自動車保険の保険料は年齢によって変化する?20代から見る各年代の相場
更新日:23.01.10
自動車保険の加入や見直しを考えるにあたって気になるのが保険料です。特に20代や30代の方は「年齢が若いほど自動車保険の保険料が高くなる」という話を耳にして不安に感じているのではないでしょうか。
この記事では、20代、30代の自動車保険の相場や保険料を抑えるポイントをお伝えします。等級制度や運転者年齢条件特約、運転者限定特約、ネット割引など、保険料を安くする方法はいろいろあります。上手に活用して充実のカーライフを送りましょう。
目次
自動車保険の保険料が変わるのは年齢だけではない
自動車保険では、用途や車種、型式、運転免許証の色などさまざまな観点から事故発生のリスクの高さを算出し、保険料が決められています。
「年齢が若いほど保険料が高くなる」といわれているのは、「①運転者の年齢による割引を受けられない」「②ゴールド免許割引を受けられない」「③新規契約でスタートした場合、数年は等級による割引率が低い」ことが理由です。
逆に、50代を超えて高齢になるほど事故発生のリスクが高まるため、保険料は高くなる傾向にあります。では実際、20代・30代の自動車保険の保険料はいくらくらいが相場なのでしょうか?
等級
自動車保険には「等級」という割引制度があります。等級による割引では、新規契約の場合6または7からスタートする等級が、保険を使用せずに事故なく契約期間を終えると更新時に数字がひとつ上がり、保険料が割り引かれます(等級は最大20とされている保険会社が多いです)。
ゴールド免許かどうか
自動車保険は免許証の色によっても保険料が変わるのが一般的です。免許証の色がブルーの場合は割引なし、ゴールドの方は割引が適用となり保険料が安くなります。
免許証がゴールドになるのは、「免許を取得して5年以上経過し、約5年間無事故・無違反だったとき」に限られているため、免許取得から5年以下の方はゴールド免許による割引を受けられません。
運転者の年齢に応じて設定された割引率
運転者の年齢も考慮されるポイントのひとつで、若い人ほど保険料が高くなる傾向にあります。
同じ20代でも、「20歳」と「21歳」では保険料が変わります。保険会社の多くは、運転者の年齢幅による割引を設けていますが、18歳から20歳までは対象外であるためです。初めて割引の対象となるのが21歳以上で、それ以降は26歳以上・30歳以上・35歳以上と率の異なる割引が設けられ、段階的に保険料が安くなります。
続いては、運転者の年齢以外を同条件にした保険料の相場を紹介します。
20代前半の自動車保険の相場は?
- 5ナンバー車
- 免許証の色:ブルー
- 保険等級:6
- 走行距離:年間1万キロ以下
- 車の使用目的:日常
上記の条件だった場合、年齢別に年間保険料をシミュレーションすると以下のようになります。
18〜20歳
- 車両保険なし:7~9万円前後
- 車両保険あり:18万円前後
21〜25歳
- 車両保険なし4~6万円前後
- 車両保険あり:15万円前後
車両保険をつけない場合、年齢制限による割引がない20歳以下と比較すると、割引が適用される21歳以上の保険料は約半分となることがわかります。
保険料を抑えたい方は両親や親族から保険を譲り受けるという方法も
20歳以下の年齢で保険料を下げたい場合、同居の両親や親族から保険を譲り受けて高い等級の保険を利用する方法もあります。
このとき、保険を譲り渡した側の車は新規に自動車保険を契約します。新規契約でも、両親であれば年齢による割引が最大限に受けられ、かつゴールド免許割引を受けられる可能性があるため、20歳以下の子どもが新たに自動車保険に加入するよりも保険料を安く抑えられます。
また同居の親族間であれば自動車保険の「複数台割引(セカンドカー割引)」の対象です。複数台割引とは、すでに自動車保険に加入している方、またはその配偶者・同居の親族が新たに自動車保険に加入する際、通常6から始まる等級を7にできるという制度です。
複数台割引が適用されるのは、「1台目の自動車保険が11等級以上」「1台目・2台目ともに車種が自家用8車種」「2台目の自動車保険の記名被保険者が1台目と同一人物またはその配偶者および同居の親族」と定められています。
20代後半の自動車保険の相場は?
年齢以外の試算条件
- 5ナンバー車
- 免許証の色:ブルー
- 保険等級:6
- 走行距離:年間1万キロ以下
- 車の使用目的:日常
26歳
- 車両保険なし:4~6万円前後
- 車両保険あり:15万円前後
運転者が20歳以下の例と条件を合わせているため、21歳以上と保険料がさほど変わっていません。しかし、実際にはゴールド免許割引を受けられる方、18歳時に加入し等級が15程度まで上がっている方もいるはずです。
そのため、実際の保険料は試算よりも下がる可能性もあります。26歳以降に免許を取得し新たに保険に加入した方は、事故率が極端に高い車を購入した場合を除き、今回の試算とほとんど変わらない保険料になるでしょう。
30代の自動車保険の相場は?
