国が認める借金救済制度とは?債務整理で借金の減額・免除・猶予が可能に

国が認める借金救済制度・債務整理

借金救済制度とは、国が認める借金を減額・免除・返済猶予できる制度をいい、一般的には「債務整理」という言葉で表現されています。

そんな債務整理には「任意整理」「個人再生」「自己破産」「特定調停」の4種類の方法に分けられます。

いずれの方法も弁護士や司法書士、裁判所が関わる、信用性の高い法的な手続きといえます。

この記事では、債務整理全般について詳しくわかりやすく解説しています。

借金の救済に役立つ法的な情報が満載ですので、借金問題に悩んでいる人はこの機会にぜひご参照ください。

この記事を読んでわかること

  • 借金救済制度とは債務整理のことで、任意整理個人再生自己破産特定調停の4種類の方法がある
  • 債務整理の種類ごとにメリットやデメリット・リスクがある
  • 債務整理の種類ごとに費用や、手続きの流れと期間が異なる
  • 公共・民間の相談機関も借金問題の解決に役立つ
  • 弁護士や司法書士に依頼すれば、借金問題を解決できる可能性が高まる

目次

借金救済制度(債務整理)とは、国が認める借金の減額・免除・猶予できる制度

借金減額

借金救済制度とは、通常「債務整理」と呼ばれ、借金を減額・免除・返済猶予してくれる、国が認めた借金に関する法的手続きの総称です。

借金救済制度が目指すのは「借金を抱える人の生活の立て直し」です。

借金救済制度は、弁護士や司法書士、裁判所が関わる信用性の高い制度ですので、安心して利用できるといってよいでしょう。

借金の返済が難しくなったら、債務整理という選択肢を検討してもよいでしょう。

なお、債務整理の種類やメリット・デメリットについては、次のとおりです。

種類
メリット
デメリット
●任意整理
(過払い金返還請求も含まれる)
●個人再生
●自己破産
●特定調停
・借金を減額・免除・返済猶予ができる可能性がある
・カードローンやクレジットカードの分割払い・
リボ払い、奨学金なども債務整理の対象になる
・いわゆる「ブラックリスト」に掲載される
・新規の借り入れやクレジットカードの作成が
約5~10年間できなくなる

ここから、債務整理の方法について種類ごとに解説していきます。

任意整理:債権者との直接交渉によって借金を減らす方法

債務整理(任意整理)

任意整理とは、債権者と直接交渉することで借金を減らす手続きをいいます。

任意整理のポイントは、次のとおりです。

任意整理の特徴 ・債権者と直接交渉して借金を減らす法的手続き
・減額して残った借金(元本)を引き続き返済していかなければならない
・借金の減額は債権者にとってうれしくないことなので、交渉において抵抗が予想される
任意整理を検討してよい人 ・借金完済の目途が立たない
・債権者の抵抗を押し返して借金減額を勝ち取れる可能性がある
・減額された借金を返済していくだけの収入や資産がある
任意整理の年間利用件数 約150万件~250万件(推定)

債権者の抵抗を押し返して借金の減額を勝ち取るには、法律知識と交渉力が欠かせません。

任意整理を成功させるには、法律と交渉のプロである弁護士に頼むのが一番です。

過払い金返還請求:法律上支払わなくてよかった利息を取り戻す

過払い金返還請求とは、法律上支払わなくてよかった利息を取り戻す手続きです。

過払い金返還請求も、債権者との直接交渉なので、ある意味「任意整理」の一種ともいえます。

過払い金返還請求のポイントは、次のとおりです。

過払い金返還請求の特徴 ・債権者と直接交渉して、すでに支払った、法律の上限を超えた利息を取り戻す手続き
・過払い金を払い戻すことは債権者にとってうれしくないことなので、交渉において抵抗が予想される
過払い金返還請求を検討してよい人 ・法律の上限を超えた利息を支払った
・債権者の抵抗を押し返しても、過払い金返還を勝ち取れる可能性がある
・過去の借入記録を保存している
過払い金返還請求の年間利用件数 3万8,636件
(2018年に全国の地方裁判所で受理した過払い金返還請求訴訟の件数)

