個人年金保険とは?iDeCoとの違いや特徴・選び方を解説
更新日:23.01.10
「老後に対する不安があるけど、個人年金保険は老後不安の解消に役立つ?」
「そもそも個人年金保険はどういう商品なんだろう?」
個人年金保険とは、老後の生活資金を準備するための生命保険です。払い込まれた保険料を原資に、契約で定めた年齢から個人年金を受け取ることができます。
公的年金とは別に老後資金を確保する方法として、個人年金保険のほかにiDeCo(イデコ/個人型確定拠出年金)があります。個人年金保険かiDeCoか、どちらが有利でより自分に向いているのかを考えるには、保険料や年間の年金受取額、個人年金の受取期間など、個人年金保険ならではの特徴を踏まえて、検討しましょう。
ここでは、個人年金保険の特徴や種類、商品の選び方や、iDeCoとの違いなどについてわかりやすく解説していきます。
目次
個人年金保険とはどんな商品?特徴や必要性を解説
個人年金保険とは、老後の生活資金を貯めるための生命保険です。払い込まれた保険料を原資に、契約時に定めた年齢から個人年金を受け取ることができます。
それでは個人年金保険の特徴や仕組みについて、具体的に解説していきましょう。
個人年金保険はどんな場合に必要?
老後の生活資金となると、公的年金制度をイメージされる人も多いでしょう。
総務省「家計調査報告(家計収支編)2020年(令和2年)平均結果の概要」によると、定年退職後に受け取れる公的年金は、夫婦2人世帯の平均で月額約22万円となっています。これに対して、家計支出の平均は約25万6,000円ほどになり、差し引きすると3万7,000円程度の赤字となります。
つまり、老後の収入が公的年金だけとなると、貯蓄を取り崩していくか、生活を切り詰める必要があります。
平均余命の伸びを考えると、これからリタイアする世代では老後生活が長期間にわたる可能性が高く、公的年金だけでは老後資金の不安が残ります。公的年金に加えて、老後資金をいかに準備するかが重要になってきているといえます。
現役時代に保険料を払い込み、老後に生活資金として受け取る個人年金保険は、老後資金作りで検討すべき方法の1つです。
個人年金保険のメリット・デメリットは?
老後資金作りの方法の一つである個人年金保険にはどんなメリット・デメリットがあるのでしょうか?
さらに個人年金保険のデメリットを補うにはどのような方法があるのでしょうか?一緒に見ていきましょう。
老後資金の用意を進められる
個人年金保険の代表的なメリットは以下のとおりです。
- 着実に老後資金を用意できる
- 年末調整・確定申告で個人年金保険料控除を受けて税金を安くできる
続いては、それぞれのメリットについて詳しく詳しく解説します。
個人年金保険のメリット|税金対策と並行して着実に老後資金を用意できる
個人年金保険の保険期間は、「保険料を払い込む期間(保険料払込期間)」と、「年金を受け取る期間(年金受取期間)」に分かれます。
保険料払込期間が終わって年金受取期間が開始すると、その後は契約時に定めた金額・期間で、個人年金を受け取れるので、着実に老後資金を用意することができます。
仮に被保険者(保障の対象となる人)が亡くなったとしても、遺族は残りの期間に対応する個人年金、または一時金を受け取れるタイプの個人年金保険もありますので、商品の選択次第では、個人年金や一時金がまるまるムダになることはありません。
年末調整・確定申告の際に所得税や住民税の個人年金保険料控除を受けられ税金対策も
1年間に払い込んだ個人年金保険料の全部または一部を、その年の所得から控除することができます。生命保険料控除という所得控除の中に、「個人年金保険料控除」が設けられているためです。
控除を受けることで、所得税・住民税の対象となる課税所得が減るので、税金が安くなります。会社員や公務員であれば年末調整か確定申告で、それ以外の方でも確定申告を行うことで、税金の還付が受けられます。
以下に例として、個人年金保険料を年間80,000円超支払った場合の個人年金保険料控除による軽減額を挙げておきます。
課税所得金額 | 所得税年間軽減額 | 住民税年間軽減額 | 合計年間軽減額 |
---|---|---|---|
330万円以上 ~695万円未満 |
8,000円 | 2,800円 | 10,800円 |
695万円以上 ~900万円未満 |
9,200円 | 2,800円 | 12,000円 |
900万円以上 ~1800万円未満 |