年齢以外の試算条件
- 5ナンバー車
- 免許証の色:ブルー
- 保険等級:6
- 走行距離:年間1万キロ以下
- 車の使用目的:日常
上記の条件だった場合、年齢別に年間保険料をシミュレーションすると以下のようになります。
26歳
- 車両保険なし:3万円前後
- 車両保険あり:8万円前後
30歳以上になると、年齢による割引率が高くなり20代前半に比べ保険料が安くなります。30代以降は自動車保険の等級が20に達し、割引を最大で受けられる人も増えてきたり、ゴールド免許の方もいるかもしれません。その場合、さらに保険料が割り引かれ、保険料は年間約2万円となる可能性もありえます。
ここまで年齢による割引を受けることを前提とした保険料をお伝えしてきましたが、運転者の年齢による割引を受ける際には注意したい点があります。
運転者の年齢による割引を「運転者年齢条件特約」といいます。この特約を付帯すると、設定された年齢未満の方が運転をして事故を起こした際、保険による補償を受けられません。
たとえば、「30歳以上補償」の運転年齢条件特約を付けた場合、26歳の方が運転して事故を起こしても補償されないのです。
この特約をセットする場合、夫婦それぞれが運転する車であれば「年齢が低い方」に契約を合わせる必要があります。夫が30歳以上でも妻が30歳未満であれば、妻の年齢に合わせた条件にしましょう。
車両保険に加入するかどうかで保険料は大きく変わる
車両保険とは、自動車の事故や災害、盗難などによる、修理費や買い換え費用など車のさまざまな損害費用を補償する保険です。車両保険には、単独事故や当て逃げ事故も対象とする「一般型」と、単独事故等を対象外とする代わりに保険料を抑えた「エコノミー型」があります。
前述のとおり、自動車保険の保険料は車両保険に加入していると高く、加入しない場合はしている場合よりも安くなります。
安い中古車を購入した場合、車両保険に入らないことを選択する方も少なからずいますが、慎重に検討してください。特にローンを利用して自動車を購入した場合、車両保険未加入では事故後にローンの支払と新しい車の購入費用の両方を負担しなければならなくなり、かえって家計を圧迫するケースも見られます。
なお、2019年度の車両保険の普及率は自家用普通乗用車で62.3%です。
安全運転をすれば「等級制度」で保険料は安くなっていく
前述の通り、自動車保険には等級制度と呼ばれる割引制度(割増制度)が設けられています。保険料の高い1等級から、保険料の安い20等級にまで分かれており、初めて自動車保険に加入したときには6等級から始まります(他の損害保険会社から自動車保険を乗り換えた場合には、一部共済を除きその等級を引き継ぎます)。
そして、1年間保険を使用しなければ次年度に等級が1つ上がる仕組みです。

等級制度は契約者本人の事故歴に応じて保険料を割引きまたは割増す制度です。割引率・割増率は損害保険料率算出機構の算出する参考純率をベースとし、無事故の人よりも事故を起こした人の方が翌年以降も事故を起こす可能性が高いことを根拠としています。
このため同じ等級であっても、「事故あり」の等級の方が「無事故」の等級よりも保険料の割引率が低くなっています。
翌年の等級が下がるケース
自動車保険の等級が下がってしまうケースとして、以下のような場合が想定されます。
- 「他人を死傷させた」「他人のものを壊した」「自分の車を壊した」:3等級ダウン事故
- 車両の盗難や台風による損害などで車両保険を使った:1等級ダウン事故
- 人身傷害保険・搭乗者傷害保険弁護士費用特約・個人賠償責任特約などを使った:ノーカウント事故(1等級上がる)
保険料を安く抑えたい場合には他人と事故を起こさないことはもちろん、自動車を適切に管理して盗難や損害などに遭わないように気を付けることも必要です。
自動車保険の保険料をなるべく安くするにはどうする?
若い方々にとって自動車保険の出費は負担となるかもしれません。しかし万一の時のために、自賠責保険に加えて、任意保険(自動車保険)にも加入しておきたいところです。
任意保険の負担を減らしたい方は、任意保険の対象となる運転者の年齢を限定することで保険料が割引される「運転者年齢条件特約」や、補償される運転者の範囲を限定することで保険料が割引される「運転者限定特約」を付加うまく利用して、保険料を抑えると良いでしょう。
ほかにも、状況に応じて特約を付けるか否かを選択しなければなりません。たとえば事故車を修理に出しているときにレンタカー代を補償してもらえる「代車費用特約」は、公共交通機関が発達していない地方にお住まいの方にはありがたいかもしれませんが、都心部の方にはあまり重要ではないといえます。
その他の保険と保障内容が重複していないか確認してみることで保険料を抑えられる可能性もあります。たとえば同居している親族のうち誰かが弁護士費用特約に加入していると、自分で加入しなくても弁護士費用を保険会社に負担してもらえる可能性があります。
自分にとって何が必要か考えたうえで契約内容を決めると良いでしょう。ただし損害額が高額になる可能性がある対人・対物賠償保険は「無制限」にした方が無難と言えるかもしれません。
参照
ソニー損保「年代別の保険料相場っていくら?」
この記事のまとめ
各種割引や事故リスクの関係から20代・30代の自動車保険の保険料は比較的高くなる傾向にあります。割引の適用内容によって大きく異なりますが、保険料の相場は車両保険なしで年間10万円以下、車両保険つきでは15万円程度だと見積もっておくのが良いでしょう。
今の状況にあった補償内容であることを前提に、より保険料を抑えられる方法を検討してみましょう。