
シングルマザー(母子家庭)に生命保険はいらない?子どもを守るための保険選びガイド
「もしシングルマザーである自分に何かあったら、この子はどうなるんだろう…」
そんな不安を抱えたことはありませんか?
シングルマザーとして日々子どもを育てながら暮らすなかで、お金のことや将来への不安を感じる瞬間は少なくないものです。
特に、自分に万が一のことがあったとき、子どもが生活費や教育費をどうやって確保すればいいのか気がかりですよね。
そんな”もしも”に備える手段の一つが生命保険です。
しかし、「どんな生命保険を選んだら良いのか」「家計の負担にならない方法はないのか」といった悩みや疑問も多いはず。
本記事では、シングルマザーに生命保険は必要なのか、おすすめの保険や選び方のポイントをわかりやすくご紹介します。
はじめに:シングルマザーの”もしも”に備える
シングルマザーにとって、病気や万が一の事態は自分だけでなく子どもにも大きな影響を与えます。
シングルマザーが抱える将来への不安
厚生労働省の調査によると、シングルマザーの家庭は119.5万世帯に及び、その約8割は離婚によってひとり親世帯になったという結果が出ています。
元旦那から養育費を定期的に受け取っており、お金に関する不安は少ないという家庭もありますが、ほとんどのシングルマザーが子育てや仕事に追われながらも、一人で家庭を支える毎日を過ごしているでしょう。
子どもに不安を与えないよう、頑張る姿の裏には「この先もずっと元気に働けるのだろうか」「女手一つで子育てし続けいけるだろうか」といった、将来への漠然とした不安を抱えている方も少なくありません。
特に、シングルマザーである自分に万が一のことが起きたとき、頼れる相手がいなかったり収入が途絶えてしまったりする状況は、子どもの生活にも大きな影響を与えます。
そんな”もしも”を考えると、不安はさらに大きくなるものです。
生命保険で得られる「安心」とは?
万が一の時に備える手段のひとつなのが、生命保険です。
生命保険はシングルマザーである自分に何かあった時、残された子供に死亡保険金や給付金といった形で、経済的な支えを残すことができます。
「いざという時の備えがある」という安心感は、シングルマザーの精神的支えにもなります。
また、生命保険といえば死亡に関する保障をイメージしがちですが、医療費や収入に関する保障を組み合わせることで、病気やケガをした時にも備えることが可能です。
もしもの入院や仕事ができなくなるリスクもカバーできる生命保険は、一人で家庭を支えるシングルマザーにとって強い味方となるでしょう。
シングルマザーにとって生命保険は必要?
結論から申し上げますと、シングルマザーにとって生命保険は大切な備えのひとつです。
以下では、シングルマザーに生命保険が必要とされる理由について解説します。
シングルマザー(母子家庭)のリスク
共働き世帯とは違い、収入源が一人に限られるシングルマザー(母子家庭)では「自分に何かあったとき」の影響が大きくなりやすいのが特徴です。
病気やケガで一時的に働けなくなくなったり、万が一死亡や高度障害状態になってしまったりすると、収入がゼロになるリスクがあります。
もちろん、ひとり親世帯に対する国からの公的支援もありますが、受け取る金額によっては十分に生活できるとは限りません。
実際、厚生労働省の調査によれば、シングルマザー(母子家庭)の親本人が最も困っていることに「家計」が挙げられており、多くの方が経済的不安を抱えていることがわかります。
これらを考えると、自分に万が一のことがあったときに、どれだけ残された子どもの生活を守れるかを真剣に考えておく必要があります。
子どもの教育費・生活費の確保
シングルマザーが子どもの将来を考えるとき、教育費や生活費の存在は無視できません。
文部科学省の調査によれば、幼稚園から高校まで全て公立でも約500万円以上、大学まで進学すればトータルで1,000万円以上かかると言われています。
特に大学進学にかかる経済的負担は大きく、長期的に積立などをして準備する必要があるのです。
自分に万が一のことがあり、教育費に当てるお金がなく、子どもの進路を塞いでしまうのはとても心苦しいでしょう。
そんな時、生命保険に加入していることによって保険金を受け取ることができ、子どもが進路を諦めずに済む、生活が急変しないなど、子どもの選択肢を守ることができます。
万が一の時に残された子どもを守るため
シングルマザーが加入する生命保険は、自分のためではなく、子どもの人生を守るための備えです。
もしものことが起きたとき、子どもに経済的な支えがなければ、学校を辞めなければならないかもしれませんし、親族に預けられる場合でも新たな負担を与えてしまうかもしれません。
そうしたリスクを減らすためにも、必要最低限の保障だけでも備えておくことは、母親としての思いやりのひとつと言えるでしょう。
