保険業界で働きたいと考えている方にとって「専属代理店」と「乗合代理店」の違いを理解する必要があります。

しかし保険業界で働いた経験がない方はとくに、専属代理店と乗合代理店の違いがわからず、転職するか悩んでいる方もいるでしょう。

本記事では、専属代理店と乗合代理店の違いを、商品数や提案の自由度、報酬体系などの観点から解説します。

転職先を決めるうえで理解しておきたいメリット・デメリット、選び方の基準なども解説するので、ぜひ参考にしてください。

専属代理店と乗合代理店の違い

専属代理店（一社専属）と乗合代理店は、同じ代理店であっても取り扱う保険会社や商品数、提案の自由度などが違います。

専属代理店と乗合代理店の違いについて、上記の比較表に記載した内容を深掘りしてみていきましょう。

取扱保険会社・商品数

専属代理店と乗合代理店は、取り扱う保険会社の商品数に違いがあります。

まず専属代理店は、契約した特定の保険会社が扱っている商品のみ顧客に提案できます。

取り扱う商品が限定的になるため、特定の保険会社の商品知識が豊富になるのが専属代理店の特徴です。

一方、乗合代理店は複数の保険会社と契約を結んでおり、多種多様な保険商品を取り扱えるため、提案の幅が広がります。

乗合代理店の場合、取り扱う保険商品数が専属代理店より増えるため、保険に関する勉強量の違いがあるのです。

お客さまへの提案の自由度

専属代理店と乗合代理店は、顧客に提案できる幅に明確な違いがあります。

専属代理店が取り扱う保険会社は一社になるため、顧客が特定の保険商品を希望しなかった場合、提案が制限されてしまいます。

深い商品知識が身につく専属代理店ですが、提案の幅が制限される分、契約数にも影響が出やすいのです。

一方で乗合代理店は、取り扱う保険会社が複数になるため、顧客ニーズに対して柔軟に対応できるのが特徴です。

乗合代理店は、一度提案した保険商品が顧客にとって希望するものでなければ、類似商品や別プランの提案をすることができます。

顧客への提案が制限され、契約数に影響が出るのをデメリットに考える方は、提案の自由度が高い乗合代理店がおすすめです。

報酬体系

保険代理店の報酬体系は、専属代理店と乗合代理店で大きな違いがあります。

専属代理店は特定の保険会社のみの扱いとなるため、保険会社からの固定給や歩合給が主な収入源となります。

固定給の支給があるのは安定した収入を得やすい反面、歩合給の割合が低めに設定されているケースが大半です。

一方、乗合代理店は複数の保険会社の商品を取り扱うため、より多様な商品を提案できる自由がある反面、報酬体系の多くが完全歩合制です。

乗合代理店は販売した保険商品の契約数や保険料によって収入が大きく違いがあり、営業力が問われる環境でもあります。

専属代理店で働くメリット・デメリット

専属代理店で働くと安定な収入が期待できる反面、顧客に提案できる幅が制限されるデメリットもあります。

自分が専属代理店で働くのが向いているのか、向いていないのかを判断できるよう、メリットとデメリットについて解説していきます。

メリット

専属代理店で働く場合のメリットは、取り扱う保険会社の知識や商品について深く精通できる点です。

専属代理店は一社の保険商品に特化しているため、保険会社の商品知識が細部に至るまで理解でき、顧客に対して専門的かつ信頼性の高い提案が可能です。

また、専属代理店は保険会社からのサポート体制が充実しているケースもあります。

商品に関する研修や営業活動の支援を受けられるため、スキルアップやキャリア形成に役立つのが専属代理店のメリットです。

デメリット

専属代理店で働くと、取り扱う保険商品が制限されるため、契約数に影響が出やすいのがデメリットです。

顧客が他の保険会社と比較したくても、専属代理店が提案できるのは一社のみです。

顧客からすると最適な保険商品を選ぶための比較ができないのは、インセンティブに関係する契約数に影響が出てしまいます。

専属代理店は、取り扱う保険会社の営業方針に準ずる場合もあるため、独自の営業手法や自由度の高い提案ができないケースもあります。

専属代理店に転職を考えている方は、収入の安定さだけでなく、営業活動における方針も理解したうえで決めましょう。

乗合代理店で働くメリット・デメリット

乗合代理店で働くメリットは、顧客のニーズに対応しやすい自由度の高さや、努力に応じた高収入が期待できる点などが挙げられます。

一方で乗合代理店は、商品知識の理解が難しかったり成果におけるプレッシャーがかかったりデメリットもあるため、順番に違いを解説していきます。

