保険の法人向け営業が大変って本当?仕事内容・やりがい・難しさについてわかりやすく解説
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法人向け保険営業は、企業の経営課題を解決する重要な役割を担う、専門性の高い職種です。
特に転職を考えている30~50代の方にとって、将来の安定性や営業のスタイル、自分の経験が活かせるかどうかは気になるポイントだと思います。
本記事では、法人向けの保険営業の仕事内容をはじめ、個人営業との違いや、仕事のやりがい・大変なことについて解説します。
転職先として、法人向けの保険営業マンを検討している方はもちろん、「営業としてもっと成長したい」と感じている方にも役立つ内容になっていますので、ぜひ最後までご覧ください。
法人向け保険営業の仕事内容とは
法人向け保険営業とは、企業や法人に対して保険商品を提案・販売する仕事です。
営業先は中小企業から上場企業まで幅広く、契約者は企業そのもの、または企業の代表取締役社長・役員といったケースが一般的です。
法人向け保険営業の主な仕事内容は以下の通りです。
- 経営者や人事担当者へのヒアリング
- 企業の課題やニーズの把握
- 保険商品(生命保険・損害保険)を活用したリスク対策の提案
- 保険契約の手続きやアフターフォロー
経営者や財務担当者との商談を通じて企業の現状を把握し、備えたいリスクに必要な保険プランを策定します。また、既存契約の見直しや新たな事業展開に伴うリスクヘッジへの提案も重要な業務の一つです。
個人向けとは異なり、企業の経営課題に踏み込んで提案を行うため、より高度な知識や戦略的な営業スキルが求められるのが特徴です。
具体的な保険ニーズや個人向け営業との違いについては、次の章でご紹介します。
個人向け保険営業と何が違う?
法人向け保険営業と個人向け保険営業には、保険ニーズや商談の難易度、営業スタイルなどに違いがあります。
保険ニーズの違い
法人向けと個人向けでは、そもそも保険に求める役割が異なります。法人は「会社を守るため」、個人は「家族や生活を守るため」です。
法人が保険を活用する目的は、主に以下の4つに分類できます。
①経営者や役員の死亡による事業へのリスクに備える
経営者や重要な役員が亡くなった場合、企業の事業継続に深刻な影響を与える可能性があります。
このリスクに備えるために、法人向けの生命保険が活用されます。
法人向けの生命保険は、経営者や役員の死亡時に発生する事業の混乱や売上減少、債務返済などの会社の財務的負担を軽減する役割を果たします。
特に中小企業では、経営者への依存度が高いため、このような法人保険の重要性がより高くなります。
②従業員の死亡による死亡退職金・弔慰金の支払いに備える
企業は役員や従業員が死亡した際、遺族に対して死亡退職金や弔慰金を支払う責任があります。
これらの支払いに備えるため、法人は従業員を被保険者とした生命保険に加入します。
特に従業員数の多い会社では、複数人の死亡が同時に発生するリスクもあるため、適切な保険設計が重要になるでしょう。
③退職金の支払いに備える
従業員の退職金支払いに備える保険商品も重要なニーズの一つです。
確定給付企業年金保険などの貯蓄性のある生命保険を活用することで、将来の退職金支払いに必要な資金を計画的に積み立てることができます。
④事業継承や相続に備える
企業の経営者にとって、事業継承・相続は重要な課題です。
個人の時と同様に相続税や贈与税がかかりますが、法人の場合、その金額はかなり大きいものとなり、その後の経営を圧迫しかねません。
相続税の支払いや事業の円滑な引き継ぎに備えるため、法人向けの生命保険を活用した事業継承対策が求められます。
商談の難易度は高め
法人向けの保険営業は、個人向けに比べて商談の難易度が高い傾向にあります。これは、保険契約に際して関与する人数が多く、意思決定プロセスが複雑であることが主な理由として挙げられます。
企業が保険加入するには、経営者だけでなく、財務担当者や人事担当者、場合によっては税理士や会計士なども関与します。それぞれの立場や異なる観点から検討が必要になるため、多角的な提案と論理的な裏付けがされた説明が求められます。
また、会社の財務状況や事業計画を深く理解し、長期的な視点での保険設計が必要になります。そのため、単に保険商品の内容についての説明だけでなく、会社の経営課題を解決するための提案が必要になるため、高度な専門知識と提案力が不可欠です。
営業スタイルにも違いがある
個人向けの保険営業は飛び込みやテレアポ、来店型店舗などが主流ですが、法人営業はアポイント獲得型が多く、経営者への訪問が中心になります。
