親の介護費用、いくらかかるの?幸せな老後に備えて今からできること
更新日:23.01.10
「帰省するたびに、両親が歳を取ったことを感じる」
「今は元気でも、急に倒れたり寝たきりになったりしたらどうすればいいんだろう」
そんな不安を感じたことはありませんか?
思いがけないタイミングでやってくる介護生活を助けてくれるのが、高齢者や病人、障がい者の生活を支援する「介護保険」です。
いざというときに慌てることなく適切に対処できるように、親の介護にかかるお金について、いまからしっかりと学んでおきましょう。
親の介護費用、どう賄う?
親の介護が始まったときに、まず確認したいのが介護保険の利用です。介護保険には国が運営する「公的介護保険」、民間の保険会社が運営する「民間介護保険」があります。

前者の公的介護保険については、40歳以上の国民は強制加入で、自動的に加入手続きが取られることになっています。給与からの引き落としや保険料の納付書で、自分の加入を知ったという方も多いのではないでしょうか。
まず公的介護保険についてみていきましょう。
公的介護保険とは
公的介護保険を利用するには、介護が必要な人の住民票がある市区町村の窓口に申請が必要です。
公的介護保険では「要支援1~2」と、「要介護1~5」の7段階が設けられています。申請で本人の要介護度が認定されて始めて、保険を利用することができます。
公的介護保険を利用すると、介護サービスにかかる費用の1割が自己負担となります。ただし一定以上の所得がある1号被保険者(65歳以上)は2割負担となります。
注意したいのは1割負担が適用される限度額がある点です。例えばもっとも重い要介護5になると、支給限度額は月額36万2170円です。
この支給限度額を超えてサービスを利用した場合は、支給限度額の1割と、支給限度額を超えた分の全額は自己負担となります。
実際は上限を超えない範囲でどうやりくりするか、介護サービスの専門家と相談しながらプランを決めていくことになるでしょう。
次に民間の介護保険をみていきます。
民間介護保険の特徴
保険会社からは、さまざまなタイプの民間介護保険が発売されています。
「要介護状態のときに保険金を受け取ることができる」という点は、すべての商品に共通しています。
しかしそれ以外のところでは、商品ごとに違いがあるため、一般的な保障内容を示すのは難しい商品です。あくまでも一例ですが、以下のような商品があります。

商品選びのポイント
民間介護保険の内容を確認するためのポイントは次のとおりです。
1.独立した保険なのか、他の保険とセットになっているのか
介護のときを保障する保険は必ずしも「介護保険」という名称で販売されているわけではありません。
死亡保険や医療保険などとセットになっている場合もあります。また障害状態を保障する保険と組み合わされていることもあります。
2.保険期間
「定期タイプ」なのか「終身タイプ」なのかを確認します。

