生命保険とは?種類や利用方法と必要な人の特徴をわかりやすく解説

若くて元気なうちは「自分が命を落とす」ことについてあまり考えないものです。

しかし、人生がどうなるかは誰にも分かりません。万一のことがあったとき、残された家族は生活に不自由しないだけの収入を確保する必要があります。

そこで助けとなるのが生命保険です。この記事では、残された家族のその後の生活をサポートすることができる死亡保障について詳しく紹介します。

生命保険とは?種類や利用方法と必要な人の特徴をわかりやすく解説

死亡保障とは

  • 死亡保障は、万一自分が命を落とした場合、残された家族が受け取ることのできる保険金

生命保険にどんな条件で入るかは、年齢や家族の状況によって違いがあります。独身で誰も扶養する責任のある人がいない場合、基本的に死亡保障は必要ありません。

死亡保障が必要なのは、主に結婚している夫婦や子どものいる家庭です。特に、夫婦の片方が家庭の主収入を担っており、もう片方がパート勤務や専業主婦(主夫)である場合、主収入の担い手が突然亡くなってしまうと生活が困難になることも考えられます。

遺された配偶者がフルタイムで仕事をすることになればある程度安定した生活が送れるかもしれませんが、少なくともそれまでの生活をサポートできる金額を死亡保障で確保しておく必要があるでしょう。

また、フルタイムで働くのが無理な場合は、多めの保障が受けられる保険を選択おきたいところです。

また、最も死亡保障が必要なケースは、まだ小さい子どもがいる家庭です。子どもが成人するまでには養育費はもちろん、進学にかかる学費などさまざまな費用がかかります。

残された配偶者の生活も含め、経済的な支えになる金額を考えて死亡保障のある生命保険に入らなくてはなりません。

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人が亡くなった時にかかる費用一覧

死亡整理金とは

  • 人が亡くなったときに必要となるお金のこと

人が亡くなった際にかかる死亡整理金の代表的なものとして、葬儀費用があります。

葬儀費用は地域によってかなり差があるため一概には言えませんが、葬儀会社に支払う費用や埋葬費用のほか、お寺などに支払う費用などが発生します。

お悔やみにきてくれた人への香典返しや飲食接待費なども含めて困らないだけの準備をしておくことが大切です。

他にも、残された遺族が自分の亡くなる前と同じレベルの生活ができるだけの生活費や住居費なども考えておく必要があります。子どもの教育費も含め、これらすべてを自分で準備しておくというのはなかなか大変です。

すべての費用をあらかじめ保険で確保しておく必要はありませんが、どの程度を貯蓄でまかない、どの程度を保険でカバーできるようにしておくかをしっかり考えておくことが必要です。

生命保険の種類とは?掛け捨て型と貯蓄型について解説

死亡保障と言ってもいくつかの種類があり、それぞれにメリットがあります。

生命保険の掛け捨て型と貯蓄型の違いを解説した画像

「掛け捨て型」の保険は、保険料が割安であることが大きなメリットです。もちろん、掛け 捨てですから支払った保険料は返ってきません。

しかし、月々の負担を抑えながら大きな保障を受けることができます。子どもが小さいうちは育児や教育費にかかる費用も多いので、保険の掛け金が少ないのは助かります。

収入保障型の保険を選べば、保険金は毎月受け取ることが可能です。仕事で得る給料に上乗せするような形で収入を確保できて使いやすいという点もポイントです(収入保障保険については記事後半で解説します)。

一方、将来の生活を考えるなら「貯蓄型」がおすすめです。掛け捨てではないため、支払った保険料が無駄にならないという点がメリットのひとつです。

万が一のときに死亡保険金が支払われるのはもちろんのこと、保険金をきちんと積み立てていけばしっかり残せます。また、保険料を支払う期間を選べるプランを用意している保険も多く、各家庭の経済状況に合わせて選ぶことができます。

中でも終身保険は一生涯保障が続く保険ですが、保険料の一部が一定の利率で増えていくという点がメリットです。解約せずに最後まで払い終わると、その後は返戻金が増えていくため貯蓄性のある保険といえます。

