生命保険の見直しはどうすればいい?ベストなタイミングや注意点を解説

生命保険は定期的に見直した方がいいの?
生命保険の見直しは、どうやったらいい?
結婚や出産などのライフイベントをきっかけに生命保険の見直しを検討する方も多いでしょう。

生命保険に20代で加入すると、加入期間が50年以上となるケースもあります。家族構成・経済状況などが変わっていく中で、保障内容は見直さなくても大丈夫なのでしょうか?

この記事では生命保険を見直すタイミングや見直す際の注意点を解説します。

生命保険の保障の見直しって必要なの?

例えば、生命保険の保障を見直す必要性について、家や車でイメージしてみましょう。

独身時代はワンルームに住んでいても、結婚して子どもが産まれたらワンルームに住み続けることはなく、広い家に住み替えるかと思います。

車も独身時代にスポーツカーに乗っていたとしても、子どもがいたらワンボックスカーといったファミリー向けの車に乗り換えるでしょう。車を持っていなかった人は子どもが産まれたのを機に購入する人も多いでしょう。

生命保険も基本的には同じことが言え、取り巻く環境が大きく変われば、保障内容も合わせて変えていくことがのぞましいです。

生命保険に加入した目的を再確認し、必要と思ったら保障の見直しを!

生命保険へ加入する主な目的は下記のとおりです。

<生命保険へ加入する主な目的>

  • 死亡に対する備え
  • 病気・けがによる治療への備え
  • 介護に対する備え
  • 働けなくなったときへの備え
  • 教育資金の準備
  • 老後の生活資金の準備
  • 相続対策

生命保険に加入する目的は人それぞれですが、ほとんどの場合、経済的な準備をするために保険に加入して保険料を負担しているはずです。

生命保険に加入した後も放置せず、以下のような観点で保険が今の自分にあっているか確認はした方がよいです。

  • 保険に対する目的に合っているか
  • 目的自体が変わっていないか

上記の観点で確認をしてみて、保険に対する目的や内容にズレ(過不足)が生じていたら、保障の見直しをするようにしましょう。

\どうやって見直せば良いの?/

新たな保険商品は保障内容が進化していることもある

世の中にあるほとんどの「モノ」や「サービス」は数十年前と比べて進化しています。

テレビはブラウン管から液晶になって大幅に薄くなりました。電話機はガラケーと呼ばれた携帯電話がスマートフォンへ進化しました。電車に乗るときは切符の購入からICカード利用による自動改札へ進化しました。保険商品も同様に進化しています。

入院保障では、以前は短期入院を免責(保障の対象外)にしていましたが、医療事情の変化に合わせて昨今は日帰り入院から保障するタイプが主流となっています。また、インターネットの普及によりネット経由で保険加入もできるようにもなりました。

数十年前に加入した保険の内容をチェックしてみると、現在ではあまり見かけない内容になっているかもしれません。しかしその一方で、中には進化があまり必要がない保険もあります。

まずは、最近の保険商品との違いを確認してみるとよいでしょう。

新たな保険商品の方が、保険料が安くなっていることもある

日本の平均寿命が延びたことにより、年代別の死亡者数が大きく減っています。

下のグラフは30代から60代までの死亡者数の5年ごとの推移です。

例えば40代の場合、2020年と1990年で比較すると、死亡数は3万7,039人から2万1,789人へと約4割も減っています。

年代別死亡者数の推移

*資料:厚生労働省「2020年人口動態調査」をもとに筆者作成

このような背景があり、一定期間のみ死亡保障が確保できる「定期保険」や「収入保障保険」などは保険料が以前よりも安くなっている傾向にあります。

また、非喫煙者保険料率の設定により、タバコを吸わない人の保険料がかなり割安になっています。保険に加入した時期が相当前であれば、まずは現在取り扱われている同様の保障内容の保険と保険料を比較してみて、保険の見直しを検討してみるとよいでしょう。

生命保険の保障を見直す際の注意点

生命保険協会の「生命保険の動向(2020年版・2016年版)」によると、生命保険会社42社で2019年度は2080万件の個人保険の新契約(契約転換制度による転換後契約の件数を含む)がありました。また保有契約件数は1億8748万件となっています。

