魅力的な投資商品が販売された際に電話等で案内をしてくれる場合があります。

さらに、銀行とは違って投資信託商品だけでなく、株式を取り扱っている点も魅力の一つと言えるでしょう。

銀行で口座開設

銀行でのNISA口座を開設するメリットは、普段利用している銀行の窓口で相談できる点になります。

普段からお仕事で利用されていたり、顔馴染みの行員さんであればより真摯に相談に乗ってくれることも多いでしょう。

一方でネット証券や対面証券会社と比較すると購入できる投資信託商品の数はかなり少なくなっている上、株式の取り扱いはしていないので自由度は低いとも言えます。

さらに、手数料が割高に設定されている場合が多いので、運用時に損失が生じた際、タイミングによっては赤字となってしまう可能性がある点も留意しておきたいところです。

また、特定口座か一般口座の投資信託口座を持っていない場合は、いずれのNISA口座も開設できません。

NISA口座で投資信託を取引したい場合は、特定口座か一般口座を開設する必要があります。

初心者の方には源泉徴収ありの特定口座がおすすめです。

記事のまとめ

記事のまとめ

本記事では、投資信託で発生する税金の種類とそのタイミングについて解説しました。

おさらいですが、投資信託では以下の3つのタイミングで税金が発生されます。

  1. 分配金を得た時
  2. 保有する投資信託商品を売却した時
  3. 満期を迎え償還される時

また、投資信託ではどの口座区分を活用するかで確定申告の要否や申告方法も大きく異なってきます。

それぞれにメリット・デメリットはあるのでご自身の投資スタイル等に合わせて上手に使い分けてくださいね。

投資信託の税金にお困りならR&C株式会社にご相談ください

また、投資信託の税金について困ったことがあればファイナンシャルプランナーに相談することもおすすめです。

ファイナンシャルプランナーとは、相談者の将来のライフプランニングに寄り添った資金計画やアドバイスを行う専門家のことです。

投資信託や贈与に関するアドバイスはもちろんのこと、保険やiDeCoなどその他の金融資産、所得に応じた家計管理を総合的な観点からアドバイスをもらえます。

確定申告や口座の開設で困ったことがあればぜひ「お金のプロ」の意見を聞くことも参考にして見てくださいね。

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ABOUT ME
小林裕
小林裕
一般社団法人証券相続普及協会 代表理事
大学卒業後、東証一部上場の証券会社に入社。 個人向けの資産運用コンサルティングを中心に活動。 新人賞、社長優秀賞などを数多く受賞。 シニア層のお客様が多い中で資産運用だけでは本当の解決ができないと感じ、退職。 2020年、一般社団法人証券相続普及協会を設立。代表理事に就任。 終活カウンセラー1級や上級相続診断士の資格も取得し、お客様の大切な資産を「ふやす、まもる、つなぐ」をモットーに活動している。
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