13,200円 | 2,800円 | 16,000円 |
1800万円以上 ~4000万円未満 |
16,000円 | 2,800円 | 18,800円 |
個人年金保険のデメリット|元本割れやインフレリスクも
個人年金保険の代表的なデメリットは以下のとおりです。
- 早期に解約すると元本割れのリスクがある
- インフレに弱い(インフレリスクがある)
- 払込保険料総額が数百万~1000万円以上と大きな金額がかかる
上記の個人年金保険のデメリットを補う対処法についても解説します。
早期に解約すると元本割れのリスクがある
個人年金保険は、保険料払込期間が終了すれば契約通りの金額で個人年金を受け取ることができます。 やむを得ない事情で、個人年金保険を途中で解約することがあるかもしれません。その場合は解約返戻金が戻ってきますが、支払った保険料の総額よりも少なくなる「元本割れ」のリスクがあります。
特に、保険料の払い込みを開始してからあまり年数が経っていない場合は、解約返戻金がほとんどない場合もありますので、よく理解しておきましょう。
返戻率の損益分岐点を事前に把握しておく
個人年金保険を途中解約した際に受け取る解約返戻金は、保険料払込期間が長いほど、支払った保険料の総額を超える可能性が高くなります。
支払った保険料の総額に対する解約返戻金の割合を「返戻率」といいます。長期にわたって保険料を払い込み、返戻率が100%になったときが損益分岐点です。
個人年金保険に加入して2~3年程度の短期間の場合、返戻率は非常に低くなります。加入した商品やプランによりますが、加入後10年以上払い込みを継続していれば、おおむね9割程度の返戻率になるのが一般的です。
個人年金保険に加入する際は、事前に損益分岐点を確認しておくとよいでしょう。
インフレリスクがある(インフレに弱い)
個人年金保険は、保険料払込期間が終了すると、契約に定める期間、契約に定める金額を個人年金として受け取れます。
ここで注意すべき点は、保険料払込期間から年金受取期間を通じて物価が上昇、つまりインフレとなった場合です。物やサービスの値段は上がっても年金の金額は契約通りなので、年金の価値が相対的に目減りしてしまうことになります。
日本では直近おおよそ20年以上、デフレまたは低インフレが続いているためインフレリスクは問題となっていませんが、世界ではインフレが進んでいます。日本にもインフレの影響が及ぶ可能性も加味して、個人年金保険を検討しましょう。
インフレリスクが不安な方は利回りがよい金融商品の方が向いていることも
個人年金保険、預貯金などは安定的である一方で比較的インフレに弱い金融商品です。インフレが不安という方は、株式投資などの金融商品を検討してもいいでしょう。
投資経験がない、もしくは少ない一般の個人投資家であれば「投資信託」がおすすめです。株式や債券、不動産などさまざまな資産に分散投資ができ、中には100円からと少額で積立購入できる証券会社もあります。
インフレ対策としては、世界の株式のほか債券やREIT(不動産投資信託)などにも分散投資し、極端な値下がりリスクを抑える「バランス型ファンド」が向いています。
払込保険料総額が数百万~1,000万円以上と大きな金額がかかる
個人年金保険は、払い込んだ保険料が年金の原資となるため、老後資金の足しにするには、それなりに大きな金額の保険料を払い込む必要があります。
調査によると、個人年金保険に加入している世帯が年間に支払っている保険料の平均は20万600円です。月額に直すと16,710円となります(生命保険文化センター:生命保険に関する全国実態調査(平成30年度))。
例えば世帯主が40歳で個人年金保険に加入し、65歳まで平均である20万600円を毎年払い込んだ場合、その総額は618万円。毎月の保険料はさほど大きくなくても、総額ではかなりの大金と言えるでしょう。
保険料を一時払いにすると保険料総額が安くなる
個人年金保険の保険料を、契約時に一括で支払う「一時払い」という方法があります。一時払いの場合、分割払いと比べて、保険料の総額が安くなります。
保険会社は一括で保険料を受け取ると自社の運用で増やす機会が得られるため、分割払いより一時払いのほうを少しお得にしているのです。
リタイア前後で資金に余裕がある場合には、保険料の一時払いを選択肢の一つとして検討する価値はあります。
保険料の一時払いにするとどの程度有利かは商品やプランによるため、保険会社に事前に確認しておきましょう。
個人年金保険にはどんな種類がある?