生命保険の死亡保障のプランをシミュレーション

子どもの教育費が残りどのくらい必要か、生活費など毎月の必要経費がどのくらいかかっているかで必要な保障額は違ってきます

たとえば、夫35歳(会社員)、妻31歳(専業主婦)、子ども5歳という家庭で、生活費は月20万円、住まいは賃貸で家賃が月10万円の場合、夫の死亡保障についてシミュレーションしてみましょう。

夫が生きている状態で必要な金額を100%だとすると、残された妻と子どもの生活に必要な分を70%くらいに設定して計算します。月20万だった生活費の70%だと、1カ月に必要な生活費は14万円です。

住居費は賃貸なので、仮にそのまま住み続けるためには同額の10万円が必要です。子どもの教育費については公立と私立どちらに行くか、大学まで進学するかによって違ってきます。もし幼稚園から大学まですべて公立で自宅から通えるところに行ったとしても、1000万円程度はかかることを想定しておくと良いでしょう。

一方、国の制度でカバーしてもらえる分もあります。国民年金や厚生年金を支払っていれば、夫が亡くなった場合、遺族年金を受け取ることが可能です。

遺族年金の中でも遺族基礎年金は18歳までの子どもがいる配偶者か子どもが受け取れるものです。また、夫が会社員で厚生年金を支払っている場合、遺族厚生年金も受け取れます。

ただ、遺族基礎年金は子どもがいない妻や子どもが18歳以上になると受け取ることはできません。

そこで、遺族基礎年金を受け取れない分をカバーできるものとして中高齢寡婦加算があります。中高齢寡婦加算は40歳以上で子どものいない妻や、夫を亡くして40歳になったときにはこの分も遺族年金に加算されます。

生命保険の収入保障とは?定期保険との違いを解説

生命保険を選ぶ際には、「定期保険」と「収入保障保険」という比較軸もあります。

定期保険とは

  • 契約者が死亡もしくは高度障害になった場合に保険金が一括で支払われるもの

収入保障保険とは

  • 契約者が死亡もしくは高度障害になった時点から契約終了時まで月々分割で支払われるもの

まずこの点が大きな違いですが、収入保障保険の大きな違いとしては「契約者の死亡した時期によって支払われる保険金の総額が変わってくる」という点が挙げられます。

例えば、20年契約で死亡後には月10万円の保険金が支払われるタイプの保険だったとします。すると、もし契約直後に死亡したとすれば、10万円×12か月×20年で総計2400万円の保険金が支払われることになります。

ところが、契約から18年経過した後に死亡した場合には、10万円×12か月×(20年-18年)で保険金は240万円しか支払われないというわけです。しかも、保険金の支払い対象となるのは契約者の死亡時の他には高度障害を負った場合のみです。

その代わり、月々の保険料はかなり安めです。具体的な金額は保険会社によっても異なりますが、契約時の保険金が同額の収入保障保険と定期保険を比べてみると、月々の保険料の額が2倍以上の差になる場合があります。

例えば、受け取れる保険金が同じ3000万円でも、月々の保険料は収入保障保険が2400円で通常の定期保険が5000円になるなどといったケースがあるわけです。ちなみに、収入保障保険自体は契約期間があらかじめ決められているため定期保険の一種に分類されます。

ただ、通常の定期保険が一般的に10年ごとに契約の更新が必要であるのに対して収入保障保険の契約期間はそれよりもずっと長いというのが特徴のひとつになっています。

生命保険の収入保障のメリット・デメリット

それでは収入保障保険の特徴を踏まえた上でメリットデメリットを考えてみましょう。

まずメリットとしては、大きく3つあります。

  1. 他の保険と比べて保険料が割安
  2. 保険金を長期で受け取れる
  3. 途中で乗り換えが可能

他の保険と比べて費用がかからないのはありがたいです。また、保険金を長期で受け取ることも考え方によってはメリットのひとつと言えるでしょう。一括で保険金を受け取ると一気に使ってしまう可能性がありますが、分割して長期で受け取るとそのリスクが回避できるからです。

さらに、収入保障保険には途中で乗り換えが可能というメリットがあります。定期保険は一般的に更新をするごとに保険料が高くなっていきますが、その際に収入保障保険に乗り換えると保険料が安くなる場合があるのです。