個人向けのように短期間での成約を目指すのではなく、企業との信頼関係を時間をかけて築き上げることが重要です。
そのため、初回訪問から契約まで、数か月から1年以上かかることも珍しくありません。その間、企業内の変化に応じた提案の修正や追加提案といったフォローを継続的に行う必要があります。
【比較表】法人向け保険営業と個人向け保険営業の違い
法人向けと個人向けの保険営業の違いについて、表にまとめました。転職の際には以下の表を参考に、自分がどちらの保険営業職に向いているのかを判断し、最適な職場を見つけてみてください。
法人向け | 個人向け | |
---|---|---|
提案相手 | 企業の上層部(経営者・役員・人事など) | 一般家庭など |
主な 提案内容 |
退職金準備、福利厚生、事業保障、税務対策など | 死亡保険、医療保険、がん保険、学資保険など |
商談の 難易度 |
高い(信頼・決裁までのプロセスがある) | 中程度(顧客の意思によるもの) |
商談期間 | 長期(数か月〜1年以上) | 短期(数週間〜数か月) |
必要な 知識 |
経営・財務・法人税・人事労務など | ライフプラン、社会保険制度 |
契約単価 | 高単価 | 小~中規模 |
営業スタイル | コンサルティング型(訪問など) | 提案・販売型(飛び込みやテレアポなど) |
法人向けの仕事ならではのやりがいと大変さ
法人向けの保険営業には、個人向けにはない、法人向けならではのやりがいや大変さがあります。
企業の経営課題を解決する手応え
法人向け保険営業という仕事の最大の魅力は、単なる保険商品の販売にとどまらず、企業経営そのものの課題解決に関与できることです。
例えば、事業継承に悩む中小企業の経営者に対して、法人向け生命保険を活用したスムーズな資金移動の仕組みを提案したり、従業員満足度の向上を狙った福利厚生として退職金制度を設計したりと、提案の幅はとても広いです。
単なる保険のセールスではなく、「企業の未来を支えるパートナー」としての関わり方ができるため、社会貢献や大きな達成感を実感できる点は、他の業界の営業職にはない魅力と言えるでしょう。
契約単価が高く、報酬に直結しやすい
法人向け保険の提案は、一件あたりの契約金額が数百万~数千万円規模になることも珍しくありません。
その分、成功報酬やインセンティブの額も大きく、実力主義の環境でダイレクトに評価されたい方には理想的な職場環境と言えます。
ただし、先述の通り、法人向けの保険は契約までにある程度の時間がかかるため、短期的な結果を求めるのではなく、「質の高い提案を積み重ねた結果、大きな報酬につながる」という長期的視点を持つことが重要です。
収入面のインパクトが大きいことは、営業職としての自信ややりがいにもつながります。
経営者との人脈が築ける
法人向け保険営業では、商談相手が社長や役員クラスであることが多いため、自然とハイレイヤーな人脈が築かれていきます。
このような人たちとの関係構築は、保険の提案に留まらず、経営者ならではの視点や知見に触れる機会でもあります。自分自身の視野が広がるだけでなく、将来的に独立を目指す際にも貴重な財産となること間違いなしです。
また、信頼されると他の会社の経営陣の紹介や追加提案のチャンスにもつながるため、人脈の質と深さがそのまま営業成果に結びつく点も魅力といえます。
提案内容が複雑で高度な知識・スキルが必要
法人向け保険は、税務・会計・労務・法律といった多角的な知識が求められる分野です。
例えば、退職金制度の設計では、法人税や所得税の取り扱いに配慮しながら、最適な保険商品を選び、企業にとってのメリット・デメリットを明確にする必要があります。
そのため、常に専門知識を学び続ける姿勢が必要不可欠ですが、逆に「学べば学ぶほど提案の質が上がる=成果に繋がる」という点で、自己成長と成果がリンクする仕事だと言えます。
信頼関係の構築に時間がかかる
法人営業では、「すぐに契約を取る」よりも、いかに信頼関係を築けるかが勝負になります。特に経営陣は多くの営業を受け慣れているため、表面的な説明ではなかなか心を動かせません。
時間をかけて何度も足を運び、会社の背景や課題を深く理解したうえで、最適なタイミングで提案をする必要があります。
その過程は時にもどかしく感じるかもしれませんが、信頼が築けた瞬間には、他のどんな仕事にも代え難い達成感があります。
また、信頼を得るとその後の提案はスムーズになり、安定的な成果に繋がるため、長期的な関係構築を大切にできる人にとっては、非常に働きがいのあるフィールドです。
向いている人の特徴は?