個人年金保険は「受取方法」や「運用方法」によっていくつかの種類に分けられます。
それぞれの種類の特徴について、比較しながら解説していきましょう。
個人年金の受取方法により3種類に分けられる
個人年金保険は受取方法によって、以下の「3つの種類」に分けられます。
終身年金 | 被保険者(保険の対象となる人)が死亡するまで一生涯受け取れる年金。...*1 |
---|---|
確定年金 | 契約時に年金受取期間を10年、20年などの一定期間に定めた年金。年金受取期間中は被保険者の生死に関係なく年金を受け取れる。 |
有期年金 | 確定年金と同様に、年金受取期間を10年、20年などの一定期間に定めた年金。ただし、被保険者が死亡するとその時点で年金の受け取りは終了する。 |
*・・・保証期間がある有期年金では、保証期間中に被保険者が死亡すると、遺族は保証期間に対応する年金、または一時金を受け取れる。
*1・・・「保証期間」中に被保険者が死亡すると、遺族は残りの保証期間に対応する年金、または一時金を受け取れる。
終身年金や有期年金では、年金受取期間に「保証期間」をつけることができます。
保証期間とは、被保険者の生死にかかわらず、必ず年金を受け取れる期間をいいます。
保証期間がついていれば、被保険者が亡くなったときは遺族が代わりに個人年金を受け取ります。
ただし、保証期間をつけると保険料は割高になるので注意しておきましょう。
個人年金保険の運用方法により2種類に分けられる
個人年金保険は運用方法によって、以下の2つの種類に分けられます。
定額年金 | 契約時に受け取る年金額を定めて、年金受取開始後は契約どおりに一定額を受け取り続ける年金 |
---|---|
変額年金 | 年金原資の運用実績によって、受取年金額や解約返戻金が変動する年金 |
定額年金では、保険料払込期間が終了すると、契約に定めた金額で個人年金を受け取ることになります。
一方、変額年金では契約の段階では年金受取額が決定しないという大きな違いがあります。
変額年金は、年金原資の運用実績によって、年金受取額や解約返戻金が変動します。運用がうまくいき、年金原資が払込保険料総額を上回れば、年金受取額が増えます。反対に、運用がうまくいかず年金原資が払込保険料総額を下回ると、年金受取額が減ります。
変額年金の商品には、年金受取額に最低保証のあるプランもあるため、経済環境の見立てや必要とする老後の年金額を踏まえて、加入の可否を検討するとよいでしょう。

個人年金保険の活用方法
個人年金保険の活用方法は、大きく分けて以下の2種類があります。
- 定年退職から公的年金が支給されるまでの老後のつなぎ資金として受け取る
- 公的年金では生活費が足りない分を補う老後の上乗せ資金として受け取る
以下に詳しく解説していきます。
定年退職から公的年金が支給されるまでの老後のつなぎ資金として受け取る
定年延長や再雇用といった就労期間の延長策が設けられており、公的年金の受給開始年齢は今後も引き続き延期に向かう可能性が高くなっています。
ここで、個人の健康状態や就業機会を得られるかどうかによって、就労期間と公的年金の受給をスムーズにつなげられないリスクが発生します。
そこで個人年金保険は、就労を終えてから公的年金を受給開始するまでの「つなぎ資金」として活用することができます。
自分の60代における就労の見通しを踏まえて、つなぎ資金の活用を検討しましょう。
国民年金と厚生年金の違いなど、公的年金についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
国民年金と厚生年金の違いとは?公的年金の基礎知識を詳しく解説公的年金では生活費が足りない分を補う老後の上乗せ資金として受け取る
