投資信託
投資信託の売却のタイミングはいつ?手順や注意点について解説
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初心者にもわかりやすい!投資信託の売却ガイド

一般的には長期保有が前提とされる投資信託ですが、投資家の皆様のお好きなタイミングでの売却が可能です。

ですが、「できれば利益が出るタイミングで売却をしたい」と思っている方も多くいらっしゃるのではないでしょうか?

そこでこの記事では、投資信託の売却に適したタイミングについて解説。

売却の手順や注意点についてもまとめています。

新しく投資信託を始めようと思っていて情報収集をしている方や、既存の投資信託の売却をご検討中の方は、ぜひ参考にしてみてください。

投資信託における”売却”とは?”解約”と”買取請求”の違いも解説

投資信託における”売却”とは?”解約”と”買取請求”の違いも解説

投資信託は運用会社によって運用されている金融商品です。

運用会社が運用を終了する日を償還日と呼び、償還日になると保有していた口数によって払い戻し(償還)が実施されます。

なお、償還日を無期限に定めている投資信託では、理論的にはいつまでも継続して投資をすることが可能ですが、運用成績が悪化したときなどは運用が中止されて償還されることもあるため注意しましょう。

償還日よりも前に投資信託を手放すことが投資信託における「売却」です。

売却すると、口数に応じて清算され、手数料などを差し引いて口座に入金されます。

”解約”と”買取請求”の違い

投資信託の売却には「解約」と「買取請求」の2つの種類があります。

いずれも投資家にとっては手数料も手続きも同じです。

特に意識して使い分ける必要はありませんが、手続きの違いはあるので、それぞれの意味について確認しておきましょう。

解約 投資家が販売会社を通して運用会社に信託契約の解除を請求することによって換金する方法。
投資家が解約する分、投資信託の信託財産は減少します。
買取請求 投資家が証券会社などの販売会社に買取を請求する方法です。
販売会社が買い取るため、投資信託の信託財産は減少しません。
買取後、販売会社は投資信託委託会社に解約を請求したり、他の投資家に買取を請求したりします。

投資信託の売却価格や売却益の計算方法

投資信託の売却価格や売却益の計算方法

投資信託を売買する際には、売却価格や売却益を前もって確認しておく必要があります。

ここでは、投資信託の売却価格や売却益の計算方法について解説します。

売却価格の計算方法

投資信託の売却価額(解約価額)の計算方法は以下の通り。

投資信託の売却価格(解約価格)=約定日の基準価額-信託財産留保額

基準価額とは、投資信託の1口(※)または1万口あたりの購入・換金などの取引時に基準となる価格のことです。

投資信託の日々の基準価額は、運用会社・販売会社のホームページや販売会社などに問い合わせることで確認することが可能です。

また、投資信託によっては信託財産留保額がかからないものもあり、この場合の解約価額は基準価額と等しくなります。

売却益の計算方法

まずは以下の式で、投資信託の売買によって得られた差額を計算します。

売買によって得られた差額=(売却時に確定した基準価格-購入時に確定した基準価格)×口数

ここで算出した売買によって得られた差額を用いて、以下の計算式で売却益を計算します。

売却益=売買によって得られた差額ー手数料ー税金

投資信託の売却タイミングはいつ?

投資信託の売却タイミングはいつ?

