傷害保険とは?医療保険との違いや4種類の商品をわかりやすく解説
更新日:23.01.10
私たちは日常生活のさまざまなリスクに囲まれて生きています。このリスクに備えることができるのが保険の魅力です。
生命保険や医療保険などすでに保険に加入しているという人も多いでしょう。しかし、怪我のための保険は入っているでしょうか?
例えば、中高年の方は山歩き、ファミリーで渓流での水遊びや釣り、若い方はスキーやスノーボードなど。自然と触れ合うアウトドアスポーツはすべての世代で人気です。
しかし一方で、遭難や滑落など事故の危険とも隣り合わせです。
この記事では、「傷害保険とはどんな保険かわからない」という人のために、傷害保険の概要や種類、補償内容、ときに危険も伴うアウトドアスポーツでのケガに備える傷害保険、さらには医療保険との違いなどについてお伝えします。
傷害保険とは
傷害保険
- 突発的な事故によって怪我をした場合に、あらかじめ契約時に定めた保険金が支払われる保険
傷害保険は、日常生活の中でも怪我はもちろん、旅行やスポーツなど怪我をしやすい場合に関する備えもできます。
怪我により入院した場合に1日あたり定額の保険金を受け取れるほか、死亡した場合や高度障害状態になった場合に受取人に死亡保険金が支払われます。
事故による怪我は前触れなく起こるものです。そのため、怪我の経済的なリスクに対して貯金で対応するのは難しいといえるでしょう。
その点、傷害保険は基本的には掛け捨て保険ですので安い保険料で補償を確保できる魅力があります。
また、傷害保険に個人賠償責任特約をセットすることで、他人を怪我させたり他人の物を壊したりといった日常生活で起こりうる損額賠償責任負担をカバーすることもできます。
傷害保険に個人賠償責任特約をセットすることを検討してみても良い人
・自転車によく乗る人 ・小さい子どもがいる人
注意点としては、怪我でも傷害保険から保険金が受け取れない場合があることです。
怪我でも傷害保険を適用できないケース
- 故意や重過失による怪我
- 酒酔い・麻薬などの影響での事故による怪我
- 地震・噴火・津波による怪我
妊娠・出産・疾病による症状に関しても一般的には傷害保険の保険金支払いはありません。
傷害保険の4つの種類
傷害保険は用途や保険金支払い対象範囲によって4種類に分けられます。 それぞれについて特徴を確認し目的に応じて使い分けることが大切です。

普通傷害保険
傷害保険の中でも最も補償範囲が広い基本的な保険です。
国内外を問わず、さまざまな場面で発生する怪我を補償対象としています。家庭内での怪我はもちろん、仕事中や通勤中の怪我、旅行中の怪我などにも対応します。
保険料については年齢による差はありませんが、被保険者の職業によって変わり、怪我をするリスクが高い仕事ほど保険料が高くなります。
普通傷害保険の被保険者に家族を加えることもできます。
家族を加えた普通傷害保険を家族傷害保険といいます。同居の親族などだけでなく別居の未婚の子も含まれます。 また、契約期間中に子どもが生まれた場合は、その子どもも自動的に対象に含まれます。
交通傷害保険
交通傷害保険は、交通事故による怪我に補償対象を絞った保険です。 対象を絞ることによって保険料が安くなります。
公共の乗り物に乗っている場合の怪我はもちろん、エレベーターやエスカレーターに乗っている場合の怪我や駅の改札口内の転倒による怪我なども交通傷害保険の対象となります。
被保険者に家族を含める場合はファミリー交通傷害保険という名称になります。
国内旅行傷害保険
国内旅行目的での移動中の怪我を補償対象とする保険で、家を出てから帰るまでの怪我が対象となります。
死亡、入院、手術などの補償だけでなく、携行品の破損などに関する特約を付けることができます。
海外旅行傷害保険
海外旅行目的での移動中の怪我を補償する保険で、怪我が発生した場所が国内であっても海外旅行の旅程内であれば対象となります。
国内と同様に補償や特約に加え、航空機遅延に関する費用の補償などの特約が付けられる場合もあります。
傷害保険と医療保険の違い
すでに医療保険に加入しているため傷害保険は必要ないと考えている人もいるかもしれません。 しかし、傷害保険は医療保険と補償範囲や対象が違う点がいくつかありますので、違いを理解した上で判断することが大切です。

まず補償範囲ですが、傷害保険が急激・偶然・外来の事故による怪我で入院したり死亡したりした場合を補償するのに対して、医療保険は死亡保障がなく病気または怪我両方について保障する点が違います。
死亡保障と病気に関する支払いの有無に違いがあると理解すればよいでしょう。
怪我については、じわじわと身体損傷が発生する靴擦れなどは急激に該当せず傷害保険の対象にはなりませんが、医療保険の対象にはなるといった「急激・偶然・外来」要件の有無に違いがあります。
また、保険料の決まり方も違います。 傷害保険は年齢にかかわらず被保険者の職業で決まる一方、医療保険は年齢と性別で決まります。
さらに、加入条件にも違いがあります。 傷害保険については、怪我を補償することが目的であるため健康状態に関する審査はありません。しかし、医療保険は病気に関しても対象になりますので健康状態に関して告知書や医師による診査等で健康状態の確認が行われます。
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レジャーのための傷害保険
傷害保険への加入を検討するとき、スポーツやアウトドアレジャーでのケガや事故などがカバーできるかどうかも気になりますよね。
スポーツやレジャーでの「万が一」に備えられるのが、「スポーツ・レジャー保険」です。 スポーツやレジャーに特化した保険で、スポーツ中やレジャー中に起こる、4つのリスクを主に補償します。
