無職の人がお金を借りる5つの方法!金融機関に借入の申し込むをする際の注意点
更新日:2023.01.16

無職の人が銀行や消費者金融などからお金を借りるのは非常に難しいように見受けられます。
原則としてお金を借りるためには「安定した収入」があることが望ましいです。
この記事では無職の人がお金を借りる方法や借りる以外でお金を工面する方法を紹介していきます。
この記事を読んでわかること
- 無職の人がお金を借りる5つの方法
- 無職の人が金融機関に申し込む際の注意点
- 無職の人が生活を立て直すための解決方法
目次
無職の人はお金を借りることはできるのか?
専業主婦や学生、未成年、母子家庭などにおいて、無職でお金に困っている人は少なくないと思います。
そんな無職の人が消費者金融や銀行からお金を借りることができるのでしょうか?
収入がないとお金を借りることは難しい
原則として定期的な収入がないと、銀行や消費者金融のカードローンから借入をすることは難しいです。
収入がない無職の人の場合、銀行カードローンや消費者金融カードローンからお金を借りることはまず無理といってよいでしょう。
ただし専業主婦の場合、「配偶者貸付」を利用すれば、消費者金融から借りられる場合もあります。
配偶者貸付とは、借り入れをした本人と配偶者の収入を合算して、その3分の1までの借入れが可能となる制度です。
うまく利用できれば即日の借入も実現できます。
とはいえ、配偶者貸付を実施していない消費者金融もありますし、配偶者貸付の審査に必ずしも通るとは限りません。
無職の人がお金を借りるのは非常に難しいといえるでしょう。
家族や親族、友人・知人に相談しよう

お金を借りなければならないくらいの生活状況になってしまったときには、まずは家族・親族に正直に打ち明けて、借金の相談をしてみましょう。
もし家族・親族に頼るのがきびしい場合には、友人・知人に相談してお金を借りることも検討してみましょう。
家族・親族や友人・知人からお金を借りるときは、「借用書」を作成して、無理のない範囲の金額で返済するようにしましょう。
たとえ親しい間柄であっても、お金を返さなければ裁判沙汰になることもあり得ます。借金でのもつれは人間関係を壊しかねません。借りたお金は滞りなく返すようにしましょう。
なお、借用書の書き方など詳細については、以下の記事をご覧ください。
無職でもお金を借りる5つの方法
実は場合によっては、無職の人でもお金を借りられる方法があります。
生活が困窮している人向けの国や自治体などの公的融資や民間金融機関で、お金を借りる方法を紹介します。
生活福祉資金貸付制度(緊急小口資金・総合支援資金)
生活福祉資金貸付制度とは、低所得者・高齢者・障害者の生活を経済的に支え、その在宅福祉および社会参加の促進を図ることを目的とした貸付制度です。
生活福祉資金貸付制度には、主に休業された人向けの「緊急小口資金」や、主に失業された方等向けの「総合支援資金」があります。
■生活福祉資金貸付制度の主な種類
資金の種類 | 貸付限度額 | 据置期間 | 償還期間 | 貸付利子 | 保証人 |
---|---|---|---|---|---|
緊急小口資金 ・緊急かつ一時的に生計の 維持が困難となった場合に 貸し付ける少額の費用 |
10万円以内 | 貸付日から2月以内 | 据置期間経過後12月以内 | 無利子 | 不要 |
生活支援費(※) ・生活再建までの間に必要な生活費用 |
(二人以上)月20万円以内 (単身)月15万円以内 ・貸付期間:原則3月 (最長12月) |
最終貸付日から6月以内 | 据置期間経過後10年以内 | 保証人あり:無利子 保証人なし:年1.5% |
原則必要 ただし、保証人なしでも貸付可 |
住宅入居費(※) ・敷金、礼金等住宅の賃貸契約を結ぶために必要な費用 |
40万円以内 | 貸付日(生活支援費とあわせて 貸し付けている場合は、生活支援費 の最終貸付日)から6月以内 |
据置期間経過後10年以内 | 保証人あり:無利子 保証人なし:年1.5% |
原則必要 ただし、保証人なしでも貸付可 |
一時生活再建費(※) ・生活を再建するために一時的に必要かつ日常生活費で賄うことが困難である費用 ・就職・転職を前提とした技能習得に要する経費 ・滞納している公共料金等の立て替え費用 ・債務整理をするために必要な経費 など |
60万円以内 | 貸付日(生活支援費とあわせて 貸し付けている場合は、生活支援費 の最終貸付日)から6月以内 |
据置期間経過後10年以内 | 保証人あり:無利子 保証人なし:年1.5% |
原則必要 ただし、保証人なしでも貸付可 |
※総合支援資金の種類
緊急小口資金はあくまでも緊急時に対応するものであるため、貸付限度額は10万円以内と少額にとどまります。
総合支援資金は生活を立て直すための費用であるため、貸付限度額が多めに設定されています。
また、緊急小口資金の場合、保証人は不要で、無利子で借りられます。
一方、総合支援資金の場合、保証人がいれば無利子で借りられますが、保証人が立てられないときには利子を支払わなければなりません。ただし、それでも金利は年1.5%と低金利で借りることができます。
求職者支援資金融資
求職者支援資金融資とは、職業訓練受講給付金を受給しても、職業訓練受講給付金だけでは訓練受講中の生活費が不足する場合に融資を受けられる貸付制度です。
貸付額は「月額5万円(上限)または10万円 (上限) × 受講予定訓練月数」となっていますが、配偶者などの有無により上限額は異なります。
■求職者支援資金融資の概要
貸付額 | 貸付方法 | 担保人・保証人 | 貸付利率 | 返済方法 |
---|---|---|---|---|
月額5万円(上限)または10万円 (上限) × 受講予定訓練月数 ・同居または生計を一にする別居の配偶者、 子または父母のいずれかがいる場合は10万円 ・基本的に単身者などは5万円 |
本人口座へ一括振り込み (ただし、労働金庫の口座に限られている) |
不要だが、労働金庫が指定する 信用保証機関の利用が条件となる |
年3.0% (信用保証料0.5%を含む) |
月末に口座振替で返済 |
休職者支援資金融資の貸付額は、労働金庫の口座のみへ振り込まれます。他の金融機関の口座には振り込まれませんので注意が必要です。
訓練終了した月の3ヶ月後、もしくは就職などで訓練を途中でやめた場合は、その日が属する月の3ヶ月後の末日までは元金は据え置きされ、利息のみ返済すればOKです。
返済期限は、訓練終了月の4ヶ月後の末日以降、貸付日から5年以内です。ただし、貸付額が50万円以上の場合は10年以内となります。ただし、65歳までに貸付額を完済しなければなりません。
質屋でお金を借りる