保有契約件数が前年比で619万件しか増えていないことから、新契約には見直しによる契約(今までの保険を解約して新規に契約)が相当数含まれていると考えられます。気軽に保険を見直しできるからこそ後悔することのないよう、大事なポイントを押さえて見直すようにしましょう。

生命保険全社の新契約・保有契約件数の推移

*参考:生命保険協会「生命保険の動向(2020年版)

*参考:生命保険協会「生命保険の動向(2016年版)

生命保険を見直す際の注意点

  • いま必要な保障内容や保障額を改めて考える
  • 必要な保障内容・保障額に過不足があるなら、見直す方法を考える
  • 持病があると加入できる生命保険商品は限られる
  • 保険料の額と保険期間にムリのない見直しをする
  • 保険の切り替え時に「無保障」の期間を作らないよう注意する

いま必要な保障内容や保障額を改めて考える

保障の見直しをする前に、加入している保険の内容が今も必要な保障になっているか確認する必要があります。

例えば、保険加入時は子どもの教育費等のために大きな保険金が必要と考えていたのが、子どもが既に経済的に独立しているにもかかわらず保険の保障内容がそのままであれば、無駄な保険に加入し、無駄な保険料を払っているともいえます。

保険の加入時も今も安心できる保障内容にしておきたいものです。

必要な保障内容・保障額に過不足があるなら、見直す方法を考える

例えば、保険加入時は遺族の生活費と子ども1人の教育費として、保険金額を5000万円に設定したのに、その後子どもが3人に増えていたとしたら、万一のときには生活費も教育費も不足してしまうと考えられます。

このように保険加入時以降で必要な保障に大きな変化があった場合は、保障の過不足分を見直すことが望ましく、この場合は保険金額の増額が適しています。

なお、保険を見直す方法には、「追加契約」「特約の中途付加」「特約の解約」「増額」「減額」などもあります。

以下で詳しく見ていきましょう。

  • 追加契約
    今の生命保険にプラスして、新しい生命保険に加入する方法 (今の保険の保障内容にないものがあるなら、新しい保険にも加入するのは有効)
  • 特約の中途付加
    今の生命保険に特約を付加する方法 (病気・けがを保障する特約を付けるケースが多い)
  • 特約の解約
    現在付加している特約を解約する方法 (解約した特約の分の保険料が安くなる)
  • 増額
    生命保険の主契約や特約の保障額を増やす方法 (保険料は高くなるが、必要な保障額を手軽に確保できる)
  • 減額
    生命保険の主契約や特約の保障額を減らす方法 (保障額は少なくなるものの、その分保険料は安くなる)

保険料の額と保険期間にムリのない見直しをする

生命保険商品の特徴として、同じ保障であれば基本的に保険期間が長いほど保険料は高くなります。

死亡保険金1000万円の場合、保険期間が10年間の定期保険より、20年間の定期保険の方が月々の保険料は高くなります。

しかし当初10年間の合計保険料は、20年間の定期保険を10年後に解約して解約返戻金を受け取った場合の方が割安になる可能性もあります。

どういうパターンにすると、保険料額が安くなるのか、十分に比較検討することが大事です。

ただ、仮にお得な設定の保険だとしても、予定通りに保険契約を継続できなければお得になりません。保険料を無理なく支払っていけるようにすることが大事です。

持病があると加入できる生命保険商品は限られる

生命保険に加入したときは健康でも、今は持病があり保険会社の求める健康状態にない場合は、安易な生命保険の見直しは避けた方が賢明です。

いくらよいと思える保険商品が見つかっても、自分の健康状態がよくなくて保険会社から加入を断られては意味がありません。加入中の保険をできる限り活かせる方法を考えましょう。

加入の基準が緩い「引受基準緩和型」の保険であれば加入はしやすいですが、保険料が通常の保険より割高な設定になっているので、申し込みをするかどうかは慎重に判断する必要があります。

保険の切り替え時に「無保障」の期間を作らないよう注意する

生命保険の見直しで一番気をつけたいのが「無保険」になってしまうことです。

新規の保険に加入できる可能性は100%ではありません。必ず新規の保険に加入できたことを確認してから、従来までの保険を解約するようにしましょう。

また、がん保険の場合、保障には90日間の免責期間があるなど、保険商品によって加入から一定期間は保障が制限されることもあります。

期間の制限がなくなるまで保障の重複をさせておくことを十分に考えて判断するようにしましょう。

保障の見直しをするベストなタイミングは?