出典:最高裁判所「裁判の迅速化に係る検証に関する報告書(第8回)」19ページ
※注:交渉で過払い金返還が決まって訴訟にならなかったケースを加えれば、年間利用件数はもっと多くなるものと思われる

債権者の抵抗を押し返して、過払い金の返還を勝ち取れるかは、利息についての法律知識と交渉力で決まります。

過払い金を取り戻したいなら、法律と交渉のプロである弁護士の力を借りましょう。

借入記録を保存してなければ、債権者から取引履歴を取り寄せなければなりません。弁護士に依頼すれば、こうした面倒な仕事も任せられます。

個人再生:裁判所が認可した再生計画に沿って借金を返済していく

債務整理(個人再生)

個人再生とは、債権者が同意し、裁判所が認可した再生計画に沿って、債務者が借金を返済していく手続きです。

個人再生のポイントは、次のとおりです。

個人再生の特徴 ・債務者が再生計画案を作成する

・債権者が同意する

・裁判所が認可する

・債務者は再生計画に沿って借金を返済していく

・再生計画では、借金の減額や返済の猶予がなされる
個人再生を検討してよい人 ・借金完済の目途が立たない
・再生計画案を作れる
・借金の減額や猶予がなされれば、借金を返済していくだけの収入や資産がある
個人再生の年間利用件数 1万1,249件
(2021年に全国の地方裁判所で受理した申し立て数)

出典:最高裁判所「令和3年司法統計年報概要版」8ページ
※注:2017年~2021年の間、わずかな増減を繰り返し、約1万2,000件前後で推移している

個人再生は、裁判所での手続きなので、スムーズに進めるには手続きの正確な理解が必要です。

再生計画案も、債務者に有利であると同時に、債権者が同意し、裁判所に認可してもらえる内容でなければなりません。

債務者が一人で取り組むより、弁護士に任せたほうが、手続きがスムーズに進み、債務者に有利な再生計画になる可能性が高まります。

自己破産:債務者の財産を売却して債務を返済し残りの債務の免除を受ける

債務整理(自己破産)

自己破産とは、債務者の財産を売却して債務を返済し、残りの債務(一部を除く)を免除してもらう手続きです。

自己破産のポイントは、次のとおりです。

自己破産の特徴 ・裁判所に選任された破産管財人が債務者の財産を管理する
・破産管財人が債務者の財産を売却し、代金の中から債務を返済する
・返済しきれなかった債務は、免責により、返済の責任を免れる
・手続きの費用さえ支払えないほどの経済状況だと、破産管財人による財産売却は省略され、直ちに免責手続きに移る
自己破産を検討してよい人 ・借金完済の目途が立たない
・借金の減額や返済猶予をされても返済の目途が立たない
・売却するほどの財産がない(免責の場合)
自己破産の年間利用件数 6万8,413件
(2021年に全国の地方裁判所で受理した申し立て数)

出典:最高裁判所「令和3年司法統計年報概要版」7ページ

自己破産は、裁判所の破産管財人が中心になって、債務者の財産の「管理→売却→配当→免責」を進める手続きです。

自己破産の申し立てには、申立書・陳述書・債権者一覧・資産目録・家計状況といった、難しい書類に必要事項を記入して提出しなければなりません(書類サンプルについては、裁判所のWebサイトで紹介されていますので、ご参照ください)。

以上の書類に必要事項を正確に記述して、手続きをスムーズに進めるには、専門知識と実務経験が豊富な弁護士の協力が必要です。

自己破産を申し立てるなら、まずは弁護士に相談しましょう。

特定調停:簡易裁判所が間に入って借金返済の方法を決める

特定調停とは、簡易裁判所が債権者と債務者の間に入って、借金の返済方法を決めていく手続きです。

特定調停のポイントは、次のとおりです。

特定調停の特徴 ・簡易裁判所が間に入って話し合いを行う
・債権者と債務者が合意すれば調停成立となり、成立内容に沿って返済していく
・債権者と債務者が合意できなければ、調停不成立で終わる
・調停委員が公平にサポートしてくれるので、弁護士がついていなくても大丈夫なこともある
特定調停を検討してよい人 ・裁判所や調停委員を信頼できる
・減額や猶予があれば借金を返済していける
・申し立てや調停出席のため、平日に裁判所に行ける
・調停の成立をあせらず、調停委員の指示に従える
特定調停の年間利用件数 2,231件
(2021年に全国の簡易裁判所で受理した申立数)