多くの高齢者が、公的年金だけで生活費をまかなっているわけではありません。ゆとりのある老後の生活を希望するのであれば、公的年金だけでは足りないケースは今後多くなると予想されます。
そこで、個人年金保険を公的年金に「上乗せする資金」として活用し、前もって老後資金を着実に貯えておくことも考えておく必要があります。
個人年金保険とiDeCoの違いを4つの観点で解説
老後資金を準備する方法として、個人年金保険のほかにも、iDeCo(イデコ/個人型確定拠出年金)があります。
iDeCoは個人の老後資金形成を促進するため、国が設けた税制優遇制度です。
証券会社や銀行等にiDeCo口座を開いて自分で資金を拠出し、投資信託・定期預金・保険を用いて自分の判断で運用します。
iDeCoで運用した資産が原資となり、原則として60歳以降で年金または一時金の受け取りが可能となります。
個人年金保険とiDeCoの主な特徴について、以下の表にて比較してみました。
個人年金保険 | iDeCo | |
---|---|---|
資金の引き出し | 解約しすれば返戻金を受け取れる | 原則60歳まで不可...*1 |
掛け金(保険料)の上限額 | 所得税で最大4万円まで、住民税で最大2.8万円まで所得控除が可能 | 年額14万4,000円~81万6,000円まで所得控除...*2 |
運用の種類 | 生命保険会社が年金資産を運用 | 投資信託、定期預金、保険から自分で選んで運用する |
元本割れのリスク | 早期で解約しない限り、元本割れのリスクは低い | 定期預金の場合は元本割れのリスクは非常に小さい。投資信託の場合は運用次第で年金資産は増減する |
*1・・・2022年5月から原則65歳までに拡大
*2・・・職業等によって異なる
資金はいつでも引き出せる?
iDeCoの口座に拠出した掛け金は、原則として60歳まで引き出すことはできません。老後資金作りに特化した口座である代わりに、さまざまな税金対策がなされています。
一方で、個人年金保険はいつでも解約して資金を引き出すことができます。ただし保険料払込期間が短いと、解約返戻金が払い込んだ保険料の総額を下回ることになります。
税金対策になる?保険料(掛け金)の控除額の上限
iDeCoも個人年金保険もどちらでも、払い込んだ金額を課税所得から控除があるため、税金対策として利用可能です。
iDeCoの場合は、職業等によって異なりますが、年額14万4,000円~81万6,000円を掛け金として拠出できます。この掛け金の全額が「小規模企業共済等掛金控除」の対象となるため、所得から控除されます。
個人年金保険の場合は、1年間で支払った保険料額が「個人年金保険料控除」の対象となります。所得税で最大4万円まで、住民税で最大2.8万円まで、課税所得を減らすことができ、所得税・住民税を減らせます。
運用の種類の違いは?
iDeCo口座での運用は、口座開設者が自分の判断で行います。投資信託や定期預金、保険から選んで運用し、その結果は老後資金に反映されることとなります。
個人年金保険では、生命保険会社が年金資産を運用します。定額年金の場合だと運用の結果が年金受取額に影響を及ぼすことはありませんが、変額年金の場合、運用の結果次第で年金受取額が変動します。
元本割れのリスクに近いはある?
iDeCo口座で運用できる商品の中でも、定期預金や保険については元本割れのリスクは比較的小さいです。
ただし、投資信託の場合は元本割れのリスクがあります。なかでも株式やREIT(不動産投資信託)に投資する投資信託については利益が出る可能性が高い半面、元本割れのリスクも高くなります。
個人年金保険の場合、長期で保険料を払い込めば元本割れのリスクは低くなります。
ただし、早期で個人年金保険を解約をすると、戻ってくる解約返戻金はほとんどなく、大きく元本割れすることになります。
個人年金保険の商品選びのポイントは?
