
50代の女性は、身体的・生活的・遺伝的にがんの発症リスクが高まる年代であり、万一に備えて「がん保険」を検討することが大切です。
特に、がんは、治療が長期化する傾向であるため、医療費だけでなく収入の減少や、生活費への影響も大きく、経済的なリスク管理は必要不可欠です。
本記事では、保険のプロが「50代の女性にがん保険は必要なのか?」について、丁寧にわかりやすく解説していきます。
記事の後半には、自分に適するがん保険の選び方をご紹介しているので、ぜひ最後までご覧ください。
50代の女性にがん保険は必要なのか?
女性のがん罹患率は、厚生労働省の統計によると、40代後半から急増し、50代で乳がん・子宮がん・大腸がんなどの発症リスクが高まります。
そのため、50代でがん保険を検討することは、将来の安心を得るためにも、非常に重要な選択です。
ここでは、50代の女性にがん保険が必要な理由について、わかりやすく丁寧に解説していきます。
50代女性のがん罹患率
日本人女性のがん罹患率は、厚生労働省や国立がん研究センターの統計によると、40代後半から急上昇し、50代でピークを迎えるがんも少なくありません。
50代でピークを迎えるがんは、乳がん・子宮体がん・大腸がん・甲状腺がんなどで、50代女性の健康リスクとして、大きな割合を占めています。
これらのがんは、加齢に伴う「ホルモンバランスの変化」「生活習慣の影響」「遺伝的要因」など、複合的に関係していると言われています。
50代女性のがん罹患率 高:乳がん
乳がんは、日本人女性が最もかかりやすいがんであり、ホルモンの変化によって乳腺の構造が変わることや、長年の生活習慣が要因とされていて、閉経前後の年代(40代後半から50代前半)に増加します。
乳がんは、早期発見であれば治療成績が高い一方で、再発や長期通院のリスクもあるため、継続的に医療費の負担が生じる傾向です。
50代女性のがん罹患率 高:大腸がん
大腸がんは、乳がんと同じく、50代から増加するがんの代表例で、食生活の乱れ・運動不足・ストレス・飲酒・肥満などによって発症リスクが高まり、閉経後に罹患率が上がる傾向にあります。
大腸がんは、初期症状が出にくいため、発見が遅れることも多く、定期的に便潜血検査や内視鏡検査を受けることで、早期発見に繋がります。
50代女性のがん罹患率 高:子宮体がん(子宮内膜がん)
子宮体がん(子宮内膜がん)は、女性ホルモンの乱れが影響すると言われており、50代の発症リスクが高いがんの一つです。
発症リスクが高まる理由は、女性ホルモンの「エストロゲン」が子宮内膜を長く刺激することで、2割程度が他の原因であると言われています。
また、子宮体がん(子宮内膜がん)は、肥満や糖尿病などの「生活習慣病」が関係することも多く、発症リスクを高める原因となります。
50代女性のがんに対するリスク
50代の女性は、ホルモンバランスの変化・生活習慣の影響・加齢による機能低下などが重なり、がんの発症リスクが急激に高まる年代です。
女性のがん罹患率は、国立がん研究センターの統計でも40代後半から上昇し、50代で高くなることが明らかになっています。
ホルモンの変動
50代の女性は、閉経を迎える時期で、エストロゲンとプロゲステロンの分泌が大きく減少し、体内のバランスが崩れやすくなります。
ホルモン変動は、乳腺や子宮内膜への影響が増し、女性特有のがん(乳がん・子宮体がんなど)と深く関係してきます。
特に、乳がんは、閉経前後のホルモン変動期に多く発症し、50代前半でピークを迎える傾向があります。
生活習慣の変化と蓄積
50代の女性は、生活習慣の変化や蓄積された環境も大きな要因となり、がんの発症リスクに影響してきます。
特に、長年の食生活(欧米化による脂質や糖質の摂取過多)・慢性的な運動不足・喫煙・飲酒・肥満などは、大腸がんや肺がんのリスクを高めます。
また、50代の女性は、ライフステージの変化も大きく、ストレスの多い環境(仕事や家庭)が免疫力の低下を招き、がんの発症リスクを高めてしまいます。
50代は、仕事や家庭での責任が重く、健康管理が後回しになりがちな年代でもあるため、意識的な生活改善が求められます。
免疫力の低下
人間の身体は、加齢により細胞の修復能力や免疫機能が低下すると、体内で発生する異常細胞を排除しにくくなり、がんが発症しやすくなります。
特に、50代の女性は、更年期を境に免疫バランスが変わり、自律神経の乱れやホルモンの変化によって、体調を崩しやすくなる傾向があります。
遺伝的な要因(家族歴)
親や兄弟姉妹に乳がん・大腸がんの既往歴がある場合は、自身も50代以降で発症リスクが高まるため、定期的な検診をしておくと安心です。
50代女性のがん保険加入率
がん保険単体の加入率は、年齢とともに変化し、保険料の負担・健康状態・既往症の有無が影響してきます。