生命保険の保障を見直すタイミングはいつがよいのでしょうか?

いくつかの考え方を取り上げて解説していきます。

生活水準が変わっているなら、保険見直しのタイミング

生命保険へ加入してから時間が経つと、環境の変化により保険に期待することが変わってくることも考えられます。

例えば、保険加入当時は月々の生活費が30万円だとします。その後、仕事の頑張りにより収入が増えて、月々の生活費が60万円へ変わったとしましょう。生活水準が上がると、元に戻すことは簡単ではないため、必要とされる保障額は増えてしまいます。

保険加入時は月々30万円の生活を維持できる備えとしていたのであれば、現在の生活水準に合わせて保障内容も見直しをするとよいでしょう。

生命保険の見直しのタイミングは「今でしょ!」

人生の大きなイベント時期に関係なく、生命保険を見直そうと思い立ったときがベストという考えです。まさに生命保険の見直しは「今でしょ!」といえます。

生命保険は生命保険会社の求める健康状態でないと加入できないので、健康状態にあるなら、その健康なうちに生命保険に加入して、安心できる保障を確保しておくことが大事です。

健康診断の結果でイメージすると、「要経過観察」はそれほど問題になることはないですが、「要精密検査」や「要治療」になると、まずは精密検査や治療をして、異常がないことを確認してから生命保険の申し込みを求められる可能性があります。

生命保険会社に健康状態の告知をする際、指摘事項は多ければ多いほど生命保険の加入が難しくなります。

続いては具体的にどんな時が生命保険を見直すタイミングなのか、見直し相談によくあるシーンをご紹介します。

生命保険の見直しによくあるシーン

  • 大きなライフイベントがあったとき
  • 保険料が高くて家計が厳しいと感じるとき
  • 保障内容に変化があったとき
  • 保険契約の更新が近いとき

大きなライフイベントがあったとき

人生での大きなイベントといえば、「就職」「結婚」「出産」「マイホーム購入」などでしょう。これら「ライフイベント」は必要保障額にも大きな関係があるので、保障を見直すよいタイミングといえます。

例えば、住宅ローンを使ってマイホームを購入した場合、団体信用生命保険に加入することが多いです。団体信用生命保険に加入すれば、万一のときは住宅ローンの残債がなくなります。

また、がんなどの医療保障がついている団体信用生命保険もあるので、今までの保障内容と重複がないか確認し、重複していれば適切な内容へ見直すとよいでしょう。

保険料が高くて家計が厳しいと感じるとき

死亡や病気への経済的備えとして生命保険に加入しても、保険料を継続して支払っていくために家計が破綻してしまっては本末転倒です。

家計の収支が悪化しているなら、早めに生命保険の保障内容を見直して、保険料の負担を軽くした方がよいでしょう。

保障内容に変化があったとき

生命保険会社からは毎年多くの保険商品が登場します。新しい保険は時代のニーズに合った保障内容になっているので、数十年前の保険商品とは保障内容が大きく異なる場合もあります。

例えばがん保険の場合、がんの治療方法は手術中心から、抗がん剤治療や放射線治療、先進医療などへ多様化し、入院しない治療も増えています。

もし手術と入院しか保障されないがん保険だと、がんの治療をしても給付金を受け取れないかもしれません。

保険は加入することが目的ではなく、もしものときに保険金・給付金を確実に受け取ることが本来の目的です。生命保険の保障内容に変化があったときは見直しをするよい機会でもあります。

保険契約の更新が近いとき

保険期間が一定期間のみの死亡保険や医療保険に加入していると、期間満了時に自動更新されるか、保障がなくなります。

自動更新の場合、基本的に保障内容は同じでも年齢が上がったことに連動して保険料も上がるので、保険料負担を感じることが多いです。

自動更新や期間満了の期間が近いときも、保障内容について改めて考えるよい機会といえます。

【年代別】生命保険はどう見直せば良い?