自分に合った個人年金保険を選ぶには具体的にどの点に着目すればよいのしょうか?
ここでは保険商品選びのチェックポイントを、3つに絞って解説していきます。
受取方法・受取期間で比較する
基本的な考え方としては、個人年金保険によってどの程度の期間の老後資金を用意したいか、および年金受取の確実性(被保険者が亡くなっても遺族が受け取れるかどうか)に考慮してプランを選びます。
具体的には、個人年金保険は「終身年金」「確定年金」「有期年金」のいずれかから選ぶことになるので、特徴をもう一度確認していきましょう。
終身年金 | ・被保険者が死亡するまで受け取れる年金 ・一生涯老後の生活に困りたくない人に向いているが、その分保険料は他のタイプの年金と比較して割高になる |
---|---|
確定年金 | ・契約で年金受取期間を10年、20年などの一定期間に定めた年金。その期間は確実に個人年金が受け取れる ・自分が亡くなっても遺された家族が年金を受け取れるようにしておきたい人に向いている |
有期年金 | ・確定年金と同様に、年金受取期間を10年、20年などの一定期間に定めた年金。ただし、被保険者が死亡するとその時点で年金の受け取りは終了する ・他のタイプの年金と比較して、保険料を抑えめにできる |
返戻率で比較する
個人年金保険の商品のリターン(払込保険料総額に対して年金受取額が増加する割合)を「返戻率」といいます。
返戻率とは、支払った保険料の総額に対して、年金受取額がいくらになるのかの割合を示します。
返戻率 = 受け取れる年金の総額 ÷ 支払った保険料の総額 × 100
年金受取額が払込保険料総額を超えると返戻率は100%を超えて、返戻率が大きいほどその個人年金保険のリターンが大きいことを示します。
加入する個人年金保険を選ぶ際には、事前に返戻率がいくらになるか、必ず確認しておきましょう。
円建てか外貨建てかで比較する
通常の個人年金保険は「円建て」ですが、「外貨建て」の個人年金保険を活用するという選択肢もあります。
以下の表に、円建てと外貨建ての個人年金保険の特徴をまとめました。
円建ての個人年金保険 | 外貨建ての個人年金保険 | |
---|---|---|
保険料の払い込み・受け取りの通貨 | 日本円 | 外貨(米ドル・豪ドル・ユーロなど、ただし特約付加により日本円も可能) |
運用先 | 主に日本国債 | 主に外貨建ての国債(例:米ドル建てなら米国債) |
リターン | 低いが安定 | 高いが不安定 |
外貨建ての個人年金保険とは、支払った保険料を年金原資として、その資金を外貨で運用する個人年金保険です。米ドル、豪ドル、ユーロなどの外貨建ての商品に加入するのが一般的です。
原則として、外貨で保険料を支払い、保険金を受け取ることになっていますが、「円換算特約」という特約を付加することで、円での払い込みや受け取りが可能となります。
払い込んだ保険料は、主にその国の国債などで運用されます。日本よりも金利が高い国の国債等で運用するため、将来の年金受取額が増える可能性があります。
高い金利を享受できる可能性がある半面、為替変動によって損失が発生することがあります。運用期間中に円安から円高に大きく振れると、年金受取額が減る可能性があるのが、外貨建て個人年金保険の注意点といえます。
選びきれないという人は保険相談という選択肢も
「選び方はわかったけど、保険商品の違いがわからない」
という多い方も多いのでしょうか。数ある保険紹介から自分にあう保険を選ぶのは難しいです。
自分の状況に合った保険を知りたいという方は、保険相談という手もあります。多くの保険代理店が無料相談を設けているため、保険相談に申し込み担当者に不明点を聞いたり、自分にあう保険を絞り込んでもらうとよいでしょう。
個人年金保険に関するよくあるQ&A
ここでは個人年金保険に関するよくある質問にお答えしていきます。
個人年金保険に関するよくある質問
- 定額個人年金保険と変額個人年金保険の違いは?