50代女性のがん保険加入率は、乳がん・大腸がん・子宮体がんなど、年齢と共に高まるがんへのリスクを意識して、30代や40代に比べて増加傾向です。
特に、自分自身や家族にがん経験がある場合は、職場の健康保険や、企業制度だけではカバーできない治療費に備えるため、民間のがん保険に加入する女性も少なくありません。
一方、50代でがん保険を検討する際は、若年層に比べて保険料が高くなるので、既に医療保険や生命保険に加入していると、加入を見送るケースもあります。
50代女性のがん保険加入率は、リスクの認知度・経済的な余裕・健康状態・既存の保険との兼ね合いなど、複数の要因によって決まります。
統計的には、一定の割合で加入が進んでいるものの、加入条件・保険料・健康状態の影響で、すべての50代女性が加入できているわけではありません。
50代女性の月額保険料平均値
一般的に、50代女性の月額保険料平均値は、4,000円から7,000円前後とされており、保険のタイプや保障内容によって大きく変動します。
例えば、終身型のがん保険は、生涯にわたる保障を確保できるため、月額保険料が高めに設定される傾向です。
一方、定期型は、一定期間のみの保証なので、保険料が安く抑えられるものの、更新時に保険料が上がるリスクもあります。
また、月額の保険料は、一時金・入院 / 通院保障型によっても変わり、通院保障や先進医療特約を付けると、平均値より高くなりやすいです。
がん保険と医療保険の違い
がん保険と医療保険は、どちらも病気や入院に備える保険ですが、保障内容や目的には明確な違いがあります。
まず、医療保険とは、がんを含めた様々な病気やケガによる入院・手術・通院にかかる費用を幅広くカバーする保険です。
医療保険は、入院日数や手術内容に応じて、病気や怪我の種類問わず、発生した医療費の一部を「給付金」として受け取ることができます。
一方、がん保険とは、その名の通り「がん」に特化した保険で、がんと診断された時点で、まとまった一時金が支払われるタイプや、入院・通院・治療費を重点的に保障するタイプがあります。
がんは、治療や通院が長期化するケースも多く、治療内容によって、高額な自己負担が発生してきます。
特に、50代は、がんの罹患率が上昇する年代でもあるため、医療保険とがん保険を併用することによって、より安心できる保障体制を整えることができます。
【50代女性篇】がん治療に必要なお金
がん治療に必要な費用は、厚生労働省や保険会社のデータによると、平均で100万円〜300万円が目安とされています。
ただし、この費用は、がんの種類・治療法・進行度によって大きく異なり、高額療養費制度を利用しても、一時的にまとまったお金が必要になります。
ここでは、50代女性が「がん治療」に必要なお金について、わかりやすく解説していきます。
検査費
50代の女性は、乳がん・子宮がん・大腸がんなどの発症リスクが高まる年代であり、早期発見が治療の成功や予後に大きく影響します。
市区町村などが実施する公的ながん検診(検査)の場合は、自己負担額が比較的安く、1,000円〜3,000円程度で受けられることが多いです。
- 乳がん検査:マンモグラフィ:1,000円〜2,000円前後
- 子宮がん検査(細胞診):1,000円〜2,000円程度
一方、精密検査や人間ドックなど(自己負担型)の場合には、費用が大きく変わってきます。
- 乳がんの精密検査
マンモグラフィ+超音波検査の併用:5,000円〜10,000円程度
※PET-CT検査は1回あたり10万円〜15万円前後
また、50代女性に増えている大腸がん検査では、便潜血検査なら数百円〜1,000円程度で済みますが、内視鏡検査になると2万円〜4万円程度かかることがあります。
さらに、がんが疑われた場合には、組織検査(生検)を行うこともあり、1万円〜3万円程度の費用が追加されます。
これらの検査費用は、がんの部位・病院・地域・保険適用の有無によっても変動します。
治療費
がん治療の平均的な総額は、厚生労働省や保険会社の調査によると、100万円〜300万円程度が目安とされています。
この治療費は、健康保険適用後の自己負担分(3割)も含んだ金額であり、治療内容によって更に高額となる場合があります。
特に、50代女性に多い乳がんや子宮がんでは、早期発見であっても手術・放射線治療・薬物治療など、複数の治療法を組み合わせることが多く、費用がかさむ傾向にあります。
また、抗がん剤治療は、治療の中でも費用がかかる項目で、1回の投与ごとに5万円〜20万円程度かかることがあります。
一般的に、抗がん剤治療は、複数回行う必要があるため、総額で50万円〜100万円を超えることも少なくありません。