つぎにデメリットとしては、大きく3つあります。

  1. 契約期間中に何事もなかった場合は手元に何も残らない
  2. 保険金が分割払いなのでまとまったお金が必要なときに使えない
  3. 課税対象になる可能性

掛け捨て型保険なので、契約期間中に何事もなかった場合は手元に何も残らないという点が挙げられます。つまり、資産運用の手段としては不向きです。それに、保険金が分割払いなのでまとまったお金が必要なときに使えないという点もデメリットだと言えるでしょう。

意外なところでは、「課税対象になる可能性」が挙げられます。契約者が死亡したときの保険金には通常相続税がかかってきます。基礎控除や生命保険金控除などで支払わなくてもよいケースがほとんどですが、毎月支払われる収入保障保険は雑所得として扱われ、支払った保険料を除いた利益分に所得税がかかる可能性があるのです。

生命保険の収入保障に向いている人・向いていない人の特徴

保険の加入を考える際、収入保障保険を選択するべきか否かは人によって異なります。

例えば、まとまった貯蓄がなく、これから貯蓄をするのも厳しいという人には保険料の少ない収入保障保険はおすすめです。

また、小さい子どもがいる場合も収入保障保険は心強い存在となります。自分がどの時点で亡くなっても、子どもが大人になるまで毎月同じ額のお金が支給されるからです。

さらに「貯蓄が貯まるまでの期間限定で保障を得たい人」にも、収入保障保険は向いています。必要最低限の支払いで万が一の保障を得ることができ、保険が不要なレベルまで貯蓄を得たときは途中解約しても特にデメリットがないからです。

逆に、最初から貯蓄が十分ある人にはこの保険は不要でしょう。掛け捨てなので何もなかったときは損になるだけです。掛け捨て型よりも、その貯蓄を元に積み立て型の保険や一時払い終身保険を選択しても良いでしょう。

同様に、「いざというときの備えよりもまとまったお金を貯めることを優先したい」と思っている人にも収入保障保険は不向きです。また、これは残された人の生活を保障するための保険なので結婚するつもりのない人にとってはそもそも必要性が薄いと考えられます。

生命保険の収入保障に特約は必要?特約の種類を解説

収入保障保険には通常の保障の他に特約が付けられる場合があります。例えば、「がん特約」やがん、脳卒中、急性心筋梗塞を合わせた「三大疾病特約」などです。

これらを収入保障保険に付帯させると、病気になって以降の保険料が免除されたり、その時点から年金を受け取れるようになったりするなどといった特典がつきます。

わずかな保険料を追加するだけでより大きな安心を得られるのはメリットですが、注意すべき事柄もあります。それは、すでに入っている他の保険と保障範囲が重複していないかという点。

無駄な出費をしないためにも特約を付帯させる際には保障範囲などをよく確認することが大切です。その上で、本当にそれが必要かどうかを検討してください。

生命保険を解約したらどうなる?流れと解約返戻金について

最適のものを選んだと思っても、生活環境やライフステージの変化によって見直すタイミングが訪れることもあります。契約の途中で解約した場合、保険の種類によっては「解約返戻金(かいやくへんれいきん)」が支払われます。

どれくらい支払われるのか、また返戻金の計算方法などは契約している保険次第です。自分の大事な資産を守るためにも、解約返戻金をきちんと受け取るためのポイントや注意点を確認しておきましょう。

解約する前の確認事項と注意点

生命保険、と一言にいってもその種類はさまざまです。中には解約返戻金が支払われない保険、支払われてもごくわずかになってしまう保険もあります。

そのため、「お金が戻ってくる」と思って解約しても返戻金が支払われず、損をしてしまうこともありますので注意が必要です。契約の際にはそういった解約リスクも知った上で検討すべきといえるでしょう。

また、返戻金があるからといって喜んでばかりもいられません。解約返戻金は所得税の一時所得としてみなされ、金額によっては課税対象となることがあるのです。

また契約者と解約返戻金を受け取る人が違う場合には贈与税の対象となりますので、やはり税金が発生する可能性があります。このように、生命保険の解約返戻金は単にお金が受け取れるだけの制度ではありません。解約手続きをする前に、今一度自身の保険について確認しておきましょう。

生命保険の解約返戻金とは?

