
老後資金の準備に個人年金保険はおすすめしない?向いていない人の特徴もご紹介
個人年金保険は、老後資金を準備する手段の一つとして注目されていますが、おすすめしないと耳にしたことがある方も多いのではないでしょうか。
その中には「本当に入るべき?」「他にもっと効率の良い方法があるのでは?」と悩む方もいらっしゃるかと思います。
今回は、個人年金保険をおすすめしないと言われる理由をわかりやすく解説し、後悔しない老後の資産形成の方法についてもご紹介します。
将来に向けた大切なお金をうまく積み立てていくためにも、ぜひ最後までご覧ください。
- 個人年金保険は、途中解約すると元本割れリスクがあるため「おすすめしない」と言われている
- 個人年金保険は契約時に受け取り金額が決まっている商品があるため、インフレの影響を受けやすい
- 長期的に保険料を払えない人・自分で資産運用がしたい人には向いていない
個人年金保険は「おすすめしない」と言われる理由
個人年金保険は、老後資金を準備する手段の一つとして広く知られていますが、最近では「個人年金保険はおすすめしない」と指摘されることも増えてきました。
その背景には、途中解約時のリスクや、インフレに対する脆弱さといった問題があります。
ここでは、個人年金保険をおすすめしないと言われる、主な理由について解説します。
途中解約をすると元本割れの可能性が高い
個人年金保険は、長期的に保険料を積み立てることを前提とした設計になっています。
そのため、途中解約をした際に、支払った保険料総額よりも解約返戻金が少なくなり、元本割れするリスクが非常に高いため「おすすめしない」と言われています。
元本割れするということは、結果的に損をしているということであり、「保険加入せずに他の方法で積み立てればよかった」などと後悔に繋がりかねません。
特に、契約初期の段階では、支払った保険料に対して解約返戻金がかなり少ないケースが多くみられます。これは、保険会社が契約の維持や管理にかかるコストを差し引いているためです。さらに、保険料の一部は保障部分にも充てられているため、純粋な積立額として運用されている金額は想定よりも少ないのが現実です。
そのため、途中でまとまった資金が必要になった場合、個人年金保険を解約しても十分な金額を受け取れず、結果的に損してしまう可能性があります。
資金の流動性を重視する人にとっては、大きなデメリットとなるでしょう。
インフレの影響を受けやすい
個人年金保険をおすすすめしないと言われる、もう一つの理由は、インフレによる影響です。
契約した個人年金保険が、あらかじめ決まった利率で運用する商品だった場合、契約した時点で将来受け取れる年金額が決まっています。
そのため、年金受け取り開始時に物価が上昇してしまう、つまりインフレが進むと、受け取れる年金の価値が目減りしてしまうのです。
将来にわたって安定した生活を目指すのであれば、インフレ対策が施された運用方法や、柔軟に資金を運用できる手段を選ぶことが重要です。
このような点から、個人年金保険だけに頼ることはおすすめしないという考え方が広がっています。
そもそも個人年金保険とは?
個人年金保険をわかりやすくいうと、「自分でお金を積み立てて、将来まとめて受け取るための保険」で、個人が任意で加入する私的年金の一つです。
所定の年齢になるまで保険料を払い込み、契約時に決めた年齢(60歳や65歳など)になったら、一定期間または終身にわたって年金を受け取ることができます。
日本には国民年金や厚生年金等の公的年金制度がありますが、すべての人が老後に安定した生活を送れるほどの金額を受け取れるとは限りません。
実際、生命保険文化センターの調査によれば、老後生活に対する不安の具体的な内容に「公的年金だけでは不十分」という意見が8割ほど占めています。
そのため、公的年金や退職金だけでは老後資金が不足すると考えた際、民間の保険会社の個人年金保険に加入することによって、将来必要な資金を計画的に準備することができるのです。
個人年金保険の仕組みやメリット・デメリットについて詳しく知りたかたは、以下の記事をご覧ください。

個人年金保険への加入をおすすめしない人の特徴
個人年金保険は、老後資金を準備するための有効的な手段ですが、すべての人に適しているわけではありません。
ここでは、個人年金保険への加入をおすすめしない人の特徴について解説します。
長期的に保険料を支払えない可能性がある
個人年金保険は、長期的に保険料を支払続けることが前提となっているため、「収入が不安定な人」や「預貯金の余裕がない人」にはおすすめしないです。
定職についていない場合や一時的な資金不足がある場合、長期にわたって保険料を支払続けることが難しく、途中で解約しても十分な返戻金を受け取ることができない可能性があるからです。
また、住宅ローンの返済や子供の教育費を準備しなければならない方、直近で大きな支出の予定がある方も、急いで加入する必要はありません。無理なく保険料を支払える状況になってから、加入を検討しましょう。
自分で資産運用する意欲がある
自分で資産運用をしたい方や、より自由度を求める方にとっては、個人年金保険はおすすめしない選択肢と言えます。
一般的に、個人年金保険は払い込んだ保険料の一部が、保険会社によって運用されます。将来受け取れる金額があらかじめ決まっている保険商品もあり、保険会社は安定的な運用をするため、大きく資産を増やすことは期待できません。
そのため、資産運用の知識があり、リスクを取ってリターンを増やしたいと考える人には、個人年金保険よりも投資信託や株式投資など、より柔軟な運用方法を選んだ方が有利です。
自分のペースで投資計画を立て、利益を最大化したいと考える方には、個人年金保険よりも自己運用を選ぶ方が賢明でしょう。
個人年金保険への加入をおすすめする人の特徴
逆に、個人年金保険はどのような人に向いているのでしょうか。
以下では、個人年金保険へ加入をおすすめする人の特徴をご紹介します。
