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2022/09/27
不動産小口化商品×生命保険

最近、何かと話題の不動産小口化商品。

 

資産運用や相続対策など、活用の幅が広く、不動産各社が多くの不動産小口化商品を販売しています。

背景には、長引く超低金利や不安定な情勢の中で、現物投資を好む方が増えてきていることなどがあるようです。

都心などの優良な不動産等を一棟で購入するのは個人では手が出しにくく、法人や一部の資産家等に限られていました。これを個人でも必要なだけ、好きなだけ買えるようにしたのが不動産小口化商品です。
一棟の不動産を一口100万円から500万円程度に小口化していますので、優良な不動産の所有権を誰でも持てるようになりました。

今後、益々購入層が広がっていくことと存じます。

そこで本コラムでは不動産小口化商品の活用についてお伝えします。

 

不動産小口化商品の仕組みと活用法

不動産小口化商品は不動産特定共同事業法(不特法)に基づくものや、不動産信託受益権を活用したものがあります。
不特法商品には任意組合型と匿名組合型があり、任意組合型は主に相続対策として、匿名組合は主に資産運用として利用されます。
本コラムでは任意組合型にフォーカスしてお伝えします。

不動産小口化商品は、特定の不動産(都心一等地の優良不動産等)を小口化して販売し、不動産の賃料収入や売却益を投資額に応じて出資者に分配する商品です。

投資家は、口数単位で投資ができるため資金面のハードルが下がるほか、相続税対策に利用することも可能です。任意組合型とは、事業者と複数の投資家が任意組合契約を締結し、共同で不動産投資を行う仕組みです。

不動産の管理・運営は事業者が行い、発生した収益が投資家に分配されます。
キャッシュフローを生みますので、長期運用することで出資分の安定的な運用が可能となります。

投資家は、出資金額に応じた共有持分を購入しますので不動産の所有権が得られ、相続税は実物の不動産と同じく相続税評価額で算出されます。
土地は貸家建付地として評価され、建物は固定資産税評価額で評価されるため、相続税評価額は現金の約8割を下回るものとなり、相続税・贈与税対策としても活用できます。

区分不動産に投資した場合、投資対象の1室に入居者が入らないと賃料収入を得ることができませんが、小口化商品の投資対象は物件全体となりますので、賃料収入リスクを分散することができます。また、例えば2000万円を投資するとした場合、区分不動産に2000万円投資するのに比べ、1口100万円の不動産小口化商品を20口所有したほうが売却や相続において分割が容易です。

REIT(不動産投資信託)との違いが分かりにくいですが、REITは不動産投資法人が投資家から集めた資金と、金融機関から調達した借入金などを基に、オフィスビルや商業施設、マンションなどの不動産を複数購入し、賃料収入や売却益などを出資口数に応じて配当として分配する金融商品です。

不動産小口化商品は投資家が投資対象の不動産を自ら選び、不動産そのものに投資し、その不動産の口数に応じた持分を所有する現物不動産です。

一般的な不動産投資のリスクとして借入金返済があげられますが、不動産小口化商品は、基本的に現金で購入する商品のため、融資関連のトラブルはありません。
今後はさらに参入する不動産会社が増えて、商品やサービスの多様化が期待できます。一方で購入の目的と商品の特徴が一致しているか等、判断が難しくなることが予想されます。不動産そのものの価値や契約内容を見極めていくことが大切です。

 

不動産小口化商品と生命保険

不動産小口化商品によって毎年のキャッシュフローを得て、それを生命保険料に充てることはキャッシュの流れとしてはスムーズです。例えば、被相続人が保有する不動産小口化商品を相続人に贈与すれば、相続人はキャッシュフローを得ることができます。そのキャッシュを生命保険料に充てることができます。
その際、契約者:相続人、被保険者:被相続人、死亡保険金受取人:相続人という終身保険に加入することで、贈与税対策を行いながら贈与を行い、相続税の納税資金確保を同時に行うことができます。

この契約形態では、死亡保険金受け取り時は、一時所得となり、一時所得の課税対象額は(死亡保険金 – 払込保険料累計 – 特別控除(最高50万円))×1/2となります。相続税率が高率になるような相続財産を保有する世帯にとっては、この契約形態の生命保険金により、納税を抑えられます。

不動産小口化商品を相続人に贈与する際、評価額が贈与税の基礎控除額(110万円)を上回ると、贈与税負担があります。税制が今度どうなるのか現時点では不明であるため、今後の動向を注視する必要があります。また、相続時精算課税制度を活用できる場合、贈与税負担を抑えて、相続時に精算するというスキームを活用することもできます

不動産小口化商品の活用により、相続税額、贈与税額の引き下げに有効です。
また生命保険との併用で、より効果的な相続対策が可能になります。

10月より不動産小口化商品を詳しく説明するオンラインセミナーを毎週火曜日に開催します。
ご興味をお持ちになられたら是非、ご参加ください。

セミナーの詳細はコチラから↓
https://www.randcins.jp/realestate/share2/

本記事の執筆者:
R&C株式会社 不動産コンサルティング事業部
江原貴史

外資系保険会社においてセミナー事業に立上げより参画し、お客様向けセミナーやパートナー先のパーソナルファイナンス推進事業に従事。この実績を評価され、不動産会社においてもお客様向けセミナー事業を立上げ、年間120回ほどのセミナー開催から130億円ほどの売上に貢献する。保険、不動産に共通したテーマである相続対策に課題を感じ、相続人(受ける側)向け相続相談サイト「相続ぽると」を開設し、各種専門家との連携により、「相続を明るくする」の実現に奮闘中。
日本FP協会会員、宅地建物取引士、金融知力普及協会認定インストラクター