今のうちに備えておくことで、子どもにも「お母さんはちゃんと考えてくれていたんだ」と思ってもらえるかもしれません。

シングルマザーにおすすめの生命保険
ここからは、シングルマザーにおすすめの生命保険の種類についてご紹介します。
加入する生命保険の種類によって備えられるリスクが異なりますので、以下の表を見て、どの生命保険について検討すべきか参考にしてください。
備えたい保障 | 生命保険の種類 |
---|---|
死亡・高度障害状態への保障 | 終身保険・定期保険・収入保障保険 |
教育資金の準備 | 学資保険・終身保険 |
病気やケガの保障 | 医療保険・がん保険・就業不能保険 |
終身保険
終身保険は、一生涯の死亡保障が備えられる生命保険の一種です。
亡くなったときに必ず死亡保険金が支払われる仕組みで、受取人を子どもに指定しておくことで生活費や教育費に当てることができます。
また、解約をすればお金が戻ってくる「貯蓄性」のある保険商品も多く、将来的な資金づくりとして活用されることもあります。
定期保険
定期保険は、10年や子どもが独立するまでなど、決められた期間のみ保障が続くタイプの生命保険です。
一生涯の保障がある終身保険と比べて保険料が安く、特定の期間だけ保障を手厚くしたい人に向いています。
例えば「子どもが大学を卒業するまでの期間だけ、万が一に備えたい」といった方は定期保険への加入を検討するのがおすすめです。
収入保障保険
収入保障保険は、万が一のときに毎月お給料のように保険金を受け取れる生命保険の一種です。
一括で受け取るのではなく、残された家族が生活を続けていくための定期的な支援となるのが特徴です。
加入直後は保障が手厚く、年月が経つごとに保障が減っていくため、子どもの成長に合わせて必要な保障額を設定することができます。
学資保険
学資保険は、子どもの教育資金を計画的に準備できる貯蓄性のある生命保険です。
契約者である親に万が一のことがあっても、以後の保険料が免除され、契約満期を迎えると予定通りの保険金額を受け取れる仕組みがあります。
大学入学などの、まとまった資金が必要になるタイミングに合わせて、確実に教育費を準備したい人におすすめです。
医療保険
医療保険は、病気やケガで入院・手術をしたときの費用をカバーするための保険です。
日本国民は公的医療保険への加入が義務付けられており、原則3割負担で医療機関を受診することができますが、保険適用外となる医療費もあります。これを補うのが、民間の医療保険です。
女性特有の病気や子宮系の疾患に備えたプランもあるため、シングルマザーにおすすめの保険です。
がん保険
がん保険は、その名の通り「がん」に特化した保険です。
主に、がんと診断されたときや治療費が発生したときに保険金が支払われます。
また、がん治療は長期にわたる傾向があり、退院後も定期的な通院が必要な場合があります。どのような治療方法が給付対象になるのかをチェックするのがポイントです。
就業不能保険
病気やケガで働けなくなったとき、収入の代わりになる保険です。
入院ではなく、自宅療養でも対象になるプランもあり、「働けない期間の生活費」を補う目的で加入される方が増えています。
ひとりで家計を支えるシングルマザーにとって、自分が働けなくなるリスクへの備えとして検討する価値があります。
保険料負担が心配?家計とのバランスの考え方
生命保険に入りたい気持ちはあるけれど、「毎月の保険料が家計を圧迫しないか心配」という声は少なくありません。
特にシングルマザーは、限られた収入のなかで生活費・教育費・貯蓄をやりくりする必要があるため、生命保険にかけるお金のバランスはとても大切です。
以下では、平均保険料や保険料負担を抑える方法について解説します。
シングルマザーの平均保険料について
実際、同じような環境にある家庭は、どのぐらい生命保険にお金をかけているのでしょうか。
保険市場や生命保険文化センターが調査したデータによると、シングルマザー1人当たりの生命保険の平均保険料は以下のとおりです。
年代 | 平均保険料(月払い) | |
---|---|---|
シングルマザー | 全体 | |
20代 | 13,330円 | 29,750円 |
30代 | 13,723円 | 26,916円 |
40代 | 15,184円 | 30,791円 |
50代 | 12,462円 | 32,291円 |
60代 | 11,028円 | 29,416円 |
シングルマザーの平均保険料:保険市場「30代シングルマザー・ファザーのための保険選び」
全体平均:生命保険文化センター「2024(令和6)年度 生命保険に関する全国実態調査」※世帯年間払込保険料を12ヶ月で割って算出
シングルマザーが生命保険にかける月々の平均保険料は、どの年代も全体平均を下回ることがわかります。

保険料をなるべく抑えるには?
