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投資信託の特定口座とは?一般口座やNISA口座との違いやメリットを解説
投資信託の特定口座とは?一般口座やNISA口座との違いやメリットを解説
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「投資信託初心者に向いている」と言われる特定口座について詳しく解説

投資信託で利用できる口座には主に以下の3種類があり、それぞれ納税方法や確定申告の有無などが異なります。

  • 特定口座
  • 一般口座
  • NISA口座

投資信託のために証券会社で口座開設をする際、まず悩むのが「どの種類の口座を開設するか」という点ではないでしょうか。

この記事では、上記3種類の中でも「投資信託初心者に向いている」と言われる特定口座について詳しく解説していきます。

自分に適した口座を選ぶことが大切ですので、これから投資信託を始める方はぜひ参考にしてみてください。

投資信託の特定口座とは

投資信託の特定口座とは

特定口座は、投資信託などの譲渡益に対する所得税、住民税の申告・納税手続きを簡素化する制度です。

証券会社が投資家の代わりに譲渡損益を計算し、「年間取引報告書」を作成するのが特徴的です。

この報告書は投資家に提供され、確定申告時に利用されます。

特定口座を利用することで、源泉徴収や一括申告、損益通算、繰越控除などのメリットがあり、投資における税務手続きを簡単にすることができます。

ただし、特定口座の利用には一定の条件や制約があり、口座開設時には注意が必要です。

特定口座には「源泉徴収あり」と「源泉徴収なし」がある

特定口座には「源泉徴収あり」と「源泉徴収なし」の2つの種類があり、取引年ごとに選択することができます。

源泉徴収あり

源泉徴収ありを選択した場合は、原則として確定申告が不要となります。

源泉徴収ありの特定口座では、投資信託による利益から15.315%の所得税と5%の住民税の合計20.315%を証券会社が自動的に徴収し、代わりに納税してくれるからです。

源泉徴収ありの特定口座を利用することで、手続きが簡単になり、投資信託による利益から源泉徴収によって税金が天引きされるため、納税手続きに関する負担が軽減されます。

源泉徴収なし

源泉徴収なしの特定口座では、税金が自動徴収されないため、投資家は年度末に自身で確定申告を行う必要があります。

証券会社が作成する年間取引報告書を基に、投資家が自分で得た利益に対して所得税や住民税を計算して納税する形です。

投資信託の利益が20万円以下の場合は、確定申告が必要ないという非課税のメリットがあります。

源泉徴収なしの特定口座では、源泉徴収がない分、非課税枠を有効に活用することができるのです。

初心者には確定申告が原則不要の「源泉徴収あり」がおすすめ

投資信託初心者の方には、確定申告が原則不要である「源泉徴収あり」の特定口座をおすすめします。

源泉徴収ありの特定口座では税金が自動徴収されるため、毎月の利益に対する所得税や住民税が均等に徴収され、年末に一括支払いが発生する心配がありません。

一方、源泉徴収なしの特定口座を選ぶことで節税効果が生まれるかもしれないことは事実です。

しかし、初めての投資信託であれば、手続きの簡便さや税金の心配が小さい源泉徴収ありの特定口座がおすすめです。

税務面での心配事を減らし、節税よりもまずは市場や投資信託全体の理解を進めるのが良いでしょう。

特定口座のメリット・デメリット

特定口座のメリット・デメリット

特定口座には源泉徴収あり・なしの2種類があり、その大きな違いは確定申告を行う必要があるかないかという点です。

これに加え、以下のようなメリットとデメリットがあります。

ただし、特定口座の源泉徴収あり・なしは後からの変更が可能です。

そのため、投資信託初心者の方であれば確定申告をする手間が省ける源泉徴収ありの特定口座を選び、両者のメリットとデメリットを理解した上で後から変更してみるという方法も一つの手です。

特定口座(源泉徴収あり)

メリット

  • 源泉徴収あり特定口座では、証券会社が税金を源泉徴収するため、原則個別に確定申告の手続きを行う必要がありません。 
  • 損益通算のための確定申告を行う場合でも、年間取引報告書の数字を転記するだけで済みます。 
  • 配偶者控除や扶養控除は、扶養に入っている人の合計所得金額が増えると適用されなくなりますが、源泉徴収ありの特定口座での利益は配偶者控除・扶養控除の計算に上乗せされません。