急な出費が必要になった場合などで、ブランド品など高価な品物を持っている方は、質屋に持って行き一時的にお金を借りる方法もあります。
顔なじみになっている、地域密着型の質屋の中では、高価な品物でなくてもお金を貸してくれるところもあります。自分には高価な品物は持っていないからとあきらめずに、一度質屋に相談してみてはいかがでしょうか。
生命保険の契約者貸付制度
貯蓄性の高い生命保険(例:終身保険、養老保険、学資保険、個人年金保険など)に加入している場合、貯まっている解約返戻金(7~8割程度)を担保にお金を借りることができます。これを「契約者貸付制度」といいます。
例えば10万円を借りたい場合、15万円以上の解約返戻金を積み立てていることが必要になります。
上記の生命保険に加入しているなら、契約者貸付制度の利用を検討してもよいでしょう。
契約者貸付制度の金利は数%と低めなのが一般的です。ただし、返済ができないと、加入している保険が失効して、保障がなくなってしまうことがあるので注意が必要です。
クレジットカードのキャッシング
クレジットカードを持っているのであれば、キャッシングサービスを使うのも一つの方法です。
ただし、キャッシングサービスの金利が年10~18%程度と高いので、返済負担が重くなる可能性が高いです。
また、クレジットカードにはショッピング枠やキャッシング枠に利用限度額があります。例えばショッピング枠を利用限度額いっぱいまで利用しているときは、キャッシング枠は利用できない場合があります。
「家族カード」にキャッシング枠があれば、お金を借りることができます。ただし、夫(または妻)が主契約者のクレジットカードの家族カードを利用しているときには、キャッシングをしたことは夫(または妻)にバレてしまいますので注意してください。
【コラム】銀行カードローン:原則定期的な収入がないと借りられない
銀行カードローンは原則として定期的な収入がないと利用できません。
ただし一部の銀行カードローンには、収入がない専業主婦でも利用できるものもありますが、「配偶者(例えば夫)に収入があること」が条件となります。
これは収入のない専業主婦にとって助かるカードローンではありますが、もしカードローンを利用すると、収入のある配偶者にバレる可能性は大です。トラブル防止のためにも、あらかじめ配偶者に相談した上でカードローンを利用するのがよいでしょう。
【コラム】消費者金融カードローン:配偶者貸付なら利用は可能
消費者金融は総量規制の対象であり、年収の3分の1まで借り入れが可能です。例えば収入のない専業主婦の場合、消費者金融から借り入れはできません。
ただし、先にも述べましたが、収入のある配偶者(例えば夫)ありきで「配偶者貸付」を利用すれば、配偶者の収入の3分の1までを上限に借り入れが可能です。
無職の人の生活を立て直す解決方法
ひと口に「無職」といっても、人それぞれでその状況は異なります。
そこでケース別に無職の人が生活再建をするための解決方法を紹介しましょう。
独身の場合の解決方法
ハローワークを活用しながら、再就職をめざしましょう。
働き方としては正社員に限らず、契約社員や中長期のアルバイトとして働き、収入を得ることを目標にしましょう。
ハローワークでは、失業保険の基本手当など各種給付金を受けながら、仕事のスキルやノウハウを身につけることもできます。
例えば、ハロートレーニング(職業訓練)では、無料で職業訓練が受けられるだけでなく、職業訓練受講給付金(月額10万円)も受け取れ、就職のサポートまでしてくれます。
ハロートレーニングで訓練できる職種は地域や年齢によって違いがあります。まずは最寄りのハローワークに確認してみましょう。
学生(未成年)の場合の解決方法
親や親族、友人・知人に相談をして、借用書を書いてお金を借りる方法を検討してみましょう。
なお、2022(令和4)年4月から、18歳になればカードローンも借りられ、クレジットカードも作れることになっていますが、原則、定期的な収入がないと利用できないケースがほとんどです。
もし企業に内定している場合は、「内定者専用ローン」を活用するのも一つの選択肢です。
また、短期でも日払いでもいいので、アルバイトをして収入を得ることも検討してみましょう。
主婦の場合の解決方法