さらに、放射線治療を併用する場合は、がんの部位や進行度・選択する薬剤・治療方法によっても変動しますが、20万円〜40万円程度の追加費用が発生します。
最近では、先進医療や自由診療を選択する患者も増えており、重粒子線治療や陽子線治療などになると、健康保険が適用されないため、1回の治療で200万円〜300万円以上かかります。
先進医療を希望する場合は、事前に費用や保険適用の範囲を確認しておくことが大切です。
手術費
がんの手術費用(自己負担額)は、健康保険が適用される場合でも、平均30万円〜70万円程度が一般的です。
ただし、自己負担額は、がんの種類・医療機関・手術方法によっても、金額が大きく異なります。
例えば、50代の女性に多い「乳がん手術」では、乳房部分切除で30万円前後、乳房全摘出術だと40万円〜50万円程度が目安となります。
さらに、乳房再建手術を希望する場合には、保険適用の有無や方法によって、20万円〜100万円以上の追加費用がかかります。
次に、子宮がんや卵巣がんの手術費は、開腹手術や腹腔鏡手術など、複雑な手技を伴うため、費用も高くなる傾向にあります。
自己負担額は、健康保険適用後でも、子宮全摘出手術で40万円〜60万円前後、卵巣がんの摘出手術では50万円〜70万円程度が一般的です。
一方で、大腸がんや胃がんの手術は、内視鏡手術だと比較的費用が抑えられるため、20万円〜40万円程度(開腹手術だと50万円前後)で済むケースもあります。
加えて、がん手術には、手術費の他にも、検査費・麻酔費・入院費・食事代など、関連費用が発生してきます。
また、自由診療や先進医療を選択する場合には、保険適用外となり、手術費用が高額になるため、がん保険や先進医療特約などを活用することで、経済的負担を軽減することが可能です。
入院費
がん治療における入院費は、50代の女性にとって、とても大きな経済的負担となります。
入院費は、入院基本料・処置 / 検査 / 手術費用・薬剤費・食事療養費・差額ベッド代などを含み、一般的に数十万円単位の支出が必要になる傾向です。
特に、50代の女性は、乳がん・子宮がん・卵巣がん・大腸がんなどで入院することが多く、1回の入院で数十万円から100万円を超えることも珍しくありません。
さらに、個室や少人数部屋を選択した場合には、差額ベッド代(1日あたり5,000円から2万円程度)が加算されるため、長期入院だと更に負担が増します。
また、50代女性のがん治療では、一度の入院で完治しないことも多く、手術後に抗がん剤治療や放射線治療を行うために、数回に分けて再入院する場合もあります。
そこで、経済的負担を軽減するためには、国の公的制度である「高額療養費制度」を利用して、1ヶ月あたりの自己負担額に上限が設けることが可能です。
高額療養費制度は、病院でや薬局で支払った1ヶ月間の医療費(差額ベッド代や食事代などを除く)を、所得に応じて払い戻しできるため、経済的負担を減らすことができます。
事前に「健康保険限度額適用認定申請書」を申請すると窓口での支払を上限内に抑えることが可能
加えて、がん保険や医療保険に加入していれば、入院給付金として日額5,000円~1万円程度を支給される場合もあるので、実質的な自己負担を更に減らすことが可能です。
通院費
通院費は、50代女性にとって、長期間にわたって負担となる医療費のひとつで、診察料・検査費・治療費・薬代などに加えて、交通費・駐車場代などの付随費用も含まれます。
がん治療は、多くの治療(抗がん剤治療・放射線治療・経過観察など)を通院で行うことが一般的なため、継続的に費用がかかります。
50代女性の場合は、がんの種類によって、通院の頻度・期間は異なりますが、乳がん・子宮がん・卵巣がんなどの治療だと、手術後に抗がん剤治療や放射線治療を行うため、週1回から月1回の通院が数ヶ月から数年にわたって必要です。
1回の通院に必要な自己負担額は、健康保険を利用しても数千円から1万円前後が一般的で、薬剤費が高い場合や特殊な治療を行うと、1回で2万円を超えることもあります。
特に、抗がん剤治療は、複数回にわたって行われるため、1クール(約3ヶ月)で5万円〜10万円程度の自己負担が必要になることもあります。
これに加えて、大学病院やがん専門病院に通院する場合は、自宅からの距離が遠く、電車 / バスの運賃・ガソリン代・高速道路料金・駐車料金などがかかります。
1年間の医療費が一定額を超えた際には、医療費控除を受けることができるため、条件を満たせば、通院に必要な交通費も控除の対象になります。
さらに、がん保険に加入している場合は、通院給付金が支給されるプランだと、通院1日あたり3,000円から5,000円程度が支給され、治療が長期化しても安心して通院することができます。
介護・リハビリ費
がん治療における介護・リハビリ費は、50代女性が治療後の生活を送るうえで、欠かせない費用です。