出典:最高裁判所「令和3年司法統計年報」76ページ

なお特定調停は、任意整理・個人再生・自己破産と比較して、利用者ははるかに少なく、しかも年々減っています。

特定調停を利用する人が少ない主な理由として、次の4つが考えられます。

そのため債務整理の種類の中でも、特定調停の選択肢をとる人はわずかといっても過言ではないでしょう。

借金救済制度のメリットを解説

借金を抱えた人が借金救済制度(債務整理)を活用することには、いくつかのメリットがあります。

ここからは、借金救済制度の種類(任意整理・個人再生・自己破産・特定調停)ごとにそれぞれメリットを詳しく紹介していきます。

任意整理の5つのメリット

任意整理には主に5つのメリットがあります。

任意整理のメリット
理由
(1)借金減額の方法を自由に決められる 債権者が同意すればよいことだから
(2)借金の取り立てが止まる 弁護士の受任通知を受領した債権者は、法律により借金の取り立てが禁止されるから
(3)任意整理をしたことが家族や勤務先にバレにくい 自宅や勤務先に郵便や電話が来ないから
(4)家や車などの財産を残せる 本人が支払える範囲で返済予定を組めば、家や車を担保にしても差し押さえられることはないから
(5)保証人に迷惑がかからない 本人が支払える範囲で返済予定を組めば、原則として保証人に請求が行くことはないから

(1)の「借金減額の方法を自由に決められる」は、他の債務整理にないメリットといえるでしょう。

個人再生の3つのメリット

個人再生には主に3つのメリットがあります。

個人再生のメリット
理由
(1)借金を1/5から1/10くらいに減額できる可能性がある 債務者の収入や資産に応じた再生計画を作れるから
(2)返済期間を3年から5年に延ばせる
(3)住宅を手放さずに済む 再生計画に「住宅資金特別条項」を入れれば抵当権を実行されなくなるから

参考:法務省「借金等の返済が困難になった被災者の方へ Q5」

(3)の「住宅を手放さずに済む」は個人再生ならではのメリットです。

ただし、個人再生の手続きを行う際に住宅ローンを返済し続けることで自宅を処分されないようにする「住宅資金特別条項」は抵当権を制約する条項なので、債権者との協議が義務づけられています。

こうした債権者との協議には専門知識や取扱実績が欠かせないので、弁護士に相談・依頼する必要があるでしょう。

自己破産の5つのメリット

自己破産には主に5つのメリットがあります。

自己破産のメリット
理由
(1)借金の返済請求を受けなくなる 免責決定を受けると、債権者は借金返済を請求できなくなるから

(注:免責によって借金そのものがなくなるのでなく、返済請求できなくなるだけというのが専門家の一般的見解である)
(2)借金の取り立てや強制執行を受けなくなる 自己破産手続きが開始されると、債務者の財産は破産管財人の管理下に置かれ、債権者は手を出せなくなるから
(3)生活保護受給者や無職でも自己破産の申し立てができる 債務者であれば、収入の有無を問わず申し立てができるから
(4)自己破産手続き開始後に取得した財産は売却の対象とならない 自己破産による売却対象となるのは、破産開始決定のときに債務者が持っていた財産だけだから
(5)生活に必須の財産は債務者が自由に使うことができる 下記の財産は、債務者の生活を守るため、破産管財人の管理下に置かれないから

・99万円までの現金
・衣類・寝具・家具
・農機具
・魚網などの漁業用具
・農漁業以外の業務に不可欠な器具

自己破産では、(1)の「借金の返済請求を受けなくなる」ことの免責を求めての申し立てがほとんどです。

特定調停の4つのメリット

特定調停には主に4つのメリットがあります。

特定調停のメリット
理由
(1)減額方法を自由に決められる 債権者が同意すればよいことだから
(2)家や車などの財産を残せる 債務者本人が支払える範囲で返済予定を組めば、家や車を担保にしても差し押さえられることはないから
(3)原則保証人に迷惑がかからない 債務者本人が支払える範囲で返済予定を組めば、原則保証人に請求が行くことはないから
(4)自分で手続きを行えば、安い費用で済ませられる ・債権者1人につき、申立手数料500円と郵便切手430円分で申し立てられるから
・弁護士に依頼しなければ、弁護士費用がかからないから