消費者金融の「配偶者貸付」を利用して、お金を借りることができます。
ただし、配偶者貸付を利用した場合、収入がある配偶者である夫にバレる可能性が高いです。
配偶者貸付を利用したい場合は、あらかじめ夫に包み隠さず相談しましょう。
また、専業主婦であっても、パートやアルバイトをして収入を得るのも重要な選択肢といえます。
母子家庭の場合の解決方法
市区役所・町村役場に相談して、給付金や公的融資の申請を検討してみましょう。ひとり母親の場合、有利な給付金制度が整備されています。
例えば、子育てと仕事を一人で担う低所得のひとり親世帯に対しては、「ひとり親世帯臨時特別給付金」が支給されます。
ひとり親世帯臨時特別給付金の支給額は基本、1世帯につき5万円、第2子以降子一人につき3万円です。さらに、新型コロナウイルス感染症の影響を受けて家計が急変し、収入が減少している人に向けて、追加給付として1世帯につき5万円がもらえます。
ただし、給付金や公的融資は各市区町村によって違いがあります。自分が住んでいる地域ではどのような給付金や公的融資が受けられるのか、確認しておきましょう。
高齢者(年金受給者)の場合の解決方法
持ち家があるなら「リバースモーゲージ」を活用して生活費をねん出する方法があります。
リバースモーゲージとは、自宅(不動産)を担保に金融機関から生活資金を借りて、自宅に住み続け、借りた人が死亡したときに担保となっている不動産を売却・処分し、借りた金を返済する制度です。
ただ、リバースモーゲージの利用は相続に関係します。子がいる場合は、リバースモーゲージを利用したい旨を事前に相談しておきましょう。
どうしても生活が苦しい状況であれば、現役世代の子や孫から支援してもらうか、生活保護の利用も視野に入れることも検討してみましょう。
無職の人が金融機関に申し込む際の注意点
無職の人は原則として金融機関からお金を借りられませんが、もし申し込んだ場合、とんでもない事態に陥る可能性もあります。
無職の人がお金を借りようとする際に注意しなければならないことについて解説します。
虚偽の申し込みをしない
無職の人が偽って職業があることを装い、金融機関に借り入れの申し込みをしてはいけません。
一般的に金融機関は申込者の勤務先に電話連絡をしたりして、「在籍確認」を行います。そのとき、その勤務先で働いていないことがバレてしまいます。
嘘をついたことがバレてしまうと借り入れについて審査落ちするだけでなく、金融機関や信用情報機関の信用情報に傷がつき、ブラックリストに登録され、カードローンやクレジットカードが利用できなくなってしまいます。
場合によっては詐欺罪に問われる可能性がある行為です。虚偽の申し込みは絶対に止めましょう。
ヤミ金に手を出さない

借り入れの審査に通らず、お金を借りるあてがないとき、「審査なし」「ブラックでも融資OK」といった広告に誘惑され、その業者を利用してしまう人も少なからずいるようです。
でも、これは要注意です。正規の貸金業者ではなく「ヤミ金」である可能性が大だからです。
ヤミ金の場合、法外な金利を設定して、厳しい取り立てが行われるともいわれています。絶対に手を出してはいけません。
この記事のまとめ
無職の人の場合、基本的に銀行や消費者金融からお金を借りることは難しいです。
まずは、いきなりお金を借りることからではなく、「借りなくてもお金を得られないか」を考えることからスタートしてみてはいかがでしょうか。
例えば、「日払いや短期のアルバイトをして働いて収入を得る」「定期的に収入が得られる仕事を見つける」といった行動を積み重ねることで、お金は少しずつ貯まっていきます。
どうしてもまとまったお金が必要になったときは、親や親族、友人・知人からお金を借りられないか、相談してみましょう。もしお金を借りられることになった際には「借用書」を作成して、期日までに返済するようにしましょう。
お金に困ったからといって、決してヤミ金に手を出すことだけは絶対に止めてください。
監修者

ファイナンシャルプランナー(CFP認定者)
金融機関勤務を経て1996年にFP資格を取得。家計の見直しや貯蓄、各種ローンなどを専門分野とし、各種相談業務やセミナー講師、執筆活動などを行う。著書に『宅建資格を取るまえに読む本(総合資格)』、『 これ1冊で安心! 介護保険のしくみ・使い方・お金のすべて(ナツメ社)』などがある。
【保有資格】
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、 証券外務員Ⅱ種、 宅地建物取引士合格者、 福祉住環境コーディネーター2級、 整理収納アドバイザー1級