- 個人年金保険では保険料の一時払い(一括払い)はできる?
- 生命保険会社が破綻した場合、個人年金保険の契約や年金の受け取りはどうなる?
定額個人年金保険と変額個人年金保険の違いは?
定額個人年金保険とは、加入時に定められた利率(予定利率)により年金の原資が運用され、年金受取開始時に一定額の個人年金を受け取れる商品です。
一方、変額個人年金保険とは、株式や債券などで年金の原資を運用して、その運用実績によって将来受け取る個人年金が変動する商品です。運用に成功すれば年金額が増えますが、運用がうまくいかないと年金額が減る可能性があります。
なお、定額個人年金保険の場合、一定の条件を満たし「個人年金保険料税制適格特約」を付加すると、保険料は「一般生命保険料控除」とは別枠の「個人年金保険料控除」の対象となります。
しかし、変額個人年金保険の場合、保険料は個人年金保険料控除の対象にはならず、一般生命保険料控除の対象となります。
個人年金保険では保険料の一時払い(一括払い)はできる?
個人年金保険料の一時払い(一括払い)は可能です。
個人年金保険には、月払い・半年払い・年払い・一時払いといった保険料の払込方法があり、加入時にいずれかを選択できます。
定額個人年金保険の場合は月払いを選ぶのが一般的です。一方、変額個人年金保険では一時払いのケースが多く、最低の一時払い保険料額は100万円からの商品があります。
生命保険会社が破綻した場合、個人年金保険の契約や年金の受け取りはどうなる?
もし生命保険会社が破綻したら、保険契約者を保護するために「生命保険契約者保護機構」という法人にて保険契約が継続されます。破綻後に個人年金保険の契約が消滅するといったことはありません。
ただし、破綻の手続きを行うことで、個人年金の受け取りが凍結されたり、個人年金の受取額自体が減額されることがあります。
個人年金保険を含め生命保険は長い付き合いになる商品です。個人年金保険に加入する際は、生命保険会社の経営状況や決算情報をWebサイトにて確認した上で検討するのがよいでしょう。
まとめ
個人年金保険は老後資金を確保するための有効な商品ですが、さまざまなプランがあるので、自分に合ったプランを選べるよう、基本的な知識を身につけましょう。
個人年金保険というのは払込保険料総額が数百万円以上にも及ぶ大きな「買い物」です。商品選びに失敗してしまうと、生活設計上大きなダメージを受けかねません。
個人年金保険によってどの程度の期間の老後資金を用意したいか、および年金受取の確実性(被保険者が亡くなっても遺族が受け取れるかどうか)を考えて、プランを選択したいところです。
先に述べた個人年金保険の3つのタイプ、「終身年金」「確定年金」「有期年金」の特徴を押さえた上で、どれを選ぶのが自分にとってよりよい選択なのか、ぜひチェックしておきましょう。
監修者

ファイナンシャルプランナー(AFP)
FP(ファイナンシャルプランナー)兼編集者・フリーライターとして、主に投資・資産形成・資産運用のジャンルにて活動中。編集・執筆業務のかたわら、FPとして顧客相談に応じている。著書『マンガでわかる人生100年時代の投資術』(枻出版社)が好評を博し、現在は長期投資の新しい考え方や手法をまとめた書籍を鋭意執筆中。
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