計画的に貯蓄するのが苦手
- 毎月貯金しようと思ってもすぐ使ってしまう
- 貯金口座のお金をすぐに引き出してしまう
上記のような悩みを持つ方は、老後資金の準備のために個人年金保険への加入をおすすめします。
というのも、個人年金保険は一度保険料を支払うと、解約または年金受け取り時期になるまでお金を引き出すことができないため、強制的に資金を積み立てられる仕組みだからです。
自然に老後資金が積み上がっていくため、貯金が三日坊主になりがちな人でも、無理なく資金準備が可能です。
投資などの資産運用には抵抗がある
投資信託や株式といった資産運用はリスクが伴うため、「老後資金のために活用したいけど不安がある」という人も少なくありません。
個人年金保険は、こういった資産運用にまつわるリスクに不安がある人におすすめの選択肢です。
保険会社に運用を任せるため、自分で資産の管理や売買のタイミングを考える必要がなく、資産運用の知識がなくても安心できます。
大きな利益は期待しないが、リスクを最小限に抑えたい人は個人年金保険への加入をおすすめします。
持病があるが、保険で老後の資金を準備したい
現在の健康状態に不安がありつつも、保険で老後の資金を準備したい方にもおすすめです。
一般的に、貯蓄機能がある生命保険に加入する時には、健康状態の告知や医師による診査が必要になります。この時、持病などがあり、保険金支払いのリスクが高いと判断されてしまうと、加入を断られてしまう可能性があるのです。
しかし、個人年金保険の多くは、告知や診査を必要とせず、健康状態に不安がある方でも比較的加入しやすい傾向にあります。
個人年金保険料控除を利用して節税したい
個人年金保険に加入すると「個人年金保険料控除」の対象となり、税制優遇を受けられる場合があります。
個人年金保険料控除とは、一定の条件を満たす場合に、1年間に支払った保険料の一部が所得控除の対象となり、所得税や住民税の負担が軽減される仕組みです。
節税効果を得ながら老後資金を準備できるため、税金の負担を少しでも減らしたいと考えている人には、個人年金保険への加入をおすすめします。
【プロ直伝】老後資金の賢い準備方法
これまで、個人年金保険をおすすめしない理由から、おすすめする人しない人の特徴についてご紹介しました。
大きく言えることは、誰もが個人年金保険に向いているわけではありません。では、自分が個人年金保険に向いていないと感じたら、どうすればいいのでしょうか。
以下では、老後資金を備えるための方法をいくつかご紹介します。
終身保険
終身保険は、万が一に備えるだけでなく、老後資金の準備にも活用できる保険商品です。
保険料を一定期間払い込めば、その後は解約返戻金や契約者貸付制度を使って資金を引き出すことが可能になります。特に、保障と資産形成を同時に行いたい人にとって、終身保険は効率的な手段といえるでしょう。
iDeCo(個人型確定拠出年金)
iDeCoは、老後資金を自分で積み立てるための私的年金制度です。
自分で金融商品(投資信託や定期預金、保険など)を選び、毎月決まった金額を拠出(積立)します。その運用成果によって将来受け取れる年金額が変わる仕組みです。
なお、原則として60歳までは積み立てた資金を引き出すことができません。そのため、老後資金専用の貯蓄方法として考えることが重要になります。
また、iDeCoは政府が推進している制度のため、税制優遇が非常に大きいのが最大のメリットです。主なメリットは以下の通りです。
- 掛金が全額所得控除される
- 運用益が非課税
- 年金受け取り時にも税優遇あり
ただし、将来受け取れる金額は運用実績によって変動すること、金融機関によっては手数料が発生することに注意しましょう。
つみたてNISA
つみたてNISAは、少額から長期・分散投資を促進するための非課税制度です。投資初心者でも始めやすく、老後資金作りにもぴったりな仕組みになっています。
つみたてNISAには以下のような特徴があります。
- 通常、投資で得た利益には約20%の税金がかかりますが、つみたてNISAを利用すると最長20年間非課税になる。
- 毎月100~1,000円といった少額から投資が可能。
- 金融庁が適切だと判断した金融商品のみが対象となっているため、失敗しにくい。
つみたてNISAを活用すれば、低リスクで長期的に資産を育てることができ、老後資金の形成に役立ちます。リスクを抑えつつも運用の恩恵を受けたい人にとって、NISAは心強い味方となるでしょう。
最近では新NISA制度も始まり、非課税枠が拡大されるなど、さらに老後資金づくりに適した環境が整っています。
その他(貯金・外貨建て保険など)
老後資金の準備方法は一つに限りません。
銀行預金のような安全性重視の手段もあれば、外貨建て保険のように為替リスクを取りつつ高い利回りを狙う方法もあります。
ここで重要なのが、複数の手段を組み合わせてリスク分散をすることです。
自分のリスクの許容度やライフプランに合わせて準備方法を決めることによって、より安定的に老後資金を築くことが可能です。
記事まとめ
個人年金保険は、老後資金を準備するための手段のひとつとして、広く知られていますが、おすすめしないという意見もあります。
ひとつは、途中解約すると元本割れするリスクが高いこと、もうひとつはインフレリスクに対応できず、資産価値が目減りしてしまうことです。
老後資金づくりには「長期間続けられるか」「将来の経済環境に対応できるか」が鍵となるため、この2つに不安がある方は別の方法でセカンドライフに備えるのが賢明な判断かもしれません。
もちろん、個人年金保険に絶対入ってはいけないというわけではありませんが、より柔軟性があり、税制面でも優遇がある他の制度を活用した方が効率的に積み立てられる可能性もあります。
個人年金保険を検討する際には、今回ご紹介したおすすめしない理由をしっかりと理解した上で、後悔しない選択をすることが大切です。