参考:裁判所「特定調停申立てQ&A Q4」

(4)の「自分で手続きを行えば、安い費用で済ませられる」というのが、特定調停ならではのメリットといえます。

特定調停は金銭的に余裕のない人にとって向いている手続きといえるでしょう。

借金救済制度のデメリット・リスクを解説

借金救済制度(債務整理)にはメリットがある一方で、デメリットやリスクもあります。

借金救済制度の種類ごとにデメリットとリスクについて紹介します。

任意整理の4つのデメリット・リスク

任意整理のデメリット・リスクは主に以下の4つです。

任意整理のデメリット・リスク
理由
(1)任意整理開始から完済後5年が過ぎるまでブラックリストに載る 任意整理も信用情報機関の事故情報に当たるから
(2)完済まで継続的な収入が必要になる 任意整理で債権者と合意したとおり返済していかなければならないから
(3)任意整理の交渉が決裂することがある 債権者と債務者との交渉である以上、双方の希望がかみ合わないこともあり得るから
(4)借金の減額割合が低い 裁判所が間に入らないことで、債権者も強気で対応するケースもあるから

(3)「任意整理の交渉が決裂することがある」ことと、(4)「借金の減額割合が低い」ことが、任意整理ならではのデメリット・リスクといえます。

こうしたデメリット・リスクをなくすには、専門知識や豊富な取扱実績を持つ弁護士に依頼するのがよいでしょう。

個人再生の6つのデメリット・リスク

個人再生のデメリット・リスクは主に以下の6つです。

個人再生のデメリット・リスク
理由
(1)個人再生開始から完済後5年が過ぎるまでブラックリストに載る 個人再生も信用情報機関の事故情報に該当するから
(2)完済まで継続的な収入が必要になる 再生計画のとおり返済していかなければならないから
(3)保証人が一括返済を迫られるおそれがある 再生計画は債務者の以前からの保証人には効力が及ばないから
(4)個人再生をしたことが官報に載る 個人再生が始まることで取り立てや強制執行ができなくなる債権者に知らせなければならないから
(5)再生計画案の作成、債権者による決議、裁判所の認可といった複雑な手続きが必要となる ・再生計画には債権者・債務者双方の合意が必要だから

・再生計画が債権者・債務者双方に公平で実行可能かどうかを裁判所が確かめる必要があるから
(6)平日に裁判所に行かなくてはならない ふさわしい再生計画にするには関係者がそろって協議する必要があるから

(5)の「再生計画案の作成、債権者による決議、裁判所の認可といった複雑な手続き」については、個人再生において再生計画の重要性からして必要なものといえます。

弁護士に依頼すれば、個人再生の手続きにおける大きな負担を免れることができます。

自己破産の7つのデメリット・リスク

自己破産のデメリット・リスクは主に以下の7つです。

自己破産のデメリット・リスク
理由
(1)自己破産開始から10年、または完済後5年が過ぎるまでブラックリストに載る 自己破産も信用情報機関の事故情報に該当するから
(2)保証人が一括返済を迫られるおそれがある 自己破産は債務者の以前からの保証人には効力が及ばないから
(3)自己破産したことが官報に載る 自己破産が始まることで取り立てや強制執行ができなくなる債権者に知らせなければならないから
(4)破産管財人の選任、破産債権の確定、破産財団の管理・売却、債権者への配当、免責といった複雑な手続きが必要となる 自己破産は債務者の生活再建と債権者の満足とを実現する手続きだから
(5)平日に裁判所に行かなくてはならない 自己破産を公平かつ適正に行うには関係者の参加が必要だから
(6)家や車など高額な財産を失う 自己破産は債務者のほぼ全財産をお金に換えて借金を返済する手続きだから
(7)自己破産の手続き中に職業や資格が制限される 弁護士・生命保険募集人・警備員などは、財産管理能力のない者が行うと横領などが起こり得る職業や資格だから