介護・リハビリ費は、がん治療によって体力・筋力が低下したり、後遺症が残ったりした際に、日常生活を取り戻すためのサポートや、リハビリテーションにかかる費用となります。
特に、50代女性は、手術・抗がん剤治療・放射線治療を受けた後に、身体を回復するまで時間がかかることも多く、日常生活を送るための介護や、リハビリが必要となるケースが多いです。
がんの種類や治療内容によっては、手術後に腕や脚の動きが制限されたり、リンパ浮腫・しびれ・倦怠感といった後遺症が現れることがあります。
リハビリは、理学療法士指導のもとで、病院やクリニックで行われ、健康保険が適用される場合でも、1回あたりの自己負担は数百円から1,000円前後発生します。
また、自由診療のリハビリやリンパ浮腫専門ケアを受ける際は、1回あたり5,000円から1万円ほどかかることもあり、継続的な支出が必要になります。
さらに、日常生活に支障が出る場合には、食事の準備・入浴・着替え・通院の付き添いなど、在宅介護サービスの利用が必要になることもあります。
介護保険が適用されれば、自己負担が原則1割から3割になったり、要介護認定を受けることで、訪問介護・デイサービス・福祉用具のレンタルなど、生活のサポートを受けられるようになります。
がん保険や医療保険の中には、リハビリや介護費を補助する特約が付いているものもあり、保険金の給付を受けることにより、介護サービスやリハビリを無理なく継続することが可能です。
50代の女性は、治療とともに「回復期の生活支援」を見据えておくと、経済的な不安を払拭することができます。
生活費
がん治療は、通院・入院・体調不良による休職などで、収入が大きく減少することもあり、治療費とあわせて生活費の確保が重要です。
特に、50代の女性は、家庭や仕事を支える立場にある人も多く、治療による収入減が家計に影響してきます。
手術後・抗がん剤治療中は、体調に応じて仕事を休む必要があり、給与が減ることや休職(無給)期間が発生することもあります。
そのため、独身世帯・子どもの教育費・住宅ローンを抱える家庭では、治療費だけでなく生活費の確保が重要です。
生活費の負担を軽減する方法としては、傷病手当金を申請することで、給与の約3分の2を最長1年6ヶ月受け取ることができます。
また、住民税や国民健康保険料などには、所得の減少に応じた減免制度があるため、自治体の窓口で確認しておくことも大切です。
さらに、がん保険や医療保険に加入している場合は、入院給付金や通院給付金だけでなく、休業による収入減を補うプランもあります。
【50代女性向け】がん保険の選び方
50代の女性は、乳がんや子宮がんなど、女性特有のがんのリスクが高まる時期に入るため、がん保険の見直し・新規加入を検討する方が増えます。
がん保険は、がんと診断された際の経済的負担を軽減し、治療に専念できる環境を整えるための大切な保障です。
しかし、がん保険は、保険会社やプランによって、保障内容や保険料が異なるため、自分に合った保険を慎重に選ぶことが必要です。
ここでは、50代女性向け「がん保険の選び方」について、わかりやすくご紹介していきます。
保障対象
がん保険の保障対象とは、保険が適用されるがんの種類・範囲・治療内容(給付条件)を指します。
50代の女性は、乳がん・子宮がん・卵巣がんなど、女性特有のがん発症リスクが高くなる年代でなので、保障対象をしっかり理解しておくことがとても大切です。
まず、がん保険で重要なのは、保障対象に「上皮内新生物(初期がん)」が含まれるかどうかです。
上皮内新生物は、がんの初期段階で、転移の危険度が低く、軽度な治療で済むことから、給付金の対象外になる場合も少なくありません。
そのため、がん保険を選ぶ際は、悪性新生物の保障だけではなく、上皮内新生物も給付対象だと安心です。
また、がんは、治療後に再発する可能性があり、50代以降はそのリスクも高まるので、再発・転移・別の部位で新たに発症した際(2回目以降)も、保障されるのかを確認しておくことが大切です。
さらに、がん保険を選ぶ際には、通院・入院・手術に関する保障範囲についても、充分に確認する必要があります。
最近のがん治療は、入院から通院中心に変化しているため、通院時の医療費や交通費をカバーできるのかもポイントです。
加えて、女性向けのがん保険では、乳がんの再建手術費用や、ホルモン療法の費用をカバーするものもあり、美容面やメンタル面のサポートも受けられます。
保障内容
がん保険の保障内容とは、がんと診断された際や治療中・治療後に、どのような経済的支援を受けられるかを指します。
50代の女性は、女性特有のがんにかかるリスクが高まる時期であったり、生活費の負担も増える傾向にあるので、自分に合った保障内容を選ぶことが重要です。