基本的には長期保有が前提とされている投資信託ですが、売却を推奨されるタイミングもあります、

ここでは、投資信託の売却タイミングについて解説します。

ライフイベントでお金が必要になったとき

結婚や住宅購入、子どもの進学、車の購入、急な出費の際など、まとまった現金が必要になることもあるでしょう。

預貯金のみで対応できない場合は、投資信託を売却して現金を確保しなければなりません。

タイミングが悪く値下がりしている場合も考えられますが、今後の上昇が望めそうであれば、必要な分のみを売却する方法もあります。

基準価額が値上がりしたとき

先述の通り、投資信託の基準価額とは、1口あたりの値段(※1口1円の投資信託は1万口あたりの値段)です。

購入したときよりも基準価額が上がっていれば、利益が出ていることになります。

もし基準価額が下がったときに売却すれば、損失を確定させてしまいます。

利益を確定させるには、基準価額が値上がりしたときに売却しなければなりません。

基準価額が値下がりしたとき

反対に、基準価格が値下がりしたときも、投資信託の一つの売却タイミングといえるでしょう。

長く待っていれば回復する可能性もありますが、売却して損切りするのも一つの選択肢です。

購入した投資信託では利益が出にくくなり、他の金融商品を購入すれば利益が見込めるケースでは、その時点で既存の投資信託の利益を確定させ、購入資金を用意する方法があります。

目標の基準価額になったとき

投資を始める際に決めた目標の金額になったときに、投資信託を売却します。

売却時の基準価額の金額に左右されることなく、確実に目標金額を達成することが可能です。

目標金額まで値上がりしたらすぐに売却し、利益を確定させるのがよいでしょう。

なぜなら、利益を確定しない限り、再び損失を出す可能性もあるからです。

金額の節目を設けることで、売却するタイミングを常に意識することができます。

投資信託の基準価額が上昇し、「もう少し儲かるかもしれない」という欲が出てきても、売却に踏み切ることができるでしょう。

元々売却する予定日になったとき

あらかじめ、投資する期間を決めて投資信託を購入する場合もあるでしょう。

例えば、1年後に使い道が決まっている資金を使って投資信託を購入した場合には、予定の日までに投資信託を売却し、利益あるいは損失を確定させます。

ただし、予定日を決めて投資をする場合、売却する時期に基準価額が値下がりしていると損失が生じるため、注意が必要です。

予定日が近づいたら早めに基準価額の変化を確認し、できる限り値上がりしたタイミングで売却できるようにしましょう。

また、投資信託は売却してすぐに現金が手元に入るわけではない点にも注意が必要です。

資金を使う日が決まっている場合には、余裕を持って売却しましょう。

ポートフォリオを変更したいとき

資産運用を続けていくと、資産配分の見直しをしたくなるかもしれません。

たとえば投資信託の比率を減らして株式を増やしたいときは、投資信託を売却し、株式購入費用にあてることができます。

投資信託の売却にかかる費用

投資信託の売却にかかる費用

投資信託を売却する際には、「解約手数料(税込)」と「信託財産留保額」がかかる可能性があります。

それぞれについて解説します。

解約(換金)手数料

ほとんどの商品では解約(換金)手数料はかかりませんが、一部の商品で解約(換金)手数料がかかる場合があります。

信託財産留保額

投資信託には運用が終了する「償還日」が決まっていますが、償還日までに売却するときには「信託財産留保額」を支払う必要が生じることもあります。

売却(解約)時の投資信託の基準額に対し、0.2〜0.3%の手数料が売却(解約)代金から差し引かれる形で徴収されるのが一般的です。

投資信託が解約されると、ファンドが組み入れている株式や債券などを売却して、投資家に渡す現金を確保する必要が生じます。

その際の費用(売買委託手数料など)を解約する人も負担をし、受益者の公平性を確保するとともに、ファンド運用の安定性を高める目的があります。

徴収した信託財産留保額は信託財産中に保留されます。

売却する際には、基準価額から一定の割合を乗じた額を差し引いた価額が換金する際の価額(解約価額)となります。

大手銀行・証券会社における売却の手順

大手銀行・証券会社における売却の手順

ここでは以下の代表的な銀行・証券会社における投資信託の売却(解約)方法について解説します。

  • 楽天証券
  • 三井住友銀行
  • ゆうちょ銀行
  • イオン銀行
  • 関西みらい銀行

それぞれについてみていきましょう。

投資信託の売却(解約)方法−楽天証券の場合−

楽天証券での投資信託は、インターネットで売却(解約)することが可能です。

  1. 楽天銀行ホームページ(https://www.rakuten-bank.co.jp/assets/investment/)にログイン
  2. 投資信託トップ画面から「お預かり状況照会」を押す
  3. 「お預かり状況照会」画面で、換金したいファンドの「換金」ボタンをクリック
  4. 換金注文口数の入力
  5. 換金内容の確認
  6. 換金注文の完了