メリット

乗合代理店は取り扱う保険商品の多様なため提案の自由度が高く、成果にもとづいた収入を得られるのがメリットです。

乗合代理店は複数の保険会社と契約しているため、幅広い商品ラインナップを顧客に提供でき、多様なニーズに対して最適な保険商品の提案が可能です。

さらに、乗合代理店は特定の保険会社に縛られず、営業方針や戦略を自由に設定できます。

身につけた知識をもとに提案する乗合代理店は、成果に直結した報酬体系を採用している場合が多く、努力次第で収入を大きく伸ばせるのもメリットです。

デメリット

乗合代理店で働く場合のデメリットとして、取り扱う保険商品の数が多いため、各商品の詳細を把握するのが難しい点が挙げられます。

多様な保険会社の商品を扱えるのは、顧客に幅広い提案ができる一方、正確な情報を提供するためには、常に最新の情報を学び続ける必要があります。

また、乗合代理店は成功報酬型が多く、営業成績が直接報酬に反映される分、安定した収入を得るのが難しいケースもあるのです。

結果を出さなければ収入が不安定になるリスクがあるため、プレッシャーが大きく、精神的な負担を感じる方もいます。

乗合代理店で働くか考える際、営業活動に集中できる環境が整っているかが重要なポイントになるのです。

違いを踏まえた転職先の選び方

専属代理店と乗合代理店のどちらを転職先として選ぶかは、営業スタイルの違いやサポート体制の違いから選ぶのがおすすめです。

ここからは、専属代理店と乗合代理店の違いを踏まえた転職先の選び方を解説していきます。

営業スタイルの違いから自分に合う働き方を探す

専属代理店と乗合代理店のどちらに転職するかを考える際、営業スタイルの違いを理解するのが重要です。

専属代理店は、一社の保険商品を扱うため、商品知識を深めやすく、特定のブランドに対する信頼感を築きやすいのが特徴です。

提案が限定される反面、特定の保険会社の理念や商品に強い共感を持ち、自信のある提案をしたい方に専属代理店が向いています。

一方、乗合代理店は複数の保険会社の商品を取り扱うため、個々のニーズに最適な商品を提案できる自由度が高くなります。

各商品の特徴を深く理解する努力が求められますが、顧客に対して寄り添った提案をもとに、最適なプランを提供したい方は乗合代理店がおすすめです。

サポート体制・研修制度の違いをチェック

専属代理店か乗合代理店か、どちらに転職するか悩んでいる方は、サポート体制と研修制度の違いから選ぶのもおすすめです。

専属代理店は特定の保険会社に特化しているため、会社の商品やサービスに関する専門的なサポートや研修を受ける機会が豊富です。

サポートや研修を受けた分、特定の保険商品に対する深い知識を得やすく、顧客への提案力が強化されます。

一方で乗合代理店は、複数の保険会社の商品を取り扱うため、幅広い商品知識を学べる研修が実施されています。

しかし、個々の保険会社からのサポートは専属代理店に比べて限定的な場合が多く、専門性を高めたい方は自己学習が必須です。

安定した収入 or 自由度の高い働き方のどちらを重視するか

転職先を選ぶ際、重要なポイントとして「安定した収入」と「自由度の高い働き方」のどちらを優先するのかも考えましょう。

専属代理店で働く場合、給与体系が固定されているため、安定した収入が得られるケースが多く、毎月一定の生活費を確保したい方にとって魅力的です。

固定給な分、成果に対する報酬が少ない傾向にあり、モチベーションを保つのが難しいと感じる方もいます。

一方で乗合代理店は、成果に応じた報酬体系が採用されている場合が大半で、自由度の高い働き方が実現できます。

努力や成果が直接的に収入に反映されるため、自分のペースで仕事を進めたい方や高収入を目指す方は乗合代理店がおすすめです。

安定した収入を求める方は専属代理店、自分の時間を大切にしながら高収入を目指す方は、乗合代理店が向いています。

記事まとめ

専属代理店と乗合代理店の違いを理解するのは、保険業界でどのように働きたいのかを考えるうえで重要です。

専属代理店は特定の保険会社の製品に集中し、安定したサポートや報酬を受けられる反面、商品の提案自由度は限られます。

一方で乗合代理店は、複数の保険会社の商品を扱えるため、より多様な提案が可能ですが、働く環境や報酬が変動しやすい特徴があります。

自分の営業スタイルや求める働き方、安定性、自由度などのどちらを優先するかを考えたうえで転職先を決めていきましょう。