生命保険の見直し方は、年代によっても大きく異なります。

保障内容が最も変わるのは「独身から出産して親になった20~30歳の頃」です。下記のようなイメージです。

死亡保障金額の違いを説明する画像

自分に万一のことが起きたとき、経済的に誰が、いくら困るかを考え、それをカバーできるよう生命保険に加入するのが適切といえます。

以下で、年代別に生命保険の見直し方を見ていきましょう。

30代の生命保険の見直し方法:ライフイベントのたびに見直しを

万一のときに遺された家族のために備える死亡保険は、子どもが生まれたときが必要保障額が最も高額になります。

30代は結婚・出産やマイホーム購入など、大きなライフイベントが多い頃なので、そのタイミングに合わせて保障の見直しもしていくと、無駄な保険料を払わずに安心できる備えを確保しやすいです。

もし、前述のグラフのように保障額が独身時代に加入したときのままで家族が増えているなら、早急に死亡保障を見直して安心できる備えを確保するようにしましょう。

40代の生命保険の見直し方法:非喫煙型の保険も検討してみて

40代は健康診断で要再検査や要治療が増えてくる年代です。仕事は一番脂がのっている頃でしょうから、全力投球できる健康でありたいものです。

子どもがいれば子育てもまだまだこれからでしょうから、安心できる備えをきちんと確保しておきたいものです。

現在加入中の保険に加入した頃は喫煙していたけれど、今はタバコをやめているなら、非喫煙型の保険料設定を選択することより、保険料が大幅に下げられることも考えられます。

家計のやりくりが大変で、まだまだ大きな保障が必要な世代だからこそ、十分に保険商品を比較検討して保険料が下げられるような見直しをしてみるとよいでしょう。

50代の生命保険の見直し方法:自分が長生きするための保障を考える

月払いの生命保険にするなら最後の見直しのチャンスです。

生命保険会社が求める健康状態にあるなら、次に選ぶ保険と一生付き合っていくつもりで、安心できる備えを確実に確保しておきたいところです。

子がいないか、または既に子が独立しているなら、大きな死亡保障はもう不要です。誰かのためではなく自分が長生きするための保障を考えましょう。

医療保険・がん保険・介護保険等が候補になりますが、まだ10年以上働くなら、個人年金保険を活用して老後の生活資金を貯めていくことも検討してよいでしょう。

60代の生命保険の見直し方法:預貯金の一部を保険に変える方法も

60代だと続けてきた勤労収入はもう難しい世代なので、預貯金の一部を保険へ形を変える方法も検討してよいでしょう。

自分が長生きするための備えとして、介護や認知症に備えられる「介護保険」や「認知症保険」、さらには「医療保険」、資産防衛として「一時払いの終身保険」や「一時払いの個人年金保険」などが候補になります。

特に平均寿命の長い女性の場合は、長く付き合える「医療保険」があると安心できそうです。

まとめ

生命保険は非常に多くの人に必要とされている金融商品です。

生命保険の場合、目的を持って適切な商品を選択することで、人生の不安を大きく減らすことができます。

保険に加入したらほったらかしにしてしまうのではなく、その時々でよいので、加入した保障内容を確認して、保障の過不足などが生じていれば、適切な内容へ戻すよう見直しをしていきましょう。

監修者 監修者

松浦 建二

CFP®認定者 1級ファイナンシャル・プランニング技能士

松浦 建二

青山学院大学卒、ミサワホームで戸建てやアパートの営業を経験後、アイエヌジー(現エヌエヌ)生命保険会社へ転職し生命保険と投資信託の営業を経験。2002年からファイナンシャルプランナーとして主に個人のライフプランや生命保険設計、住宅購入総合サポート等の相談業務を行っているほか、FPに関する執筆や講演も多数行っている。青山学院大学非常勤講師。

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