自己破産ならではのデメリット・リスクは、(6)の「家や車など高額な財産を失う」ではないかと考えられます。

ただ、免責によって借金返済の責任がなくなるメリットと差し引きすれば、受け入れざるを得ないデメリット・リスクといえるでしょう。

特定調停の6つのデメリット・リスク

特定調停のデメリット・リスクは主に以下の6つです。

特定調停のデメリット・リスク
理由
(1)特定調停開始から完済後5年が過ぎるまでブラックリストに載る 特定調停も信用情報機関の事故情報に該当するから
(2)完済まで継続的な収入が必要になる 特定調停成立の内容のとおり返済していかなければならないから
(3)任意整理よりも返済額が高くなる可能性がある 特定調停成立までの利息や遅延損害金が加算される可能性があるため
(4)平日に裁判所に行かなくてはならない 特定調停には債務者本人が出席するのが普通だから
(5)特定調停の成立率が15%前後と低い

(参照:裁判所 令和3年司法統計年報76ページ)
債務者の希望、債権者の利益、調停委員の考え方がかみ合わないことが多いためと推定される
(6)特定調停終了まで最低2ヶ月はかかる

(参照:裁判所 特定調停申立てQ&A Q5
特定調停は月1回のペースで行われ、最低2回は出席するのが実状のため

先にも述べましたが、特定調停が他の債務整理と比較して利用件数がはるかに少ないです。

その主な利用として、(5)の「特定調停の成立率が15%前後と低い」ことと、(6)の「特定調停終了まで最低2ヶ月はかかる」ことが挙げられると考えられます。

借金救済制度にかかる費用の相場を解説

借金救済制度(債務整理)にかかる費用の相場・総額はいくらくらいになるのでしょうか?

任意整理・個人再生・自己破産・特定調停の種類別にチェックしていきましょう。

任意整理の費用総額:5万~15万円程度+αが相場

任意整理にかかる費用の総額は、次のとおりです。

依頼先 依頼条件 費用相場 支払う時期
内訳 総額
弁護士 なし ・相談料:0円~1万円
・着手金:3万円~10万円
・成功報酬(1社につき):2万円~5万円
・減額報酬:減額の10%以下
・過払い金報酬:回収額の20%以下
5万円~16万円
+減額報酬
+過払い金報酬
・着手金前払い
・その他後払い
認定司法書士 ・借金が1社につき140万円以下
・過払い金が1社につき140万円以下
・相談料:0円~1万円
・着手金:3万円~10万円
・成功報酬(1社につき):2万円~5万円
・減額報酬:減額の10%以下
・過払い金報酬:回収額の20%以下
5万円以内
+減額報酬
+過払い金返還報酬
・着手金前払い
・その他後払い

費用の内訳の意味について以下にまとめてみました。

内訳
意味
相談料
借金の現状を聴き取り、任意整理の進め方や費用などを説明する費用
着手金
依頼を受けた後、任意整理に取りかかるための費用
成功報酬
任意整理が成功した場合、労力の見返りとして支払うお金
減額報酬
返済の猶予や分割だけでなく、借金そのものを減らせたことへの報酬
過払い金報酬
過払い金を回収できたことへの報酬

費用の総額を見る限り、弁護士よりも司法書士のほうが安いといえます。

ただ、任意整理の対象金額が140万円以下でないと司法書士に依頼できないことに注意しましょう。

個人再生の費用総額:60万~100万円程度+αが相場

個人再生にかかる費用の総額は、次のとおりです。

支払先 費用相場 支払う時期
内訳 総額
弁護士 ・相談料:0円~1万円
・着手金:30万円
・成功報酬 
「住宅資金特別条項」なし:20万円
「住宅資金特別条項」あり:30万円
50万円~61万円 ・着手金前払い
・その他後払い
地方裁判所 ・申し立て手数料:1万円
・予納金
 弁護士申し立て:1万2,000円
 本人申し立て:19万2,000円
・郵便切手:1,200円分

(参考:横浜地裁Webサイトより)
13万円~45万円 申し立て時

個人再生では、弁護士費用と裁判所費用を合わせて63万円~106万円程度という高額な費用がかかります。

費用の内訳に出てくる用語の意味は、次のとおりです。

用語
意味
予納金
個人再生委員が選任された場合の報酬に充てるお金

※選任の可能性が、弁護士申し立てだと低く、本人申し立てだと高いことから、こうした形になっている
※弁護士申し立てでも、個人再生委員が選任されれば、予納金を追納する
個人再生委員
裁判所により選任され、次の仕事をする人
(1)債務者の財産調査
(2)再生債権の評価
(3)再生計画案への助言

