ドル建て終身保険って何?メリットとデメリットから見る活用法

「ドル建て保険」と聞いてピンとくる方は少ないかもしれません。簡単にいうと、その名のとおり、「保険料をドルで支払う」生命保険です。

低金利が続く円ではなく、金利が高いドルで保険会社が運用することで、契約者は大きなリターンを期待できるのが魅力のひとつです。お得な印象のドル建て保険ですが、ほかの金融商品同様、契約者がチェックしておかなければいけないリスクもあります。

ドル建て保険ならではのメリットとは?またデメリットやどういうところに注意が必要なのでしょうか。

ドル建て保険とは?貯蓄型終身保険の基礎知識

ドル建て保険

ドル建て保険とは、外貨を活用した資産運用のひとつで、保険料をドルで支払い、保険金や解約時に戻ってくる解約返戻金をドルで受け取る生命保険です。

その特徴は、保険会社が日本円より金利が高いドルで運用することによって、円で支払うより戻ってくるお金が増えることが期待できることです。

ドル建て保険が注目されるようになった背景の一つには、2016年に日銀によって導入されたマイナス金利政策があります。

それ以来、日本では超低金利時代が続いており、より高い金利水準を維持しているドルなどの外貨に注目が集まるようになりました。

それに伴って保険会社ではドル建て保険の販売を強化するようになったのです。現在、多くの保険会社からドル建て保険が発売されています。

貯蓄型終身保険の基礎知識

ドル建て生命(終身)保険について知る前に、まずは保険の基本をおさらいしておきましょう。

難しいといわれる保険商品の数々は、大きく分けて考えるとそんなにややこしくはありません。まず保険には「貯蓄型」「掛け捨て型」があります。両者とも死亡したときなどの保障内容はそれほど変わりませんが、戻ってくるお金の額に差が出ます

貯蓄型は保険料が高い分、途中解約や満期で戻ってくるお金が多い保険です。一方、掛け捨て型は保険料が安い分、途中解約するとお金はほとんど戻ってこない保険です。以下、簡単に整理してみましょう。

貯蓄型

貯蓄型の保険は、万が一への備えという保険本来の役割にプラスして、貯蓄としての側面も備えています。このタイプの保険には、終身保険、個人年金保険、養老保険、学資保険などがあります。

貯金に比べ、多くお金を増やせる可能性が高いため、資産運用の手段として利用する人もいます。

貯金の場合、定期預金にして数十年間お金を預けても、利子は微々たるものです。それに対して貯蓄型保険は、うまく選べば銀行の利子よりも大きな上乗せが期待できます。

一方、掛け捨て型に比べると保険料が高いのがデメリットです。
貯蓄型保険の保険料の中には、保障を用意するための費用に加えて、契約者に払い戻すための積立金も含まれているためです。 大体の目安でいうと、掛け捨てが加入直後で月額数千円なのに対して、貯蓄型は1万~2万円程度になります。

掛け捨て型

掛け捨て型保険は、保険料が貯蓄型に比べると安いため、保険料を抑えながらも安心を手に入れたい方に向いている保険です。 定期保険、医療保険、がん保険などがこれに該当します。

掛け捨て型のメリットは、より少ない保険料で手厚い保障が用意されていることです。 同じ保険料でも、貯蓄型と比べて高額な保障を受けることができるのです。

また、保障期間を設定することができ、保障期間が過ぎれば契約は終了しますので、必要なときに必要な保障を得られるのも魅力です。 ただし、掛け捨ての場合、それまでに支払ったお金は返ってきません

つまり、満期になるまでに保険金が支払われる事態が起きなかった場合、支払った保険料は「安心を買うための出費だった」ということになります。

そのため、掛け捨てはもったいないと考える方もいらっしゃるかもしれませんが、一定期間の保障を確保するのには非常に有効な保険といえるでしょう。

掛け捨て型と積立型保険の保険の違いについては以下の記事で詳しく紹介しています。

掛け捨て保険とは?積立型との違いや選ぶ際のポイントを徹底解説

ドル建て保険のメリット

続いては、保険料をドルで支払う「ドル建て終身保険」について解説していきましょう。 円ではなく、ドルで支払うメリットとはどんなところにあるのでしょうか。

まず挙げられるのは、ドル建て終身保険は予定利率が高いため、保険料が割安になっていることが多いこと。

もうひとつのメリットは、為替変動で利益を得られる可能性です。満期や解約時に円安になっていれば、保険の予定利率に加えて為替差益が得ることができます。 このふたつのメリットについて、さらに詳しく説明しましょう。

予定利率が高く、保険料が割安

予定利率とは保険契約者に対して約束する運用利回りのことです。 保険会社が契約者から受け取った保険料をどれぐらいの運用利回りで運用できるかを予測して設定しています。

ドル建て終身保険の場合、保険会社は円より金利の高いドルで運用するので、運用成績が良くなることが期待できるといえるでしょう

例えば35歳男性が死亡保険金1000万円(1ドル=100円で計算)の終身保険に30年満期で加入するケースをご紹介します。

円建ての月額保険料は2万2250円なのに対し、ドル建ては150.8ドル(1万5080円)と、ドル建ての方が安くなっています(ただし、為替レートによって変動しますのでご注意ください)。

為替の変動により、為替差益を得られる可能性がある

為替変動によって利益を得られる可能性があることは、外貨建て保険ならではの特徴です。満期や解約時に円安になっていれば、保険の予定利率に加えて、為替差益を得ることができます。