- 傷害のリスク(自分のケガ・死亡):死亡保障・入院や手術保障
- 賠償のリスク(他人のケガや死亡、他人のものの損傷:個人賠償責任特約
- 携行品のリスク(自分の物品(スポーツ用具など)の盗難や損壊):携行品特約
- 救援のリスク(捜索救助にかかった費用、現地への家族の交通費など):遭難捜索費用・救援者費用等補償特約
ケガや事故の保険といえば、「損害(傷害)保険」が一般的ですが、「スポーツ・レジャー保険」は旅行傷害保険などと同様、損害保険の一種です。
保険会社によって「スポーツ保険」「アウトレジャー保険」という名称もあります。 対象はレジャー中ですが、日常生活でのケガや事故にも対応する商品も増えています。基本的に掛け捨ての保険となります。
休日のスポーツ・国内旅行まで幅広く対象とする総合タイプのほか、「ゴルフ」「スキー・スノーボード」「登山・ハイキング」「釣り」などスポーツ別の保険があります。
それぞれのスポーツの特性に合わせた保障内容になっていて、普通傷害保険ではカバーしきれない部分も補償するのが特徴です。
登山やスキー・スノーボードに特化した保険
大事故につながりやすい登山やスキー・スノーボード。そのリスクに対応するのが、「山岳保険」や「スキー・スノーボード保険」です。
山岳保険
遭難の際の遭難捜索や救援者費用を充実させているのが大きな特徴。 2タイプあり、ひとつはピッケル・ザイルを使う本格的な登山用で、人気のロッククライミング、フリークライミングにも対応。 死亡・ケガの基本補償のほか、有料の民間捜索隊や救助ヘリコプターなど捜索救助にかかった費用や、家族が現場へ駆けつけるための費用を補償。さらに裁判になった際の弁護士費用を保証する商品もあります。
登山・ハイキング保険
ハイキングやトレッキングなどの軽登山、軽アイゼン装着程度の夏山登山中の遭難を補償します。 救援者費用はもちろん、商品によっては遭難捜索費用も補償。のんびりハイキングを楽しむ方ならこちらがおすすめです。
スキー・スノーボード保険
接触事故による個人賠償責任、スキー板やスノーボードの盗難・破損に備えた携行品特約の充実が目玉です。 スキー場のケガや事故をはじめ、スキー場への行程の自動車事故、さらに商品によって、遭難捜索費用や救援者費用も補償されます。
なお、「山岳保険」「スキー・スノーボード保険」ともに、サイクリングなど私生活でのほかのスポーツまで対応している商品もあります。
「スポーツ・レジャー保険」加入前の基礎知識
スポーツやレジャー専用の保険に入る前に、保険料や他の保険の保障と重ならないかなどをしっかり確認してください。 インターネットで手軽に申し込める商品も多数あります。
保険料と期間
1年・3年・5年契約といった商品と、旅行期間に合わせ1泊2日などスポットでかけられる商品があります。
補償内容により保険料はまちまちですが、ある山岳保険の1年契約の場合、年間4,000円程度からで、1泊2日タイプは、保険料500円前後となっています。
受け取れる保険金は、あくまでも一例ですが、死亡・後遺障害500万円・入院日額7,500円・個人賠償責任1億円・携行品10万円・救援者費用300万円と充実の内容で、安心料としてもリーズナブルです。
すでに入っている保険を確認
普通傷害保険に加入済みの方も多いと思います。普通傷害保険はレジャーに特化してはいませんが、家庭・職場・旅行・スポーツなど広い範囲で、事故やケガが補償されるので、場合によっては、レジャー保険は必要ないかもしれません。
お持ちの保険の保障内容を確認してください。基本補償のほかに個人賠償責任保険や救援者費用特約が付いているかもしれません。クレジットカードに保険が付帯されていることもありますので、こちらもチェックしておきましょう。
ケガや事故に遭わないように安全対策が肝心
保険で備えるのは大切なことですが、保険で事故を防ぐことはできません。事故を未然に防ぐ心構えと準備が必要です。
スキー・スノーボード
最も多いのは、人・樹木・岩・リフトの支柱・標識への衝突事故。そして、自分で転倒してのケガ。 自らのスキルを自覚して、危険が伴うエリアでは滑らないこと。何といってもスピードを出しすぎないことが肝心です。
登山・ハイキング
山の遭難は、無理な計画や装備の不備などが主な原因。まず、体力、経験に相応な山を選ぶこと。さらにコース、日程ともに余裕のある計画を立てます。単独でなく、経験のあるリーダーを中心にグループ登山を。道迷いや滑落・落石に備え、地図やコンパス、登山靴やストック、ヘルメットなど装備もしっかりと。
釣り・ボート・川遊び
穏やかな川に見えても、飛び出た岩のために流れが変わっていたり、川底に深みがあることも。足を取られ、流される危険があるので注意が必要です。とくに子どもは絶対に一人で遊ばせないこと。
事故を防ぐには、自然を甘く見ないこと。そして、大自然の前で人間はちっぽけな存在という、謙虚な気持ちも必要かもしれません。
・当サイトは、各保険の概要についてご紹介したものです。取扱商品、各保険の名称や補償(保障)内容等は引受保険会社によって異なりますので、ご契約にあたっては、必ず各引受保険会社の「重要事項説明書」をよくご確認ください。ご不明な点等がある場合には、代理店までお問い合わせください。
・このご案内には保険商品内容のすべてが記載されているわけではありませんので、あくまで参考情報としてご利用ください。また、必ず各引受保険会社の「契約概要」やパンフレット等で保険商品全般についてご確認ください。
・お引受内容により保険料が異なる場合がありますので、実際に適用される保険料については代理店または引受保険会社にお問い合わせください。