自己破産の費用総額:60万~100万円程度+αが相場

自己破産には、次のような費用がかかります。

支払先 費用相場 支払う時期
内訳 総額
弁護士 ・相談料:0円~1万円
・着手金:30万円
・成功報酬:30万円
60万円~61万円 ・着手金前払い
・その他後払い
地方裁判所 ・申し立て手数料:1,000円~1,500円
・郵便切手:5,000円~6,000円分
・予納金:1万2,000~40万円以上

(参考:名古屋地裁WEBサイトより)
1万8,000円~40万7,500円以上 申し立て時

自己破産では、弁護士費用と裁判所費用を合わせて約62万円~102万円程度という高額な費用がかかります。

なお予納金とは、主に破産管財人による財産管理や破産管財人への報酬に充てられるお金です。

特定調停の費用総額:4万~6万円程度×相手方数が相場

特定調停の費用総額は、次のとおりです。

支払先 費用相場 支払う時期
内訳 総額
弁護士 ・相談料:0円~1万円
・着手金:(2万円~4万円)×相手方数
・成功報酬:2万円×相手方数
・減額報酬:減額の5~10%程度
4万円~6万円×相手方数
+減額報酬
・着手金前払い
・その他後払い
簡易裁判所 ・申し立て手数料:500円×相手方数
・郵便切手:430円分×相手方数

(参考:東京簡裁Webサイトより)
930円×相手方数 申し立て時

弁護士を依頼しなけば、裁判所に納める「930円×相手方数」だけで済みます。

一方で、弁護士を頼めば、「(4万円~6万円程度)×相手方数+減額報酬」の費用がかかります。

特定調停は、債務整理の中でも最もお金のかからない方法といえるでしょう。

借金救済制度の手続きの流れとかかる期間を解説

債務整理の流れと手続きにかかる期間について、任意整理・個人再生・自己破産・特定調停の種類別で見ていきましょう。

任意整理の流れと期間:約3ヶ月かかる

任意整理の流れと期間は、おおむね次のとおりです。

(1)弁護士・司法書士に相談・依頼
弁護士や司法書士に相談し、任意整理を依頼します。

(2)債権者との交渉
弁護士や司法書士が債権者と次の点を交渉します。
・借金の元金・利息・遅延損害金の免除や減額
・返済の猶予や分割 

(3)和解成立・和解書の作成
合意に至れば、合意内容を記した和解書を作成します。

(4)和解書に沿って返済し完済(借金消滅)
債務者は、和解書に沿って返済していきます。完済すれば借金は消滅します。

もし(2)の「債権者との合意」にて、合意に至らなければ、交渉は決裂となり、任意整理は終了します。となると、他の債務整理(個人再生または自己破産)を検討することになります。 

なお、任意整理で合意が得られるまでにかかる期間は通常、3ヶ月~6ヶ月程度かかります。

また、和解書に沿って返済を開始し完済するまでの期間は、約3年~5年程度はかかります。

個人再生の流れと期間:約1年~約1年半かかる

個人再生の流れと期間は、おおむね次のとおりです。

(1)弁護士・司法書士に相談・依頼
弁護士に相談し、個人再生を依頼します。

(2)個人再生の申し立て
債務者の住所を担当区域とする地方裁判所に個人再生を申し立てます。

(3)財産の評定、債権の調査
・債務者がどのくらい財産を持っているかを評価します。
・財産を売却した場合の代金(清算価値)がいくらになるかを基準に行われます。
・債務者に対する債権(債務者がどれだけ債務=借金があるか)を調査します。
・申し立て時に提出された「債権者一覧表」に記載された債権者は、債権を届け出たものとみなされます。
・「債権者一覧表」に記載のない債権者は、裁判所に債権を届け出なければなりません。

(4)再生計画案の提出
債務者が再生計画案を作って、裁判所に提出します。

(5)再生計画案の決議
・債権者が再生計画案を受け入れるかどうかの決議が行われます。
・決議は、裁判所が債権者に計画案を通知し、債権者が書面で回答する方法で行われます。可決されれば、再生計画が成立します。