法人向け保険営業は、やりがいや魅力が大きい反面、専門性や長期的な信頼関係の構築が求められる仕事です。そのため、個人営業とは異なる適性が求められます。
ここでは、法人営業に向いている人の特徴を3つご紹介します。
- 経営や財務に興味がある
- コツコツ関係を築くのが得意
- 数字だけでなく、本質的に役立つ仕事がしたい
経営や財務に興味がある
法人向け保険営業では、企業の課題に対して生命保険・損害保険をどのように活用するかを考えるため、経営全体の仕組みやお金の流れに対して興味がある人に向いています。
例えば、以下のようなものに興味がある人は相性が良いです。
- 経営者が抱える悩みや意思決定の背景を知りたい
- 財務諸表の見方やキャッシュフローに興味がある
- 節税や資産管理の知識を深めたい
もちろん、はじめから高度な知識が必要というわけではありません。最初は「なぜこの保険が退職金対策になるのか?」といった疑問を持ち、自ら調べたり学んだりする姿勢があれば、十分に成長していける素質があります。
中でも経営者の視点を持って提案を行える人は、活躍できる可能性が高いです。
コツコツ関係を築くのが得意
法人向けの保険営業では、長期的な関係構築が非常に重要になります。
そのため、地道な努力を継続し、時間をかけて信頼関係を築くことができる人が向いていると言えるでしょう。
特に忍耐力があり、一人一人の顧客との関係を大切にできる人は、法人向け保険営業という仕事で成功できる可能性が高いです。加えて、定期的なフォローアップや継続的な価値提供を苦に感じない人が適しています。
数字だけでなく、本質的に役立つ仕事がしたい
単純な売り上げ数字への追求だけでなく、企業の本質的な課題解決に貢献したいという志向を持つ人も、法人向け保険営業の仕事に向いています。
法人向け保険営業では、お客様から「〇〇さんのおかげで助かりました」と言われるような関係性を築けることが多く、その一言が何よりのやりがいになります。
数字の裏にある人の想いを大切にできる方には、非常にマッチする仕事です。
まとめ
法人向け保険営業は、企業の経営課題を解決する専門性の高い職種です。
個人向け保険営業とは異なり、複雑な事業リスクに対応する保険商品を提案し、長期的な信頼関係の構築を通じて企業の成長を支援します。
高度な専門知識と継続的な学習が求められる一方で、企業の経営課題解決に直接貢献できるやりがいや、高収入の可能性、経営者との貴重な人脈構築など、数多くの魅力があります。
経営や財務に興味があり、本質的に価値のある仕事を探している人にとって、法人向け保険営業は非常に魅力的なキャリアの選択肢となるでしょう。
転職を検討している方は、これらの特徴と自分の志向を照らし合わせて、慎重に判断することをおすすめします。
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