同じドルの額面でも、受け取る円の金額はプラスになることがあるのです。 保険金額10万ドルを受け取ることができるドル建て終身保険を例に考えてみましょう。

為替相場が1ドル=100円の時、受け取ることができる保険金は1000万円です。それに対して、1ドル=110円の時なら1100万円を受け取ることができます。

仮に、満期になった時点で円安でなくても、据え置き期間をうまく利用すれば、円安になったときに満了金を受け取ることも可能です。

ドル建て保険のデメリット

ここまでの説明で、ドル建て終身保険はいいことだらけのように見えるかもしれませんが、もちろんデメリットもあります。

まず、注意したいのは「為替の変動」です
先の読めない為替の世界では、満期や解約時に必ず円安という保証はありません。
予定利率は高くとも、満期や解約時に円高なら元本割れのおそれもあります。

合わせて、気を付けておきたいのは為替手数料です。保険料を支払うときに、円からドルに換える為替手数料がかかります。
もちろん満期・解約時に、保険金や解約返戻金をドルから円に換えて受け取る際も同様に為替手数料がかかります。

このふたつのデメリットについてさらに詳しく説明しましょう。

為替の変動により、為替差損が出る場合がある

為替変動

ドル建て保険のメリットを紹介した際に、「為替の変動によって為替差益を得られる可能性がある」と説明しましたが、もちろんその逆もあります。先ほどと同じように、保険金額10万ドルを受け取ることができるドル建て終身保険を例として考えてみましょう。

為替相場が1ドル=100円の時に受け取れば、保険金は1000万円です。それに対して、1ドル=90円の時は900万円しか受け取ることができません。

ドル円は過去4年で円高に大きく振れています。2017年1月には1ドル=115円前後だったのが、2021年6月には1ドル=110円前後となっており、この期間に限って言えば受け取る金額が減るケースも出ています。

為替手数料が発生する

金融機関に支払う為替手数料にも注意が必要です。保険会社によって異なりますが、1ドルにつき1銭~1円の為替手数料がかかります。

例えば毎月200ドル(1ドル=100円で計算)の保険料を支払うケースを考えてみましょう。
為替手数料が1ドルにつき1円だとすると、2万200円を用意しなければなりません。1回1回はそれほど気にならないかもしれませんが、積もり積もればそれなりの金額になりますので、覚えておいてください。

ドル建て終身保険の活用法

メリットの大きさと同じ分だけデメリットもあるのがドル建て終身保険です。

そのため「元本割れのない保険で、手厚い保障を受けたい」という人よりは、「死亡保障は備えた上で、リスクを分散して資産形成したい」という人に選ばれることが多い保険といえるでしょう。

またドル建て終身保険は、相続税対策としても検討されるケースもあります。通常、現金を相続した場合は、金額がそのまま課税対象となりますが、ドル建てに限らず死亡保険金は一定の額までは非課税になります。

運用で円建てにはないリターンが狙えて、生命保険金が一定の額まで非課税になるドル建て終身保険は、資産形成や投資を考える人が相続税対策として興味を持つ保険のひとつといえます。

また、現金を相続する場合は、たとえ遺言書があったとしても相続人全員の合意が必要ですが、生命保険金はその必要がありません。

生命保険金は受取人を複数指定していても、受取人同士の合意は必要なく、契約者が決めた受取人と割合で生命保険金が支払われます。

ドル建て保険は終身保険以外にもある

これまでドル建て終身保険についてご紹介してきましたが、ドル建て保険は終身保険だけではありません。保険会社各社では、終身保険と同じく貯蓄型の保険である養老保険個人年金保険についても、ドル建ての保険商品を販売しています。

「ドル建て養老保険」は、ドルで保険料を支払い、何ごともなく満期を迎えると、死亡保険金と同額の満期保険金が支払われる保険です。保険期間中に死亡したときや所定の高度障害状態になったときに死亡保険金を、満期を迎えたときには満期保険金を、ドル建てで受け取ることができます。

また、「ドル建て個人年金保険」は、老後資金を準備するために活用される保険です。一定の保険料をドルで支払うことによって、60歳以降の年金受給開始時から年金形式で保険金を受け取ることができ、保険金がドルで支払われます。

いずれも保険金を受け取るときの為替レートによって、日本円で受け取ることができる金額は増減するなど、ドル建て終身保険と同様のメリット、デメリットを備えています。

まとめ

ドル建て終身保険は、より投資の側面が強い保険商品です。円建て終身保険と比較すると次のようなメリット・デメリットがあります。

メリット

  • 予定利率が高く、保険料が割安である
  • 為替の変動により、為替差益を得られる可能性がある

デメリット

  • 為替の変動によって為替差損が出る場合がある
  • 為替手数料が発生する

これらのメリットとデメリットをしっかりと理解した上で、契約を検討するようにしましょう。2020年には新型コロナウイルス感染拡大に伴って、アメリカの長期金利が低下するなど、ドル建て保険を取り巻く状況も変わってきていますからご注意ください。

また、ドル建て終身保険を外貨投資のひとつとして考えた場合、ほかにも外貨預金、外貨MMF、外国投信、外国債券、外国株式、外国為替証拠金取引など、さまざまなものがあります。大切な資産をしっかり守って形成していくためには、保険だけにこだわらず、ほかの金融商品との比較も忘れないようにしたいところです。

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