デメリット

  • 投資信託の利益が20万円以下でも自動的に税金が徴収されます。
  • 損失が発生した場合、他の口座の利益と相殺する損益通算には確定申告が必要です。
  • 損失を繰り越す、繰越控除制度を受ける場合にも確定申告が必要です。

特定口座(源泉徴収なし)

メリット

  • 取引履歴や損益などがまとめられている年間取引報告書が発行されるため、確定申告が簡素化されます。
  • 源泉徴収なしの特定口座の場合、譲渡損失の繰越控除制度などが確定申告により適用を受けることができます。
  • 複数の証券会社で取引を行っている場合、各証券会社から発行された「特定口座年間取引報告書」を使用して、複数証券口座での損益を把握し、確定申告がスムーズに行えます。

デメリット

  • 確定申告が原則必要です。 
  • 扶養に入っている人の合計所得金額が増えた場合、配偶者控除や扶養控除などの適応外になる可能性があります。

投資信託の一般口座やNISA口座との違い

投資信託の一般口座やNISA口座との違い

投資信託用の口座には、2種類の特定口座以外にも、一般口座とNISA口座があります。

ここでは、一般口座とNISA口座の特徴や、特定口座との違いを解説していきます。

一般口座の特徴

一般口座は、特定口座とは異なり、年間取引報告書が交付されないため、自投資家身で年間損益を計算し、利益が出ていれば確定申告によって納税をする必要があります。

また年間を通算して損失となった場合は確定申告は不要です。

ただし、譲渡損失の繰越控除の適用を受ける場合には確定申告が必要となります。

そのため、所得控除を考慮すると申告が不要となる場合、またはその範囲内で取引したいなど譲渡益の見込み額が小さい場合は一般口座がおすすめです。

なお、以下のようなケースでは所得税の確定申告が不要となり、住民税のみ要申告となります。

  • 給与の支払いが1ヵ所のみで給与収入が2,000万円以下、給与所得・退職所得以外の所得金額が20万円以下の場合
  • 公的年金などの収入が400万円以下で、年金以外の所得が20万円以下の場合

NISA口座の特徴

NISA口座とは、投資信託から生じた分配金や、譲渡益が非課税となる口座です。

非課税のため確定申告は不要です。

しかしNISA口座では、損失が出ていても確定申告で他の損益と通算したり、翌年以降に繰り越すことはできません。

NISAには、一般NISA、つみたてNISA、ジュニアNISAの3種類があります。

なお2020年度制度改正において、未成年が利用できるジュニアNISAについては新規の口座開設が2023年までとされ、2024年以降は新規購入ができません。

【注意】NISA口座のみの開設は不可

ただし、特定口座か一般口座の投資信託口座を持っていない場合は、いずれのNISA口座も開設することができません。

NISA口座だけを解説することはできないため、NISA口座で投資信託を取引したい場合は、特定口座か一般口座をまず開設する必要があります。

これについては、先述のとおり、初心者の方には源泉徴収ありの特定口座がおすすめです。

記事まとめ

記事まとめ

この記事では、特定口座について詳しく解説しました。

投資信託初心者の方には、確定申告の心配が不要な源泉徴収ありの特定口座がおすすめです。

また、NISA口座では投資信託の収益が非課税となりますが、NISA口座の開設では特定口座か一般口座を所有していることが条件となります。

この記事で紹介した各口座のメリット・デメリットを踏まえた上で、ご自身のライフプランや現在のご状況に最適な投資信託口座を選んでみてくださいね。

ABOUT ME
小林裕
小林裕
一般社団法人証券相続普及協会 代表理事
大学卒業後、東証一部上場の証券会社に入社。 個人向けの資産運用コンサルティングを中心に活動。 新人賞、社長優秀賞などを数多く受賞。 シニア層のお客様が多い中で資産運用だけでは本当の解決ができないと感じ、退職。 2020年、一般社団法人証券相続普及協会を設立。代表理事に就任。 終活カウンセラー1級や上級相続診断士の資格も取得し、お客様の大切な資産を「ふやす、まもる、つなぐ」をモットーに活動している。
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