詳しくは楽天銀行の「ご利用ガイド」(https://www.rakuten-bank.co.jp/assets/investment/guide/purchase-cancel.html)をご参照ください。

投資信託の売却(解約)方法−三井住友銀行の場合−

三井住友銀行では、インターネットと窓口、電話で売却(解約)手続きを行うことが可能です。

インターネットでの解約方法は以下の通りです。

  1. SMBCダイレクト(https://direct.smbc.co.jp/aib/aibgsjsw5001.jsp)にログイン
  2. 投資信託(ファンド)のお取引から「ファンドの解約・収益分配金の取扱変更」をクリック
  3. 投資信託口座、連絡先電話番号を確認し、「次へ」をクリック
  4. 換金(解約)するファンドの「解約」をクリック
  5. 「解約金額」を入力し、「次へ」をクリック
  6. 取引内容・重要事項説明を確認し、「実行」をクリック
  7. 解約注文完了

詳しくは三井住友銀行の「ご利用方法一覧」より、「投資信託の換金(解約)方法」(https://www.smbc.co.jp/kojin/direct/toshinkaiyaku.html)をご参照ください。

投資信託の売却(解約)方法−ゆうちょ銀行の場合−

売却(解約)の申込は取引店舗でのみ行うことができます。

15時までにお申込手続きが完了した場合は当日扱い、それ以降は翌営業日扱いとなります。

また、金額(円)指定による申込となります。口数指定による申込はできないので注意が必要です。

解約手続きに行く際には、以下のものを忘れずに持っていきましょう。

  • 投資信託振替決済口座利用と記載された通常貯金通帳
  • 印章(上記通帳のお届け印)

投資信託の売却(解約)方法−イオン銀行の場合−

イオン銀行では、インターネットと窓口の両方で売却(解約)手続きを行うことが可能です。

インターネットでの解約方法は以下の通りです。

  1. インターネットバンキング(https://www.aeonbank.co.jp/investment/)にログインし、メニューの「投資信託」を選択メニューから「お取引」を選択
  2. 保有ファンド一覧から解約されるファンドを選択し、表右端にある「解約」ボタンをクリック
  3. お申込みに関するご注意事項を確認し、「確認して次へ」をクリック
  4. 解約注文を入力
  5. 解約注文の確認
  6. 解約注文完了

詳しくはイオン銀行の解約ガイド(https://www.aeonbank.co.jp/guide/direct/investment/fund_cancellation/)をご参照ください。

投資信託の売却(解約)方法−関西みらい銀行の場合−

関西みらい銀行での投資信託の売却(解約)手続きは窓口とインターネットの両方で行うことができます。

インターネットでの解約方法は以下の通りです。

  1. 関西みらい銀行のマイゲート(https://ib.kansaimiraibank.co.jp/IB/0102/SC_N_0102_010.aspx)にログイン
  2. 画面右下の「マイページ」を選び「運用資産」をクリック
  3. 解約を希望する銘柄の明細詳細画面の右上にある「解約」をクリック
  4. 解約金額を入力。全部解約の場合は、「全部解約」をチェック
  5. 解約注文の確認
  6. 解約注文完了

詳しくは関西みらい銀行の投資信託のお取引きの流れ(https://www.kansaimiraibank.co.jp/kojin/toshin/otorihiki/)をご参照ください。

売却する際の注意点

売却する際の注意点

投資信託を売却するときには、次の3つのポイントに注意しましょう。

  • 売却時の価格と確定する価格は異なる
  • 売却時間によっては約定日が翌営業日以降になる
  • 売却代金を受け取るまでに時間がかかる
  • 手数料と費用がかさむ場合がある
  • 税金がかかる