定期タイプ | 一定期間の保障で良い場合 例)働いている間や子育て期間 |
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終身タイプ | 歳をとってからも保障が必要な場合 |
「終身タイプ」は一般的に保険料が高めになりますが、解約返戻金をおさえた商品であれば、比較的負担の少ない保険料で加入することも可能です。
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3.保険金の受け取り方
保険金は「一時金」でまとめて受け取るのか、毎年「年金」として受け取るのかを確認します。上の図の例では、一時金・年金の両方を受け取ることができます。
一時金は住宅のリフォームや介護器具の購入などのため、年金は公的介護保険で提供されるサービスの自己負担分をまかなうために準備するというのが、一般的な考え方です。それ以外の生活資金などは、公的年金制度と自己資金でまかないます。
4.保険金が出るための条件
保険金が出るための条件は大きく分けて2つあります。
- ①保険会社が定める要介護状態に該当すること
- ②公的介護保険制度により、あるランクに該当すると認定されること
なぜ条件が2つあるのか疑問に思う人もいると思いますが、これは公的介護保険のしくみと関係があります。
65歳以上の被保険者(第1号被保険者) | 理由のいかんに限らず、要介護状態と認定されれば介護サービスを受けられる |
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40歳~64歳の被保険者(第2号被保険者) | 一部の病気で要介護状態になったときしか、介護サービスを受けられない |
もし民間の介護保険で保険金が出る条件を、公的介護保険に連動させておくと、40歳~64歳の人は限られた場合にしか保険金を受け取ることができません。
そこで保険会社は独自の基準を設けて、40歳~64歳の人が要介護状態になったときを広くカバーしようとしているのです。40歳~64歳の人は①の基準、65歳以上の人は②の基準にもとづいて、保険金が支払われるというのが一般的です。
注意してほしいのは、「保険会社によっては65歳以上の人でも独自の基準を用いている場合があること」、「保険金が出る諸条件は会社によって異なること」です。
要介護4、要介護5といったランクが条件になっていると、実際に保険金を受け取る機会が少なくなります。「要介護2」で保険金が出ることをひとつの目安としてください。中には「要介護1」でも保険金が支払われる保険商品もいくつか存在します。
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民間介護保険まとめ
一概には言えませんが、連動型は公的介護保険が認定されると比較的スムーズに保険金の支給を受けることができるメリットがあります。
非連動型は保険会社独自の細かな支給条件を理解するのは少し面倒ですが、将来公的介護保険制度が変わってもそれに左右されずに保障を受けられるのはメリットといえるでしょう。
親の介護を考えると公的介護保険だけでは心細い場合、親とよく話し合った上で、民間介護保険への加入をすすめるのもよいでしょう。
老後の生活費と医療費も視野に
老後を考えると、まず頭に浮かぶのは介護費用の確保だと思いますが、生活費や医療費も同じくらい大切。そのための備えはどうしたらよいでしょうか。
生活費
老後の生活費をサポートするのは年金です。日本には国が加入を義務づけている公的年金制度があります。多くの方は「国民年金」「厚生年金」のいずれかに加入し、年金保険料を支払っています。
ところが高齢化が進み国の財政が逼迫する中で、公的年金制度だけでは不安を感じる人も増えています。
その場合に検討したいのは、公的年金に民間保険会社の個人年金をプラスするスタイル。若いうちから毎月積み立てることで、長期的に老後の生活費を確保することができます。
医療費
70~74歳 | 2割(現役並み所得者は3割) |
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75歳以上 | 1割(現役並み所得者は3割) |
このように70歳以上になると医療費の自己負担額が減るうえに、高額療養費制度の上限も上がるため、医療費の自己負担は少なくなります。
そうした状況の中で気になる医療費は、公的保険で保障されない入院時の差額ベッド代や諸費用になるでしょう。特に入院患者の多くが高齢者という現状から、老後の医療費は入院にかかる費用がポイントになるでしょう。
こうした医療費をサポートするために、たくさんの民間の保険会社で、さまざまな医療保険が用意されています。
親の幸せな老後のために、介護以外にも考えておきたいこと
ゆっくりと介護に移行するのではなく、ある日突然倒れて急に介護生活がスタートするケースも珍しくありません。いざというときに慌てて右往左往することなく、いまのうちからできることは備えておいたほうが安心です。
大切なのは何かあったときにどうしたいか、親の希望を元気なうちに聞いておくことです。
所有する資産の管理はどうするのか、寝たきりになったら財産を誰に任せたいか、亡くなった後の相続はどうしたいかなど、普段のコミュニケーションの中で親の意思を確認し、家族の間で共通認識をもっておくとよいでしょう。
何が起こるかわからないのが人生ですが、予想できることにしっかりと備えておけば漠然とした不安が軽減され、積極的に毎日を楽しむことにつながります。
誰にでも訪れるかもしれないのが介護です。いまから親の幸せな老後にしっかりと備えておきたいですね。
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・このご案内には保険商品内容のすべてが記載されているわけではありませんので、あくまで参考情報としてご利用ください。また、必ず各引受保険会社の「契約概要」やパンフレット等で保険商品全般についてご確認ください。
・お引受内容により保険料が異なる場合がありますので、実際に適用される保険料については代理店または引受保険会社にお問い合わせください。