(6)再生計画の認可
成立した再生計画が法令に反していないか、債務者が返済していける内容かなどを裁判所が審査します。問題がなければ、再生計画認可の決定がなされます。

(7)再生計画に沿って返済開始→完済(借金消滅)
債務者は再生計画に沿って返済し、完済した時点で借金が消滅します。

上記の(1)「弁護士・司法書士に相談・依頼」~(6)「再生計画の認可」までは通常、1年~1年半程度かかります。

債務者の財産と借金の調査、再生計画の作成を慎重に行う必要があるため、1年~1年半程度の期間がかかってしまうのです。

また、(7)「再生計画に沿って返済開始→完済(借金消滅)」にかかる期間は3年程度とされるのが一般的です。

ただし、教育費や医療費の負担が大きいなど、3年での完済が難しい場合は、最長5年での完済が認められることもあります。

自己破産の流れと期間:約半年~約1年かかる

自己破産の流れと期間は、おおむね次のとおりです。

1.自己破産の一般的な手続きの流れ

(1)弁護士に相談・依頼
弁護士に相談し、自己破産を依頼します。

(2)破産手続き開始の申し立て
債務者の住所を担当区域とする地方裁判所に破産手続き開始の申し立てをします。

(3)破産手続き開始の決定
裁判所が破産手続き開始の決定をします。

(4)破産管財人の選定
裁判所が破産管財人を選任します。

(5)破産債権の確定と破産財団の管理
・破産管財人が破産債権(破産者の借金)を確定します。これと並行して、破産管財人が破産財団(破産者の財産)を管理します。
・破産者は破産財団に含まれる財産を処分(売却)することができなくなります。

(6)財産を売却
破産管財人が破産財団に含まれる財産を売却します。

(7)債権者への配当
売却代金の中から債権者への配当(借金返済)が行われます。

(8)破産手続き終結の決定
配当が終われば、裁判所が破産手続き終結の決定をして、破産手続きは終了します。

2.自己破産にて破産財団が作れない場合の流れ

ただし、破産手続き開始の決定後、配当のもととなる破産財団が作れない場合は、破産手続きは終了します。

(3)破産手続き開始の決定

(9)破産財団が不足
破産者の財産が裁判所費用さえ支払えないほど乏しければ、配当のもととなる破産財団を作ることができず、破産手続きは続行不可能となります。

(10)破産手続きの廃止
破産手続きは廃止(終了)となります。

3.自己破産にて免責許可の申し立てを行った場合の流れ

免責許可の申し立てをしてあれば、免責手続きが残ります。

(1)弁護士に相談・依頼

(11)免責許可の申し立て
債務者は、破産手続き開始の申し立てと同時に免責許可の申し立てをすることができます。

(12)破産者の審尋
裁判所は、破産者や債権者を出頭させて、主張を聴き取ること(審尋)ができます。

(13)免責の許可 or 不許可の決定
・免責の許可または不許可の決定がなされます。
・免責が許可されれば、債権者は破産者に借金の返済を請求できなくなります。
・免責が不許可となれば、債権者は破産者に借金の返済請求ができます。

弁護士に相談・依頼から破産手続き終結の決定まで、半年から1年程度かかります。

なお、弁護士に相談・依頼から破産手続き廃止までだと、約3〜4ヶ月程度はかかります。

特定調停の流れと期間:約2ヶ月かかる

特定調停の流れと期間は、おおむね次のとおりです。

(1)特定調停の申し立て
債務者が、債権者(相手方)の住所を担当区域とする簡易裁判所に特定調停を申し立てます。

(2)特定調停の進行
調停委員によって調停が進められます。

(3)特定調停の成立・不成立
債権者と債務者とで合意に至れば、裁判官が調停成立を宣言します。
(債権者と債務者とで合意の見込みがなければ、調停は不成立で終了します。)