シングルマザーが必要な保障を確保しながらも、月々の負担を軽くする方法はいくつかあります。
無駄な特約をつけない
シングルマザーが生命保険への加入を検討する際、無駄な特約をつけないのが第一のポイントです。
つい「これもおすすめだよ」と言われて特約(オプション)をつけがちですが、本当に必要なものかどうかを見極めましょう。
自分にいらないと思った特約は思い切ってカットすることで、保険料はグッと抑えられます。
保険料の払込期間を長期に設定する
通常、保険料の支払い期間を短期で終える設計にすると、月々の負担が重くなります。
生命保険で支払う保険料総額はあらかじめ決まっており、支払い期間や回数に応じて一回に支払う金額が決定する仕組みだからです。
毎月の支出をなるべく抑えたいシングルマザーの家庭は、保険料の払込期間を長期に設定することで、今の生活を圧迫せずに済むというメリットがあります。
ネット保険を活用する
近年増えているのが、オンライン上で手続きが完了するネット保険です。
店舗の運営費や人件費、事務費用などのコストがないため、その分保険料が比較的安く設定されています。また、生命保険の保障内容がシンプルで特約なども少ないため、難しいイメージのある保険の構造を理解しやすいのも特徴です。
スマホやパソコンから簡単に見積もりや申込みができるので、忙しいシングルマザーにもおすすめです。
家計に負担をかけない保険料の考え方
生命保険に加入するときに大切なのは、以下の2点のバランスです。
- 万が一に備えること
- 今の生活を守ること
保険料が家計の中で占める割合は、手取り収入の5〜7%程度に抑えるのが理想的とも言われています。
子どもの将来や自分の安心のために生命保険は役立ちますが、それが原因で日々の生活が苦しくなってしまっては元も子もありません。
まずは現在の収入をよく考え、無理のない金額で最低限の保障を持ち、必要に応じて追加していくというスタンスで考えると良いでしょう。
ひとり親家庭が利用できる公的制度について
日本にはシングルマザーやシングルファザーなどのひとり親家庭に対する支援制度も整っています。
生命保険への加入を検討する際には、国からの公的保障制度とのバランスを考えてから内容を検討することが重要です。
すでに知っている制度もあるかと思いますので、本記事ではそれぞれの制度を簡単にご紹介します。
児童扶養手当
児童扶養手当は、ひとり親家庭(主にシングルマザー・シングルファザー)を対象に、子どもの養育にかかる費用を支援する手当です。
支給金額はシングルマザー(またはシングルファザー)の年収や子どもの数によって変動します。
児童育成手当
児童育成手当は、シングルマザーなどのひとり親世帯に向けた、東京都独自の制度です。
この手当には所得制限が設けられており、支給金額は子ども1人につき一律13,500円(月額)と定められています。
ひとり親家族等医療費助成制度
ひとり親家族等医療費助成制度は、シングルマザーなど、ひとり親家庭の親や子どもが医療機関を利用した際の自己負担分を補助してくれる制度です。
自治体によって対象年齢や助成内容が異なるので、確認してみてください。
ひとり親家庭住宅手当
ひとり親家庭住宅手当は、家賃の一部を補助する制度です。
一定の条件を満たしたり、自治体が協定を結んでいる賃貸住宅に住んだりしたりする場合に支給されます。
なお、助成の内容は市区町村によって異なりますので、各自治体のサイトをチェックしてください。
遺族年金
遺族年金は、家庭内で生計を維持していた人が死亡した場合に、遺族に支払われる年金制度のことです。
- 遺族基礎年金…亡くなった人に生計を維持されていた子どもがいる配偶者、または18歳二次での子供に支給
- 遺族厚生年金…亡くなった人が厚生年金に加入していた場合に支給
シングルマザーの生命保険の選び方のポイント
シングルマザーが生命保険を選ぶ際に知っておくべきポイントがいくつかあります。
生命保険は一度契約すると長く支払いが続くもので、慎重に検討しなければなりません。
今とこれからのライフプランにあった保険を選べるよう、以下についてしっかりと頭に入れておきましょう。
無理して支払う生命保険はいらない
「保障が手厚いほど安心」と思って、高額な保険に加入してしまう方もいますが、毎月の支払いが生活を圧迫してしまっては本末転倒です。
生命保険はあくまで備えのひとつとして考えましょう。
無理に支払うよりも、自分が続けられる範囲で必要な保障だけを持つことのほうが、長い目で見て家計にも心にも余裕が生まれます。
生命保険はできるだけ若いうちに検討する
生命保険は、加入する年齢が若いほど保険料が安くなる傾向があります。
特に健康状態に問題がないうちであれば、保険料を抑えつつ、必要な保障をしっかり持てる可能性が高まります。
また、子どもが小さいうちに加入しておけば、万が一の際により長く保障を残すことができるという意味でもメリットがあります。
生命保険は「いつか入ろう」ではなく、今の生活や将来の不安を考えたときに、必要だと感じたタイミングで検討するのがベストです。
記事まとめ
生命保険は、シングルマザーにとって万が一の備えとして非常に大切な役割を果たします。
自分に何かあったときに、子どもの生活や教育を守るための経済的な安心を提供してくれます。
ただし、生命保険の選び方を間違えると、シングルマザーの家計を圧迫してしまう可能性もあります。
だからこそ、シングルマザーにとって無理なく続けられる生命保険を選ぶことが大切です。必要な保障を見極め、保険料とのバランスを考えたうえで、自分と子どもに合ったプランを検討していきましょう。
生命保険は、すぐに決断しなくても大丈夫です。シングルマザーとしての暮らしと向き合いながら、自分のペースで「ちょうどいい備え」を見つけていくことが、将来への安心につながります。