解約返戻金とは

  • 保険を解約したときに保険会社から払い戻されるお金のこと、「解約払戻金」ともいわれる

解約返戻金は「契約者自身が解約した場合」、「保険会社の都合で解約に至った場合」のいずれの場合でも支払われます。通常は契約期間が長くなればなるほど金額は大きくなりますが、運用経費などが引かれるため、自分が支払った保険料のすべてが戻ってくることはまれです。

前述の通り、保険の中には解約返戻金が発生するものとそうでないものがあり、解約返戻金があるものは大きく分けて2つです。ひとつは保障と同時に貯蓄を行う「積立型保険」、そしてもうひとつはその他の「掛け捨て型ではない保険」です。

この2つのどちらにも該当しない保険はほとんどが解約返戻金のないタイプの保険といえます。同じ死亡保険でも、生涯にわたって保障の続く終身保険は解約返戻金がありますが、保障期間が決まっている定期保険にはありません。

定期保険は解約返戻金や満期保険金がない代わりに保険料を抑えている保険であり、いわゆる「掛け捨て型」の保険だからです。

解約返戻金は3種類!それぞれの特徴を解説

生命保険の解約返戻金には、返戻率に応じて3つの種類があります。ここでは、それぞれについて詳しく見ていきましょう。

従来型

解約返戻金がしっかり支払われるタイプの保険です。終身保険や学資保険、養老保険といった保険商品がこれに当てはまります。返戻率は保険によって異なるので確認が必要です。

低解約返戻金型

従来型の70%ほどの返戻金があるタイプです。これは保険料の払い込み期間の解約返戻金を低く設定することで保険料を抑えるもので、払い込み期間中に解約すると損をしてしまいます。保険料の払い込みを終えたあとには返戻率が高くなるのが一般的です。

無解約返戻金型

解約返戻金をなくす代わりに保険料を割安に設定している保険で、いわゆる「掛け捨て型」の保険です。定期保険のほとんどはこのタイプです。

生命保険を解約するときの流れ

保険を解約し返戻金を受け取るには、解約手続きが必要です。手続きは以下の手順で行います。

1. 保険会社に連絡をする

営業担当や営業所に電話で連絡を入れれば、必要な書類を送付してもらえます。もし、「担当者に言えば解約を引き止められるかも」と不安な人はお客様相談用のフリーダイヤルに連絡しましょう。

2. 書類に必要事項を記入

書類が届いたら、必要事項を記入します。間違いがあると手続きがスムーズにいかなくなりますので、ひとつひとつの項目を丁寧に確認しながら記入を進めます。

3. 保険会社に提出

記入を終えたら、あとは提出するのみです。郵送で提出すればあとの手続きは保険会社がやってくれます。

4. 解約完了

以上が解約までの流れです。手続き中には本人確認や契約時に使った印鑑、解約返戻金振込用口座の通帳などが必要になりますので、事前に準備しておきましょう。手続き完了後いつ解約返戻金が振り込まれるかは保険会社によって異なりますが、1週間以内には振り込まれるのが一般的です。

生命保険は万が一のときのためのものですが、解約返戻金をうまく使えば資産運用にも活用できます。契約時には保障内容だけでなく、解約返戻金にも注目してみましょう。

まとめ

家庭の主収入を担う大黒柱が亡くなった場合、その後に残された配偶者の負担は大きくなります。葬儀費用などはそのときだけのものですが、毎月の生活費や住居費などはずっと必要なものです。

また、子どもが小さいときは、まだまだこれから教育費も増えていきます。その費用すべてを残された遺族がまかなっていくことは大変です。だからと言って、すべてを保険でまかなえるようにするには毎月の保険の掛け金を支払うだけでも負担になることもあります。

現在の経済状況と「何が家族にとって必要なことか」を考え、万一のことがあっても困らないだけの準備はしておくようにしましょう。

・当サイトは、各保険の概要についてご紹介したものです。取扱商品、各保険の名称や補償(保障)内容等は引受保険会社によって異なりますので、ご契約にあたっては、必ず各引受保険会社の「重要事項説明書」をよくご確認ください。ご不明な点等がある場合には、代理店までお問い合わせください。

・このご案内には保険商品内容のすべてが記載されているわけではありませんので、あくまで参考情報としてご利用ください。また、必ず各引受保険会社の「契約概要」やパンフレット等で保険商品全般についてご確認ください。

・お引受内容により保険料が異なる場合がありますので、実際に適用される保険料については代理店または引受保険会社にお問い合わせください。

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