(4)調停成立調書の作成
裁判所書記官が合意内容を調停成立調書に仕上げます。

(5)調書に沿って返済開始→完済(借金消滅)
債務者は調書に沿って返済していきます。完済すれば借金は消滅します。

調停の申し立てから調停成立まで、通常2ヶ月程度かかります(参照:裁判所 特定調停申立てQ&A Q5)。

借金返済で悩む人向けの相談機関を活用しよう

借金問題を解決するには、債務整理のほかにも、公共・民間の相談機関を活用する方法もあります。

借金問題をスピーディに解決するために役立つ、主な相談機関を紹介します。

法テラス:国が設けた市民のための法律問題解決の支援機関

法テラスは「日本司法支援センター」の略称で、市民のための法律問題解決の支援機関として、特別の法律にもとづいて国が設立した法人です。

法テラスでは、借金問題の相談を無料(通話料は相談者負担)で受け付けています。

相談内容は、次のとおりです。

法テラスにおける相談方法には、次の3つがあります。

具体的な回答はもらえない可能性もありますが、相談することで借金解決への一歩を踏み出すことができます。

弁護士・司法書士:借金問題・債務整理の取扱事例が豊富な事務所に相談する

借金問題を専門分野とする弁護士や司法書士に相談することも、借金問題の解決に役立ちます。

借金問題の専門知識や取扱実績を踏まえて、次のような支援が受けられます。

  • 相談者にふさわしい解決方法の提案
  • 債務整理の代行

弁護士や司法書士にかかる費用の相場は、前述のとおりです。

費用がかかるものの、より突っ込んだ相談や手続きの代行といった、中身の濃い支援を受けることができます。

住まいの自治体の窓口:最寄りの市区役所・町村役場での無料法律相談

全国の市区役所・町村役場では、無料法律相談を行っています。

相談内容は法律問題全般にわたり、多重債務など借金問題も対象です。

相談方法は、各市区町村のホームページや広報誌などで紹介されていますので、ぜひチェックしておきましょう。

借金で生活苦なら生活保護も検討を

借金で生活苦に陥っているなら、「生活保護」の申請も検討してよい選択肢の一つといえます。

借金のある人が生活保護を申請できるかどうかについては、次の記事をご覧ください。

日本クレジットカウンセリング協会:多重債務者の生活再建へのカウンセリングを行う

日本クレジットカウンセリング協会は、多重債務者へのカウンセリングを行い、多重債務者の生活再建を目指す公益財団法人です。

多重債務者に対し、弁済方法や司法手続きなどの相談と助言を行います。

多重債務に陥る可能性のある人も、カウンセリングを受けることができます。

カウンセリングは無料ですが、電話相談の通話料は相談者負担です。

詳しく知りたい人は、日本クレレジットカウンセリング協会のWebサイトをご覧ください。

全国銀行協会:無料で電話・面談によるカウンセリングサービスが受けられる

全国銀行協会では、銀行と取引のある多重債務者へのカウンセリングを行っています。

住宅ローンやカードローンなどのローン返済を中心に、電話と面談でのカウンセリングを行います。

カウンセリングは無料ですが、電話相談の通話料は相談者負担です。

詳しく知りたい人は、全国銀行協会のWebサイト「カウンセリングサービス」をご覧ください。

この記事のまとめ

借金救済制度(債務整理)とは、借金問題を解決するために、裁判所や弁護士・司法書士などが関わって法的手続きを行う制度です。

債務整理には、「任意整理」「個人再生」「自己破産」「特定調停」の4種類があり、それぞれメリットとデメリット・リスクがあります。

債務整理の種類ごとに費用の総額・相場が異なり、手続きの流れや期間もさまざまです。

借金問題は、弁護士や司法書士、あるいは法テラスなど公共・民間の相談機関を活用することで解決につながることもあります。

自分に合った借金救済制度を利用することが、借金問題の早期解決のカギといえるでしょう。

監修者 監修者

古畑 元樹

行政書士有資格者

古畑 元樹

大学法学部を卒業後、裁判所に入職。裁判所書記官として、民事系事件を担当。裁判所退職後、行政書士試験に合格し、有資格者となる。 現在は「法令を根拠とした仕事」をモットーにケアマネジャーの業務に当たる一方、Webライターとして民事系の法律問題をテーマとする記事を執筆している。 法律記事の執筆では、条文と判例に重きを置いて内容の正確さを期すとともに、やわらかくわかりやすい表現を用いることで、ユーザーにとって読みやすく役に立つ記事になることを心がけている。
【保有資格】
行政書士日本語検定準1級介護支援専門員(ケアマネージャー)介護福祉士

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