それぞれのポイントについて、詳しく解説します。

売却時の価格と確定する価格は異なる

投資信託を売却するときに記載されている基準価額は、その日に確定する価格ではありません。

投資信託では売却や購入の注文を締め切った後で、適用される基準価額を決定し、その価格に基づいて取引が実行されます。

そのため、注文したときの基準価額や表記されている注文価格はあくまでも予想であり、実際に適用されるわけではないので注意が必要です。

運用会社が投信の運用結果をまとめた「週次レポート」「月次レポート」を読むと、基準価額の推移、投資対象の内訳などの情報が手早く得られます。

あらかじめ、大体の基準価額を確認しておきましょう。

売却時間によっては約定日が翌営業日以降になる

投資信託の売買は平日の15時まで受け付けられることが一般的ですが、必ずしも当日内に取引が約定するとは限りません。

売却した時間によっては約定日が翌営業日以降になり、基準価額が決まるタイミングも約定日に連動してさらに遅くなることがあります。

売却代金を受け取るまでに時間がかかる

売却した日の翌営業日以降に基準価額が決まり、取引が実施されてからの入金となるため、売却代金を受け取れるのは売却日ではありません。

売却代金は、受渡日に現金化します。

一般的には、約定日から2〜5営業日後が受渡日となりますが、投資信託によって異なる場合があるため、よく確認しましょう。

先述のように、資金を使う日が決まっている場合には、余裕を持って売却するのがおすすめです。

手数料と費用がかさむ場合がある

先述の通り、投資信託の売却に際しては、解約手数料や信託財産留保額などの費用がかかる場合があります。

解約手数料は販売会社(証券会社)に支払う手数料ですが、設定しているところはほとんどありません。

一方、信託財産留保額は解約時にファンド内に留保される手数料になります。

ファンドや投資信託会社によって手数料の水準が異なるため、売却するときには関連する費用がどれくらいかかるのかを前もって確認しておきましょう。

税金がかかる

投資信託の売却では、譲渡益(投資元本自体の値上がり益)に対して税金(税率20.315%)がかかります。

投資信託を売却(解約)した場合、商品によっては信託財産留保額と呼ばれる解約手数料が発生します。

こうした手数料は純利益から差し引いて計算します。

たとえば、投資信託の売却(解約)によって10,000円の譲渡益を得たが、同時に100円の解約手数料(信託財産留保額)がかかった場合、手数料を差し引いた9,900円のみ課税対象になります。

税金の仕組みや複数の証券会社で運用している場合の損益通算のやり方などを理解し、必要な場合は税務の専門家に相談しましょう。

記事まとめ

記事まとめ

この記事では、投資信託の売却に適したタイミングについて解説。

売却の手順や注意点についてもご紹介しました。

先述の通り、投資信託は投資家の皆様のお好きなタイミングで売却することが可能ですが、タイミングによっては損をしてしまう可能性があるので注意が必要です。

また、売却の際には税金や手数料がかかることも視野に入れ、できるだけ利益が出るタイミングを狙って売却しましょう。

投資信託を購入するときに目論見書を細部まで読み、手数料や取引上の注意点について理解しておくようにしましょう。

ABOUT ME
小林裕
小林裕
一般社団法人証券相続普及協会 代表理事
大学卒業後、東証一部上場の証券会社に入社。 個人向けの資産運用コンサルティングを中心に活動。 新人賞、社長優秀賞などを数多く受賞。 シニア層のお客様が多い中で資産運用だけでは本当の解決ができないと感じ、退職。 2020年、一般社団法人証券相続普及協会を設立。代表理事に就任。 終活カウンセラー1級や上級相続診断士の資格も取得し、お客様の大切な資産を「ふやす、まもる、つなぐ」をモットーに活動している。
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